すべてが黒木メイサを表す欠かせないもの

──楽曲に関しては、ご自身のアイデアやこだわりを思い切り注ぎ込んで作っていってるんでしょうか？

かなり注ぎ込みますね（笑）。Jeff（Miyahara）と作るときなんかは、彼のスタジオに行って、じゃどういう音楽をやろうかっていうところから話し始める感じで。そこに作詞家さんにも来ていただいて、一緒に話し合うっていうこともやりますし。できあがったベースのトラックに関しても、こういう音を足してほしいとか、この音はいらないとか、メロディはこうして欲しいとか、いろんなわがままを言わせてもらいながら作ってます。

──歌詞にもかなり細かくリクエストしているんですか？

そうですね。私の場合、曲を聴いたときに自分の頭の中でビデオクリップが完成しないとダメなんですよ。なので、まず曲は映像が浮かぶものを選ぶんですけど、そこで浮かんだものを今度は作詞家さんに伝えて世界観を広げてもらう感じ。あと、よく歌詞をお願いしているMOMO（"mocha"N）ちゃんなんかとは普段、恋愛トークとかガールズトークをしているので（笑）、その中で私が何気なく発した言葉を詞に乗っけてくるっていうこともありますね。

──作詞家さんが書いた歌詞からも、黒木メイサさんのリアルが感じられるのはそういう過程を経ているからなんでしょうね。

ですね。作詞家さんと世界観を作っていくものもありますけど、どこかに自分のリアルな部分は込められてはいると思うので。

──ただ、逆に言うとすべてがノンフィクションではないとも言えますよね。そういう部分で、ありのままの自分を表現したいという気持ちで始めた音楽ではあるけれど、楽曲を通してフィクションを歌う楽しみも芽生えたのかなって思いもしたんですよ。それはきっと女優やモデルをやっている黒木メイサにリンクしていく部分であると思うし。

あぁ、それはあるかもしれないですね。音楽をやり始めたときって、演じてる黒木メイサと音楽をやってる黒木メイサを差別化しようっていう意識がすごく強かったような気がします。ただ、最近は自分の中でのスイッチングがスムーズになってきたのか、そこはあまり意識しなくなってきたんです。どっちも1人の人間がやってることだし、切り離せないものっていうか。だからこそ、作曲家さんや作詞家さんと世界観を作り上げて演じることもするし、そうじゃないリアルな部分を見せていくこともする。しかも今回のアルバムでは、ファッションシュートで撮り下ろした写真を使ってモデルとしての自分を出したりもするし。

──そういうことができてしまうのが、メイサさんの最大の強みですもんね。

そうですね。すべてが黒木メイサっていう人間を表す欠かせないものだったりするので、それぞれに線引きをするっていうことは、今はないですね。

今までだったら絶対歌わなかったタイトル

──初のフルアルバム「MAGAZINE」に関しては、どんなものにしたいかというビジョンは明確にあったんですか？

自分が約2年間やってきた音楽の集大成でありつつ、その中で自分の中に生まれた音楽に対する変化も見てもらいたいっていう気持ちはありました。あとはやっぱり自分にとってはファッションも演技も切り離せないものなので、それらをすべて見せられる1枚にしたいっていうわがままも言わせてもらいました。もちろん、素の黒木メイサも入ってます。それに、初回限定盤のブックレットには作曲家さんとか、クリエイターの方たちのインタビューが載ってて、他の方たちから見る黒木メイサっていうのがわかると思います。面白いですよ。私も読んで笑っちゃいました（笑）。

──音だけではなく、全方位的に黒木メイサを楽しめると。

そう。全方位的に（笑）。

──初回限定盤のどでかいパッケージがインパクトありますしね。

ね。むしろCDショップが置いてくれるか不安なんですけど（笑）。発売日はお店回らなきゃ。

──CDに収録されているのは全14曲。ホントにいろんな表情が詰まっていますね。

そうですね。単純に歌いたいと思った曲を歌わせてもらいました。「Say Good Night☆」っていう曲はもともと入れる予定じゃなかったんですけど、「Somewhere...」をレコーディングしたときになぜかすごく歌いたくなって。急遽、翌日に歌わせてもらったんですよね。

──どうして歌いたくなったんでしょうね？

自分でもすごく不思議なんですけどね。だって「Say Good Night☆」っていうタイトルの時点で、今までだったら絶対歌わなかったと思うんですよ（笑）。

──ミディアムテンポで別れを歌った曲ですしね。

やっぱり今までの自分は弱い部分を見せることをかたくなに拒んでいたんですよ。でも、さっきも言いましたけど、それを隠す必要が自分の中でなくなってきたのかなって。いらないものをちょっとずつ削ぎ落してる段階なんだなっていうのは、自分でこの曲を選んだことで思いましたね。

──なるほど。その曲が、メイサさんの生き様を感じさせるヘビーな「SHOCK-運命-」の後に収録されてるのもおもしろいですよね。

あははは。確かにそうですね（笑）。