英語はがんばって入れてます
──作詞についても聞かせてください。前作同様、今作も工藤さんが全作詞を担当していますが、全般的に言葉の乗せ方が特徴的ですよね。ノリ重視というか、言語としての整合性は二の次みたいな感じで。
いただく曲が特殊なので(笑)。曲先の場合は、デモ音源のざっくりとしたメロディに対して歌詞を書いていくんですけど、やたらと裏拍が多かったりするんですよ。「ここ、ずっと裏じゃん!」みたいな(笑)。そういうときは日本語だけだとハマらないことがあるので、英語も織り交ぜていくことでなめらかにしたり、響きをよくしています。そこは意識していますね。
──おっしゃるように、英語が頻繁に挟まれがちなのも工藤さんの特徴の1つだと思います。ただ正直、あまり工藤さんに英語が得意というイメージがなくて。過去には秦佐和子さんから「英会話を単語だけで乗り切る人」などと評されていましたし。
あははは、確かに(笑)。でも、歌詞に英語を入れないとノリがよくならないと感じたときに、向き合っていかなきゃいけないなと。英語はけっこうがんばって入れてますね。
──お手本にしたものはありますか? 「こういう乗せ方カッコいいな」と思った曲とか。
いや、お手本は特になく……。ただ、日本語ラップの影響は自然と受けているかもしれないです。ヒップホップがすごく好きなんですけど、全部を日本語で硬くやっている方もいれば、英語を交ぜてやっている方もいるじゃないですか。それと、英語詞が多いのは洋楽ロックをずっと聴いてきたことも関係していると思います。
──その一方で、日本語に寄せた歌詞もありますよね。今作で言えば「君へのMHz」とか。
「君へのMHz」は詞先なんですけど、詞が先だったりバラードだったりの場合は、そういうふうになりやすいですね。
──あくまで楽曲に応じた言葉を乗せていくうえでの自然な結果でしかないと。そこに英語が必要となれば、がんばって入れるという(笑)。全体的にポジティブな歌詞が多いのは意識的なものですか?
この半年、世界でいろんなことが起きていて、私自身落ち込むこともたくさんありました。その悲しい気持ちを表現者として曲に落とし込んで出すことも当然できるんですけど、やっぱり人に届けるならポジティブなほうがいいよねと。私自身もたくさんの音楽や映画などから元気だったり前向きな気持ちをもらってきましたし、私もファンの皆さんやまだ会ったことのない人たちに向けてポジティブを届けたいっていうのはありましたね。
──ご自身の性格もポジティブなほう?
あまり自覚はないんですけど、人からは「ネアカだね」ってすごく言われます。落ち込むことはよくあるんですけど、そこからの立ち上がりが早いんですよ。世の中にはずっと引きずるタイプの方もいるじゃないですか。私はけっこう、一晩明けたら「もう新しい1日が始まったし」みたいな(笑)。まったく引きずらないですね。
肩書きにこだわりはない
──声優、シンガー、イラストレーター、デザイナーなどさまざまな顔を持つ工藤さんですが、肩書きがたくさん欲しいタイプだったりするんですか?
いや、逆ですね。私、肩書きにこだわりがないんですよ。「あなたが決めて」というスタンスで。
──声優とすら呼ばれなくてもいい?
あんまり「こういうふうに思われたい」とか「違う、私はこうなの!」みたいなのはないです。たぶん、私のことをアーティストだと思っている方もいると思うんですよ。もちろん声優だと思っている人もいるでしょうし、アイドル、タレント、役者、いろんな言われ方をするので。
──ギタリストとしてはいかがですか? ご自分が「ギタリストだ」という意識はあります?
工藤晴香としては、ないですね。「BanG Dream!」でRoseliaの氷川紗夜を演じているときは「私はギタリストだ」という意識でやっていますけど。
──そのRoseliaでは、あくまでキャラクターとしてではありますけど、ギタリストとして大きなステージに何度も立っていますよね。なので、今後ソロライブを行う際にも「工藤さんが弾くギターを聴きたい」というファンが大勢いると思います。
ソロライブをやるとなったら、やっぱりギターを弾きたい気持ちはありますね。どういうふうにやれるかなって考えたらワクワクしますし。ギターソロとかは心臓が持たないと思いますけど(笑)。
──ちなみにですけど、今作のアー写やType-Cのジャケ写で持っている黄色いムスタングは私物ですか?
そうです。前作のPRS(ポール・リード・スミス)も私物だったんですけど、このムスタングは高校生の頃にカート・コバーンのマネをして買ったもので。セイモア・ダンカンのピックアップが載っていたり、カートの仕様に近い感じになっているんですけど、これ実は「BanG Dream!」でお世話になっているESPさんにメンテナンスをお願いしたときに、ピックアップとかが変わって返ってきたんです(笑)。「適当によろしくお願いしまーす」ってお渡ししたら、「工藤さんの好きな感じにしといたから」みたいな(笑)。びっくりしましたけど、すごくカッコよくなったので、ありがたかったですね。
こんなに尊いことだったんだ
──ミニアルバムが2作リリースされて曲数もそろってきましたし、やはり次はソロライブをやりたいところですよね。今はご時世的になかなか難しいところではありますが。
ソロライブはずっとしたいと思っていますね。この間、野外で大きなライブ(8月下旬に山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストで行われた「『BanG Dream! 8th☆LIVE』夏の野外3DAYS」)がありまして、それが約半年ぶりのステージだったんです。そこでファンのみんなの前に立ったとき、感極まって泣いてしまって。以前まではライブができることは当たり前のように思ってたんですけど、「ステージに立てるというのは、こんなに尊いことだったんだ」と痛感しました。
──ありがたみがわかったと。
こういう世の中になってしまったので、オンラインなのか何になるのか方法はわからないですけど、なんかしらの手段でファンのみんなに音楽を届けたいなと毎日思っています。「コロナが収束してから」だと、「いや、私その頃には何歳になってるんだ!?」みたいになっちゃう可能性もありますし、今この状況でもできることを模索して。
──ソロライブ以外で、今後について何か考えていることはありますか?
リリースの予定とかはないんですけど、「次にどんな曲を作ろうかな」というのはぼんやり考えていますね。あと、フェスに出たいです。まだRoseliaとしても実現していないので、工藤晴香としてフェスには出たいですね。
イベント情報
- 工藤晴香「POWER CHORD」発売記念配信イベント
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配信日時:2020年10月27日(火)20:00~
内容:スペシャルトーク
チケット購入期間:〜2020年10月7日(水)23:59