Kroi「Unspoiled」インタビュー|バンドの集大成と進化見せるメジャー3rdアルバム完成 (3/3)

音と言葉で意味を成す

──アルバムの1曲目のタイトルは「Stellar」、つまり“星”であり、ラストを飾る14曲目の「明滅」には「星のかけら転がる川 綺麗なのを拾い上げてく」という歌詞があります。最初と最後で“星”のモチーフによってつながる物語性のようなものも感じたのですが、これは意識されていたりしますか?

内田 最近の気分的なものだと思うんですけど、確かに太陽とか星とか“空”的な要素はリリックに多い気がしますね。でも、それは意図しているわけではなくて、ただ自分の中で流行っているだけなんです。そう言えば自分の中で少し前は「脳みそ」が流行ってたから歌詞にもよく登場してたけど、最近はほとんど使ってない(笑)。

Kroi

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益田 歌詞の話で言うと、今回のアルバムの曲は抽象的だけど、色味があって情景がより見えやすいというか。

長谷部 画がイメージしやすくなったよね。

千葉 確かにレコーディングしていて景色が浮かぶ曲が多いかも。

内田 これまで以上に「音と言葉で意味を成す」ということを意識していて。「音でここまで表現できてるから、言葉ではそれ以上言わないほうがいいな」とか「この音だと意味が伝わりづらいから、もう少し言葉を足してみよう」というような調整は細かくやりました。リスナーが曲を聴いたときに、なるべく俺の頭の中の風景が見えたらいいなと思って。まあ、もちろん違う風景が見えてもいいんですけど。

前世は河童

──改めて、「明滅」はどのようなイメージで生まれた曲なのでしょうか?

内田 「明滅」は、めっちゃ昔からあるデモから作った曲なんです。LAに行くときに本当は「GAS」「papaya」と、あと1曲インストを録る予定だったんですけど、ボーカルも録りたいねって話になって「このデモ、アメリカで録ったら絶対に最高じゃん」と思って掘り返しました。結局、歌詞が間に合わずにボーカルは日本で録ったんですけど(笑)、オケはアメリカでRECしたんです。そうやって旅の中でできた曲なので、歌詞は旅のイメージと……あとは、アメリカで益田さんに「お前が河童だった頃のことを思い出して歌詞を書け」と言われたので“川”という言葉を入れました。

──河童……。それはどういうことなんですか?

益田 怜央って、人間の感覚が乏しいんです。

長谷部 なんで次々とメンバーをディスるの?(笑)

益田 これはディスりじゃない。怜央は、河童ではなくても妖怪系だと思うんですよ。

内田 俺の頭が緑だから河童ってだけでしょ?(笑)

 前世が河童で今は人間ってこと?(笑)

益田 俺は生まれ変わりを信じているんです。俺ら4人は人間を何十回もやっているので人間的な価値観が備わってるけど、怜央はたぶん最近まで妖怪の世界にいた。人間として生まれたのはここ2、3回だと思う。だから人間の感性を持ち合わせてないんだけど、人間として生まれたからには人間として生きなきゃいけない。でも、まだ妖怪としての価値観は残っているはずだから、その価値観を踏まえた歌詞を書いてくれ、と依頼しました。

益田英知(Dr)

益田英知(Dr)

千葉 怜央が妖怪っぽいのは、わかる。

内田 千葉さんもかよ!(笑)

益田 わかるでしょ? 多くの人は怜央のことをひねくれたヤツだと思っているけど違うんです。これは妖怪の価値観で、妖怪の世界ではマジョリティなんですよ。

内田 アメリカで「お前は妖怪の価値観を人間に教えるためにここに来てる。俺たちはそのお手伝いをしているんだ」って言われました(笑)。

──(笑)。でも益田さんとしては進んで手伝ってもいいくらいに、内田さんの妖怪としての価値観は魅力的で、ほかの人にも伝えたいものってことですよね。

益田 そうっすね。面白い感覚を持っているので。

内田 どの立場から言ってんだよ(笑)。

益田 千葉は逆に、感覚ってものがないんです。

 標的が変わった!(笑)

益田 クリエイターとか芸術家とか、その人の気質のパラメーターがあったとしたら、千葉は芸術の気質がゼロに近くて、完全にクリエイターに全振りなんです。だから感覚の話をしても伝わらない。俺は、千葉が芸術的な感性をがんばって勉強するのをお手伝いしているんです。

千葉 まあでも、わかるよ。

益田 その点、関はかなり人間っぽいんじゃないかな。

 ああ、よかった(笑)。

長谷部 俺も人間っぽいでしょ?

益田 悠生は人間なんだけど、普通に頭が悪い。

一同 (笑)。

益田 日本人っぽい奥ゆかしさがない。全部直喩でいこうとするから。地頭はいいと思うけど、それは単に脳みその話で、まだ心が育っていない……以上です。

──ありがとうございました(笑)。

 (笑)。まあ、「明滅」は本当にKroiの中でもかなりいい曲になったと思います。これを聴くとLAの景色や思い出がフラッシュバックする。

長谷部 わかる。アメリカ映画って感じだよね。

 日差しで辺り一面が黄色くなるような、そういう情景が思い浮かぶんですよね。そのくらい、すっごく気持ちがいい曲です。

Kroi

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ライブ情報

Kroi Free Live "Departure" at 横浜赤レンガ倉庫

2024年6月22日(土)神奈川県 赤レンガ倉庫


Kroi Live Tour 2024

  • 2024年8月23日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2024年8月29日(木)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年8月31日(土)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2024年9月1日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
  • 2024年9月6日(金)宮城県 チームスマイル・仙台PIT
  • 2024年9月8日(日)北海道 Zepp Sapporo
  • 2024年9月12日(木)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2024年9月13日(金)大阪府 Zepp Osaka Bayside(※追加公演)
  • 2024年9月15日(日)香川県 高松festhalle
  • 2024年9月21日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2024年9月26日(木)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2024年9月27日(金)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)(※追加公演)

プロフィール

Kroi(クロイ)

2018年2月結成。R&B、ファンク、ソウル、ロック、ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。2021年6月に1stアルバム「LENS」でメジャーデビューを果たし、2022年には2ndアルバム「telegraph」をリリースした。2024年1月に初の東京・日本武道館ワンマン公演を行い、大成功を収める。6月にはメジャー3rdアルバム「Unspoiled」をリリースした。またメンバーはKroiと並行して、ファッションモデルやデザイン、楽曲プロデュースなど多様な活動を展開している。

衣装協力
doublet / KOH'S LICK CURRO