KREVAが語るコロナ禍、OZROSAURUSとのコラボ、達成感を得た最新曲「Expert」 (2/2)

ダサいやつとはやらないし、アンサーも返さない

──そして7月にはOZROSAURUSの「Players' Player feat. KREVA」という衝撃的な曲のリリースがありました。

あれは「紅白」やマツコさんの番組以上の反響がありましたね。

──OZROSAURUSのMACCHOさんとKREVAさんは、OZROSAURUSの3rdアルバム「Rhyme & Blues」(2006年リリース)の収録曲「Disrespect 4 U feat. ZEEBRA」が発端となって、15年以上にわたってビーフ関係にあると認識されてきました。この曲の経緯についてはオフィシャルでもインタビュー動画がアップされていますが、改めてお話いただけますか。

そもそも何が一番ヤバいって、まず俺がかなり長い間、そのMACCHOのビーフを知らなかったっていう事実があって。

KREVA

──えっ、そうだったんですか?

申し訳ないんだけど本当にまったく知らかった。俺が知ったのは、2012年にサイプレス上野とロベルト吉野が出した「ヨコハマシカ feat. OZROSAURUS」を聴いたとき。「やっぱMACCHOカッコいいなあ」と思って、サクッと「ヨコハマシカ」のKREVAリミックスを作ってSoundCloudにあげたんですよ。そうしたら「KREVA、MACCHOにディスられてんのにリミックス作ってて熱いわー」みたいなコメントがあって。そこで初めて「ん? 俺、MACCHOにディスられてんの!?」って気付いた。

──ビーフされていると知ったときの気持ちは?

衝撃はヤバかったですね。「ああ、そうだったんだ」って。ショックはショックでしたよ。

──ネット上には「KREVAのこの曲がアンサーだった」みたいなまとめもありますが。

それまで俺は全然知らなかったし、そんなつもりもなかった。だから俺からは一度もアンサーを返していません。そういう意味では、今回の「Players' Player」が初めてのアンサーでしたね。

──オファーはMACCHOさんからだったそうですが、そのとき身構えたりはしなかったんですか?

それはなかったですね。ZORNのライブ(2021年に日本武道館で開催)でMACCHOが歌ってるのをひさびさに間近で観たとき、マジですごいなと思ったんですよ。その記憶があったから、「これはやったほうがいい。やらなきゃいけないやつだ」ってすぐに思えたし、しがらみを全部取っ払って2人でやればすごいものになるというのも瞬時にわかったから。

──制作はどのように?

最初のヴァースを互いに送り合って、3rdヴァースを書くときにZORNの事務所に集まりました。最初、このコラボの話をするときにMACCHOと一緒にZORNも来たし、MACCHOもZORNが主宰しているAll My Homiesというレーベルの所属なんで、今回はAll My Homiesのみんなでこの曲を作り上げたと俺は思っています。本当にみんなめちゃめちゃいい働きをしてくれました。

──MACCHOさんとは制作のとき、過去のビーフについて「そもそもどうして」という会話などは交わしたんですか?

一切しませんでした。「オファーしたってのはそういうことだから」とMACCHOが言ったとき、俺もそれでいいと思ったし、そもそも別に謝るとかいう話でもないし。俺だって、たとえ何を言われてもダサいやつとは一緒にやらないし、アンサーも返さない。とにかくMACCHOのラップにはうまさと強さを感じていたんで、純粋に一緒にやってみたかったんです。

──音楽のカタを音楽でつけるように、ビリビリし合っている緊張感が素晴らしい曲でした。

本当に歌詞の通りでしたね。レコーディングは空っぽの状態で挑みました。すげえアドレナリンが出て、我ながらヤバかったです。

──自分の決断に間違いはなかった?

心からそう思います。テクニックだけでもダメだし、いい歌だけでもいい歌詞だけでもダメ。すべてが合わさってないと、ちゃんとリスナーには届かないし響かないんだなって学び直しました。逆に言えば、全力で出せば必ずちゃんと届くんだ、という確信も改めて持てたというか。

KREVA

「Expert」誕生で得たこの上ない達成感

──そして「Players' Player」を経て、「Expert」がクレバの日(9月08日)リリースされました。この曲はどういうプロセスで生まれたのでしょうか?

今年の頭に集中的に曲を作っていた時期があったんです。でもちょっとテクニックに走ってしまい、どれも仕上がりがいまいちという悶々とした日々が続いて……ただ、そんな中でもこの曲のトラックはすごく気に入っていた。「これはしっかりやろう」と決めて、かなりじっくりと修正を重ねたんです。で、展開も決めて、歌詞をすべて書き終えたとき、あまりに達成感がありすぎて、ほかの曲作りを止めちゃった(笑)。これを作るためにほかの何曲かがあったんだなと思えたぐらい、言葉とメロディと気持ちの一体化がものすごかった。

──手応えではなく、達成感なんですね。

はい。狙い通りに打てたら会心の手応えなのかもしれないけど、「お!? こんなのができたー!!」という感じだったから。

──ちなみに、今回に近い達成感があった曲って、これまでにありましたか?

「スタート」(2005年リリース)は「Expert」ができたときの感触とすごく近かった気がします。あと、歌いながら自分で泣きそうになるような感覚で言えば、「音色」(2004年リリースのデビューシングル)も近いですね。

──「どこに向かうかなんてのは 後でわかるから進め」とリスナーを鼓舞するような歌詞は、20年近くにわたって独自の獣道を歩んでこられたKREVAさんの心情のようにも受け取れます。

最初は自分よりもひと回り下の世代の人たちに向けて、ストレートに「がんばれよ」とか「自分の決めた道を行けよ」と言うつもりで書いていたんですけど、気付いたら自分のことみたいになっていましたね。

──20周年は来年ですけど、なんならこれがもうアニバーサリーソングというか。

本当にそうですね(笑)。

──ミックスはBACHLOGICさんが手がけています。

この曲のミックスを誰に頼むかはちょっと迷いました。でも前にも話した通り、BACHLOGICは自分がイメージする完成形とのズレが本当に少ないので。今回もそこは大きかった。

──じゃあ手放しでお任せという感じなんですか?

いや、BACHLOGICはわりとクールというか、渋いほうにいくんですよ。「Players' Player」のサウンドプロデュースも彼だけど、すごくドライでしょ? 「Expert」も最初はかなり渋かったんですよ。だから「もっとピアノを前に出して」というディレクションはかけましたね。

KREVA

Expertであるために必要なこと

──ここで編集部からの質問を。ご自身が“Expert=専門家”であるために心がけていることは何かありますか?

それ、今答えとして言いたいワードが頭に浮かんだけど、偶然にも今後作品のタイトルで使おうと思っていたやつだから言えない(笑)

──それは気になりますね。

まあ、「学びの姿勢を忘れない」ってことですかね。マジでそこは一番大事な気がする。常に上には上がいるし。

──では最後に来年の20周年イヤーに向けて、現時点でのビジョンや抱負があれば聞かせてください。

さっきもお話しした通り、自分としては「NO REASON」がベスト盤的なライブだったこともあって、ベストアルバムをリリースするというアプローチにはあまり興味がなくて。20周年はもっと新しい場を作ることにトライしたいですね。

──それは例えば何か新しいアプローチの音源かも知れないし、「908 FESTIVAL」とはまた違った場の提案かもしれない、ということでしょうか?

そうですね。あんな見せ方もこんな見せ方もまだあるんじゃないか?というアイデアもあるし。周年を迎える前からでもどんどん試していけたらと。もう本当に何が起こるかわからない世の中だから、最近は特にやれることをやれるうちにしっかりやっておこうという意識なんです。「Players' Player」でも「Expert」でも“粘る”って歌ってるんですけど、粘って自分でいろいろと変えていかなきゃ生き残っていけないですから。がんばって、惜しみなく、どんどん出し切っていこうと思います。

KREVA

プロフィール

KREVA(クレバ)

1976年生まれ、東京都江戸川区育ち。BY PHAR THE DOPEST、KICK THE CAN CREWでの活動を経て2004年にシングル「音色」でソロデビューを果たす。2006年2月リリースの2ndアルバム「愛・自分博」はヒップホップソロアーティストとしては初のオリコンアルバム週間ランキング初登場1位を記録し、2008年にはアジア人のヒップホップアーティストとして初めて「MTV Unplugged」に出演した。2012年9月08日に主催フェス「908 FESTIVAL」を初開催。“9月08日”は“クレバの日”と日本記念日協会に正式認定されている。さまざまなアーティストへの楽曲提供やプロデュース、映画出演など幅広い分野で活躍しており、2011年には初の著書「KREAM ルールなき世界のルールブック」を刊行。本書は2021年6月に電子書籍化された。2023年6月から7月にかけてライブツアー「KREVA CONCERT TOUR 2023『NO REASON』」を開催し、「クレバの日」である“9月08日”に配信シングル「Expert」をリリースした。9月14日には東京・日本武道館で主催の“音楽の祭り”「908 FESTIVAL 2023」、翌15日には「NO REASON」ツアーのファイナルを行った。

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