まだまだ勉強しなきゃいけないことがありますね

──そんなネタ曲でくすっと笑ったあと、9曲目「悪いユメ」と10曲目「プラネタリウムに憧れた」で流れがぐっと深まりますね。

この2曲はめんどくさい女の子がでてきますね。「悪いユメ」は4年前くらいからライブで歌っていたんですけど、空気が重いから1stに入れるにはちょっとな、って保留にしていて。「プラネタリウムに憧れた」も、「女子、ジョーキョー。」（2015年）のときに出したい気持ちはあったんだけど、なんだかんだ後回しになっていたんです。で、「プラネタリウムに憧れた」に関してはアレンジを石崎光さんにお願いしたんです。ずっと一緒にやってみたくて、今回「この曲はすごく合うんじゃないかな」ってオファーしてみたら、快く受けてくださいました。

──石崎さんとの作業はいかがでしたか？

アレンジャーさんとお仕事するのは毎回ではないので、すごく新鮮でした。石崎さんにアコギのタブ譜を書いてもらったんですけど難しくて（笑）。でも、これくらい宿題を課せられたほうがやる気出るな、成長できるなと思って楽しく弾けました。いつもはストロークで弾くようなところをアルペジオや難しい押さえ方でやってみたりしたので、そこは皆さんに聴いてほしいですね。あと、グロッケンを弾かせてもらったんですよ。めっちゃ難しかったです！ 何回かトライしました。

──やりとりの中で印象的だったことはありますか？

いっぱい話をしました。「この女の子はどういう女の子なの？」とか「この2人の関係は？」とか。なので私も「このフレーズは実際に言われたことがあって」とか、赤裸々に話をさせてもらいました。この曲に出てくるプラネタリウムが好きな男の子って、私の理想なんです。あとは自分自身がプラネタリウムになれたら、ずっと好きな男の子に見てもらえるのにな、なんて想像して。

──あとこの曲で特に感じたんですけど、歌い方がぐっと大人っぽくなりましたね。

石崎さんに「あまり力を入れず、家で録っているように歌ってみよう」と言われたんです。「しゃべり声みたいな感じで」って。ローテンションで歌う曲は歌っていて気持ちいいと言うか、入り込めるので楽しいですね。でもレコーディングし終えたものを聴いて「もっとこう歌いたいな」と思ったりもしたから、また次に生かせたらいいなって思いました。このアルバムのレコーディングの最後、「パープル」を録ったときにも「こういう歌い方でやればよかったのか！」っていう気付きがあったんですよ。もう、最後の最後に（笑）。まだまだ勉強しなきゃいけないことがありますね。

人間としての私の本音

──そしてラストナンバーは、「あたしの遠回りしたこの夢を 正しいとキレイと言って」と歌う「最後の有給」という楽曲です。

この曲は自分がバイトをやめるときに書いた曲なんです。好きな曲だからいいところに置いてあげたいなっていう気持ちがあって、最後に置きました。「遠回り」ってあまりいいイメージがないけれど、私も上京して今が8年目で、やっとこうしてインタビューしてもらったりとかアルバムを作れたりだとか……周りから見たら遠回りだと思うんですけど、「それでいいよ」って、「それでキレイだよ」って言ってほしいなと思ったんです。この曲はある意味私の一番深いところを歌った曲だから、ちゃんと伝わったらいいなって思います。

──この曲が、コレサワさん自身の一番のリアル。

そうですね。恋愛模様とかじゃない、人間としての私の本音の歌だなって思います。アレンジに関しては、サビでキーが下がるんですけど、そこは歌っていて気持ちいいですね。あと、今回ストリングスを初めて生で入れさせてもらったんです。ストリングスのアレンジを出羽良彰さんにずっとお願いしたかった念願が叶いました。いつか曲のアレンジもしてほしいなって思っています。

──世界がどんどん広がっている感じがしますね。

そうですね。新しいことをどんどんやっていきたいです。「コレカラー」と今回の「コレでしょ」では歌詞とメロディにだわったので、次に出すアルバムではアレンジや音質にももっとこだわっていきたい。「こんなことができるんだ」っていうことがわかると、もっとアイデアが膨らむ感覚があるんですよ。

自然と次のアルバムのことを考えることができた

──2ndアルバムを作り終えて、今の率直な心境は？

もう、何も考えないで眠れるっていうことがすごくハッピーです（笑）。今、毎日さわやかな朝を迎えてて。

──あははは（笑）。

「3枚目を作るならこういうふうにしたい」とか「こういうアレンジの曲を絶対入れたい」とか、自然と次のアルバムのことを考えることができたのはよかったなって思います。「もうヤダ」とはならなかったから（笑）。とても前向きに終われたので、ダラダラ作ったほうが自分には向いているのかな、とも思いました。なので、これからはなるべく早く取りかかってダラダラ作るようにします（笑）。

──自分の制作のペースがわかってきた。

そうですね。

──ちなみに、コレサワさんの中で今特に興味を惹かれているものってあったりします？

今まで洋楽をまったく聴かなくて、興味も持っていなかったんですけど……最近Arctic Monkeysというバンドを知ってアルバムを聴いてみたら、サウンドも歌詞もいいんですよ。すごく面白くて、好きで聴いてます。「私もベースとギターが同じフレーズ弾いてるみたいなやつやりたい」とか思って。初めて洋楽をちゃんと聴いて、やっぱり外国の方は声の出し方や質がすごいなと思いました。マネしてみてもなかなかできないんですよ。ピッチの外し方とかも勉強しているので、自分の曲のどこかにも入れてみたりしたいですね（笑）。どうやってコレサワ流に表現していくかを、これから研究しようと思ってます。

──今ちょっと英語詞を歌っているコレサワさんをイメージしましたけど、新しいですね。

英語苦手なんですよ（笑）。入れても一部とかかなあ。あ、あと最近「ホットペッパービューティー」のCM曲の歌唱でラップに挑戦したんですけど、それを聴いたバンドメンバーが「ラップよかったよ、やってみたら」って言ってくれて。なので、いいフレーズができたらやりたいなと思います。ネタ曲の位置付けでラップ曲を入れるかもしれないです（笑）。