食べたらウンチ出る
──曲の流れに戻ると、コレサワさんもおっしゃるように、ラスト3曲にしっかりと聴かせる曲が並んでいます。10曲目の「女子諸君」はどういう経緯で作られた曲なんですか?
これは、自分が勝負下着を履こうとしたときにその下着がすごいヨレヨレになってて、「こんなにヨレヨレになったか」って思ったのがきっかけなんです。勝負の日ってたまにしかないって思ってたし、だからこそ勝負下着は一番きれいな下着やと思うじゃないですか。でも実際はすごい伸びてて……ってことは、自分が「勝負したい」って思う日って、意外と多いんだなって。そしたら「がんばってるね」って言ってあげたくなっちゃったと言うか(笑)。そういう女の子、いっぱいいるんじゃないかなと思えたんです。励ましたかったんでしょうね、自分を。
──コレサワさんの曲の歌詞って、女の子の日常だったり心象風景がリアルに描写されているじゃないですか。だからこそ共感の声も多く耳に届いていると思うし、そういう側面から取り上げられることも多いんじゃないかなと思うんですけど、そういう“女子の気持ちの代弁者”みたいな自覚って、コレサワさん自身は持っているのかなって、この曲を聴いて特に気になりました。
そう、それ最近すごい言われるんです。取材とかで「日常に寄り添った曲をよく歌っているのには、何か理由があるんですか?」って。だけど自分自身には日常しかなくて、しかも女の子だからそういう歌が出るのは当たり前だと思うんですよ。私は普通に生活していてしかも女の子だから、女の子の歌を歌っているだけ(笑)。それはまったく特別なことじゃないと思うんです。
──なるほど。
リアルに生きてるのはみんな一緒やのに、なんでリアルなことを歌ってたら質問されるんだろう?っていうのは、思ってました(笑)。
──コレサワさんにとっては、これが当たり前のことだから。
そう、だから答えに困ってしまって。たぶん今までは特に疑問に思わずにそういう質問に答えてたんですけど、最近改めて考えたら「普通やんな?」って(笑)。もう、「食べたらウンチ出る」みたいな感じだから。
──(笑)。
ウンチ……ダメ(笑)。ウンチで笑っちゃう! でも、そうなの。「食べたらウンチ出る」と一緒! それ以外の理由はありません!(笑)
私の場合は言葉なのかなって
──では、最後に収録されている「これから」の話を。さきほど、夢だった金澤さんとの共同作業がこの曲で叶ったとおっしゃっていましたが、どうでした? 実際にやりとりしてみて。
最初の打ち合わせのときに「クッキー食べる?」って言ってクッキーをくれたりとかして(笑)、その後もすごく気さくに接してくれました。やりとりもすごく細やかで、私のこの曲に対する決意や思いも全部受け止めてくれて。レコーディングでは「一流のミュージシャンをそろえるから」って言ってくださって、そんなこと言ってもらうことも初めてだからワクワクしたし、「やっぱり最前線で活躍してる人はすごいなあ」としみじみ思いました。
──特に心に残っていることはありますか?
うちがギターを練習しているときに「大丈夫だよ、そんなに完璧にやろうと思わなくていいよ」と言ってくれたこと。力を抜くところは抜く、みたいな感じで、リラックスさせてもらいました。あと金澤さんがオルガンのレコーディングしているときにずっと見てたんですけど、カッコよかった……「ううー! いつも聴いてるやつー!」って思ってました(笑)。
──そうだったんですね(笑)。完成した曲は、コレサワさんの理想通りのものでしたか?
はい。アルバムの最後にこのアレンジのこの曲があるから、ドシッと作品が締まったと思います。
──コレサワさんは、この曲にどんな思いを込めたんでしょう?
自分がメジャーデビューするとなったときに、メジャーシーンの中での自分の立ち位置みたいなものを考えてみたんです。みんなきっと、それぞれに武器があるじゃないですか。サウンドが武器とか、ノリノリになれるリズムが武器とか、面白ソングが武器とか……いろいろあると思うんですけど、私の場合はそれは言葉なのかなって。曲とかアレンジに比べたら自分は言葉が好きだし、言葉でこれからも勝負をしたいなって思ったんですよ。そんな決意表明をこのラストナンバーでしたかったのと、「これから」というタイトルには「これからもがんばる」とか「これからもよろしく」の意味が込められているので、「これから私はこういう気持ちで歌を歌いたいです」という思いも入ってます。
──なるほど。「自分の武器は言葉だな」というのは、わりと前から意識していたことなんですか?
「君のバンド」を作ったあたりから自分の曲を聴いてくれる人が増えていって、「歌詞がいい」と言ってもらえるようになって、その時期くらいに意識し始めたかもしれないです。それまでは自信もなかったし方向性もそんなに固まっていなかったから、聴いてくれる人のそういうリアクションを知って「ああ、私はもしかしたら歌詞が得意なのかな?」っていう感じで。
──周りからのいい反応って、やはり次に曲を作るときの意識の変化につながります?
褒めてもらったらそこが伸びるタイプなのかなと思うので、自分は「じゃあ、歌詞がんばろう!」というモチベーションになりますね。うれしいです。なんと言うか、単純な性格なんだと思います(笑)。
──1stアルバムがこうして完成しましたが「次はこれをしてみたいな」といった目標だったり、これからコレサワさんが目指す理想像はありますか?
今回は自分でアレンジした曲が多かったんですけど、どなたかにお願いするのも楽しいなと思ったので「もっといろんな人とやってみたいな」と思いました。曲作り的には、今は乙女チックで明るい曲が多いから、カッコいい曲とか大人っぽい曲もやりたいって思うし……あと、せっかくアルバムを作ったから「もっとふざけた曲を入れてもよかったのかな」って気持ちも。「もう絶対これ、シングルには入れられない」みたいなのもあったらよかったなとかいろいろ思いました。あとはプレッシャーがあります。「次は『コレカラー』を超えるものを作らないとアカンな」っていう、いいプレッシャー。
──そういうプレッシャーを感じるほど、自分の中では満足の行く作品ができたということですね。
はい、そうですね。
- コレサワ「コレカラー」
- 2017年8月9日発売 / CROWN STONES
-
初回限定盤 [CD+DVD]
3600円 / CRCP-40521 -
通常盤 [CD]
3000円 / CRCP-40522
- CD収録曲
-
- SSW
- 死ぬこと以外かすり傷
- 君のバンド
- あたしを彼女にしたいなら
- たばこ
- 失恋ソングを歌ったあとに
- お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな
- 君とインドカレー
- 阪急電車と2DK
- 女子諸君
- 24歳
- これから
- 初回限定盤DVD収録内容
-
- 「SSW」MUSIC VIDEO
- 「たばこ」MUSIC VIDEO
- 「あたしを彼女にしたいなら」MUSIC VIDEO
- 「君のバンド」MUSIC VIDEO
- 「J-POP」(LIVE)(2017年2月5日 コレサワ ワンマンショー「コレシアター03」にて収録)
- 「最終電車」(LIVE)(2017年2月5日 コレサワ ワンマンショー「コレシアター03」にて収録)
- 「コレサワの超難関ジェスチャークイズ」
- コレサワ
- 大阪出身の女性シンガーソングライター。日常の風景を独自の視点で切り取ったポップなナンバーを得意としている。またメディアに顔出しをせず、「れ子ちゃん」と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当する。2015年4月に、初の全国流通盤であるミニアルバム「君のバンド」を発表。8月にテレビ東京「廃墟の休日」エンディングテーマに使用された「シュシュ」を配信リリースした。12月には2ndミニアルバム「女子、ジョーキョー。」を発表。2016年9月に3rdミニアルバム「ジエイポップ」をリリースする。2017年2月のワンマンライブで日本クラウンからのメジャーデビューを発表し、8月9日にメジャー1stアルバム「コレカラー」をリリースした。10月からは初のワンマンツアー「コレサワ ワンマンライブツアー2017 君の街にいくカラー」を開催。ツアー前半はコレサワが弾き語りで楽曲を披露する「~ぼっち編~」、後半はバンド編成の「~仲間編~」として行われ、ツアーファイナルは12月14、15日に東京・WWWで実施される。