近い人が惚れてくれる作品を
──メジャーデビューアルバムとなる「コレカラー」を作るうえで、「こういう作品にしたい」というビジョンは持っていましたか?
今まで応援してくれた友達や家族が「いいね!」って言ってくれるCDを作りたいと思っていました。そうやって曲を作っていったら、いい曲がそろったなっていう感じです。
──なぜ身近な人に喜んでもらえる作品にしたいと思ったんですか?
なんと言うか、友達が「この曲ええやん」って言ってくれると安心するんです。あんまり音楽に興味がないけど自分の今までを知ってくれている女の子が「この曲いい」とか「こういうときに聴いてるよ」って言ってくれたときにすごくうれしさを感じたので、まずは近い人が惚れてくれるような作品を作りたいなって。そこを見失わずに作っていかないと、誰に向けて歌ってるのかわかんなくなっちゃうなと思ったんです。
──友人や家族からは普段から感想をもらうんですか?
そうですね。今回の収録曲の中にも、意見をもらった曲があります。みんな音楽とは関係ない仕事をしてる子たちです。生活の中に音楽が溶け込んでいて、それぞれの好きな曲を聴いているような人たちに自分の曲が届いてほしいので、その友達はけっこう大事な存在です。みんな音楽にそれほど詳しくないぶん、すごく客観的な感想を言ってくれるからありがたいんです。
これはデビュー曲や!
──1曲目の「SSW」はライブでもすでに披露されている曲ですが、この曲をリード曲として最初に入れた理由はあるんですか?
1年前ぐらいに作った曲なんですけど、そのときから「これがデビュー曲だな」って思っていたんです。「夢が1つ叶ったんだよ」っていうフレーズはデビューのタイミングで歌うのが一番意味があるし、しっくりくるし……「これはデビュー曲や!」って思った自分の直感も大事にしたいなと思って、1曲目に決めました。
──そうだったんですね。コレサワさんはさっき「身近な人にまず伝えたい」と言っていましたけど、アルバムを聴かせてもらった感想としては、これからコレサワさんを知る人にとっても、「コレサワってこういう人です」ということがすごくわかる作品だなと思いました。
そうですねー。すごくわかりやすいと思います。
──「SSW」で自己紹介されて、2曲目の「死ぬこと以外かすり傷」のラフな言葉遣いで一気に距離を詰められる感じとか。
友達に歌ってるような感じなんで(笑)。
──曲順でこだわったところがあれば、聞きたいなと思うのですが。
まずプレイリストを作って1回聴いてみて、1日置いて聴いて「やっぱりちゃうな……」みたいなことを何度か繰り返して決めていきました。このままのセットリストでライブしても飽きないような感じをイメージして。最初が「SSW」で最後が「コレカラー」っていうのは決めていて、中盤に「たばこ」で流れを変えるっていうことも始めから決めていたので、ほかの曲をどうやって並べるかを考えた感じです。後半はもう、アダルトコーナーですね。バラードを畳みかける感じです。
──なるほど。ではインディーズ時代の曲から「君のバンド」「あたしを彼女にしたいなら」「たばこ」の3曲を選んだ理由は?
「この曲好き」って言ってくれる人が多かったのがこの3曲だったので、入れなきゃなって。オリジナル盤を少ししか売らなかった「たばこ」に関しては、ずっと「音源が欲しい」とお客さんにリクエストをもらっていたので録り直しました。
──お話にもあった「たばこ」は口コミですごくいろいろな場所に広がってカバーなんかもされていますけど、こういった広がりってコレサワさん自身はどういうふうに受け止めていますか?
なんだろう。「たばこ」がこんな広まると思っていなかったんですよ。だから「なんでだろう?」って思ってるんですけど……ストーリー仕立ての構成だから、映画やドラマを観ている気分になれるのかな?と思ったり、みんなたばこを吸っている彼氏との思い出があるのかな?と考えたり。
──ちなみにこれはどういうきっかけでできた曲なんですか?
18歳か19歳のとき、専門学校の先生に「コレサワは失恋ソングがないから、なんか作りなよ。声に合うよ」って言われたんです。でもそのとき失恋してなかったし、悩んだんですけど「あ、そういえば元カレたばこ吸ってたなあ」と思い出して、完成しました。ちょっとセンチメンタルな気分に浸っていたかも(笑)。
3組のアレンジャー
──アルバムの流れとしてはその「たばこ」のあと、7曲目と8曲目に変化球的な曲があって。
そうですね。ここアルバムっぽいですよね。
──7曲目の「お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな」は、弟さんのことを歌った曲ですか?
そうです。2歳下の弟なんですけど、ホント事実しか書いてないから恥ずかしい(笑)。
──生活感のある描写で、頭の中に状況が鮮明に浮かびます。弟さんがコレサワさんの曲に登場するのは初めてですよね?
家族をネタにしまくってますけど、弟は初めてですね。私、弟にとってホントに自慢できないお姉ちゃんなんですよ。「お前」か「ブス」ですもん、呼ばれ方。
──ブスって言われるんですか。
そう。もう最近は、なんか元気でいいなって(笑)。「それぐらい元気でやっててくれ」って思ってたんですけど、この間私が実家に帰ったとき、弟に「今から俺の友達が来るからお前部屋から出るなよ」なんて命令されたんですよ。「俺にはお姉ちゃんなんておらんことになってるから」って言われて「えええ!?」となったんです。逆に「コイツそんなおもろいこと言えるような子やったっけ?」と感心もしたけど……「面白いな」という気持ちと「ああ、悲しいな」っていう気持ち半々で作った曲ですね。
──そうだったんですね。8曲目の「君とインドカレー」も韻を踏んでいて言葉遊びが面白くて。あとシタールがいい味出してますね。
インドなんでシタールを入れてみました(笑)。
──サウンド作りに関して、今回のアルバムで特にチャレンジしたりこだわったりしたところはありますか?
「阪急電車と2DK」「女子諸君」「これから」の3曲のアレンジを好きなミュージシャンにお願いしたところかな。「阪急電車と2DK」は、この曲ができたときに脳内でGOOD BYE APRILのサウンドで再生されちゃって「これはお願いしよう!」って。ベースのえんちゃん(延本文音)と仲がいいんですけど、オファーしたら快く受けてくれました。「女子諸君」は以前からお世話になっている隅倉(弘至)さんに。「君のバンド」のときから、毎回CDを出すたびにいろんな曲でベースを弾いてもらっていたんですけど、今回初めて演奏するメンバーを隅倉さん主導で集めてもらってアレンジもお任せして、すごくカッコいい曲ができたと思います。あと「これから」に関しては、私フジファブリックがずっと好きで……「いつか金澤(ダイスケ)さんにキーボードを弾いてもらいたい」っていう夢があったんです。「これから」を作ったときに「もうこれは、金澤さんしかいないわ!」と思ってアレンジをお願いしたら、OKしてくださって。何回もやりとりをして、一緒に作ってもらいました。
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食べたらウンチ出る
- コレサワ「コレカラー」
- 2017年8月9日発売 / CROWN STONES
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初回限定盤 [CD+DVD]
3600円 / CRCP-40521 -
通常盤 [CD]
3000円 / CRCP-40522
- CD収録曲
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- SSW
- 死ぬこと以外かすり傷
- 君のバンド
- あたしを彼女にしたいなら
- たばこ
- 失恋ソングを歌ったあとに
- お姉ちゃんにだけ部屋があったことまだ恨んでるのかな
- 君とインドカレー
- 阪急電車と2DK
- 女子諸君
- 24歳
- これから
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「SSW」MUSIC VIDEO
- 「たばこ」MUSIC VIDEO
- 「あたしを彼女にしたいなら」MUSIC VIDEO
- 「君のバンド」MUSIC VIDEO
- 「J-POP」(LIVE)(2017年2月5日 コレサワ ワンマンショー「コレシアター03」にて収録)
- 「最終電車」(LIVE)(2017年2月5日 コレサワ ワンマンショー「コレシアター03」にて収録)
- 「コレサワの超難関ジェスチャークイズ」
- コレサワ
- 大阪出身の女性シンガーソングライター。日常の風景を独自の視点で切り取ったポップなナンバーを得意としている。またメディアに顔出しをせず、「れ子ちゃん」と言われるクマのキャラクターがビジュアルを担当する。2015年4月に、初の全国流通盤であるミニアルバム「君のバンド」を発表。8月にテレビ東京「廃墟の休日」エンディングテーマに使用された「シュシュ」を配信リリースした。12月には2ndミニアルバム「女子、ジョーキョー。」を発表。2016年9月に3rdミニアルバム「ジエイポップ」をリリースする。2017年2月のワンマンライブで日本クラウンからのメジャーデビューを発表し、8月9日にメジャー1stアルバム「コレカラー」をリリースした。10月からは初のワンマンツアー「コレサワ ワンマンライブツアー2017 君の街にいくカラー」を開催。ツアー前半はコレサワが弾き語りで楽曲を披露する「~ぼっち編~」、後半はバンド編成の「~仲間編~」として行われ、ツアーファイナルは12月14、15日に東京・WWWで実施される。