ナタリー PowerPush - 近藤晃央

「手を離す決意」を歌った注目2ndシングルの世界

祈るために合わせていた両手を離そう

──そして今回、デビュー曲「フルール」に続いて、2ndシングル「テテ」が発売されます。バラードだった「フルール」とは全く印象の異なる、疾走感あふれる曲ですね。

元々昭和歌謡に影響されている部分があるので、「フルール」はそこを打ち出したミディアムバラードだったんですけど、次のシングルでは対極のアップテンポの曲を作ろうと決めていたんです。コード進行が決まってからは、4時間くらいでパッと勢いよくできあがった曲なんですよ。

──早いですね!

基本的に曲を作るのは早いほうかもしれないですね。「こういう曲を作ろう!」と思ったら、その場ですぐに作るタイプなんですよ。だからか、まだスランプになったことがないんです。これからその壁が来るのかな(笑)。

──歌詞の世界観はどんなところからヒントを得たんですか?

人間って何もできない状況に陥ったときに、両手を合わせて願ったり祈ったりするじゃないですか。結局はそうやって神頼みに走ってしまう傾向にあると思うんです。でも、しっかりと自分で結果を手に入れるためには自分が動かなくちゃいけないと思うんですよね。そのためには、まず最初に合わせていた両手を離そうというメッセージを込めたんです。

──確かに、祈りだけでは何も生まれないですもんね。

そうなんですよね。祈っていた手、願っていた手を離すことで、ひとつだった手がふたつになるんです。でも人間は欲張りだから、両手が開いた瞬間にいろんなものを手にしてしまうと思うんですよね。そうすると本当に手にしたいものと出会ったときに、両手がふさがっていて手にすることができなくて……。それでは本末転倒だと思うんです。だからこそ、本当に大事なものだけつかめるような人間でありたいと思ったんです。もちろん、僕自身もこの歌詞のように生きているかと問われたらそうではないので、こうしていたいという決意を込めて歌っているんです。

デビューが遅いからこそ生まれた歌

──「テテ」はTVアニメ「宇宙兄弟」のエンディングテーマとなっていますが、映像と重なった楽曲を聴いていかがでしたか?

近藤晃央

今までの「宇宙兄弟」のテーマソングって、疾走感や清潔感があって爽やかな曲が多かったんです。「テテ」はすごくクセのある曲なので、なじむか心配だったんですよね。それでいざ始まったときに観たら、見事になじんでいなくて(笑)。でも、アニメの曲って最初はどの曲もなじんでいないように感じるものですよね。それは人間関係と一緒で、聴いていくうちに物語の内容と歌詞がリンクして、なじめばいいのかなって思っているんです。皆さんの中でも、徐々になじんでもらえたらうれしいですね。

──ライブなどですごく盛り上がりそうですよね。

そうだとうれしいですね。ただシンガーソングライターというと弾き語りというイメージが先行しているので、このバンドサウンドのような曲は皆さんの期待に応えられているか不安になることがあるんですよ(笑)。でもそういうことを考えすぎると何も歌えなくなるので、こちらから「こんな歌もあるよ」と提案していけばいいのかなと思うようになったんです。

──シンガーソングライターって、ジャンルのくくりはないですからね。

そうなんですよね。これからも自分が聴いてきた音楽や影響された音楽を良い意味で自分の中で消化してオリジナル曲を作り、届けたいことを歌っていきたいと思います。

──先程楽曲を本格的に作り出したのは23歳からと言っていましたが、今だからこそこれらの楽曲を作り、歌えるということですよね。

はい。僕は歌い始めたのも遅いし、デビューも遅い。でも、今じゃなかったらこれらの歌は生まれなかったし、歌えなかったと思うんです。きっと、23歳で歌い始めることが僕にとっての適齢だったんです。よく「若いうちに」というフレーズを聞きますが、人それぞれで適齢があると思うんですよね。

──これもまた、すごく夢のある話ですね。

そうですね、でも僕は夢を与えるというよりも、リアルなことを伝えていきたいという気持ちが強いです。僕を支えてくれた音楽は背中を押してくれるような音楽ではなくて、例えて言うなら、上から引き上げてくれる音楽や下から突き上げてくれる音楽ではなく、僕と同じ場所にいる音楽だったんです。大丈夫と励まされるよりも、ゴールに行き着いていない音楽のほうが励まされたんですよ。だから僕は夢ではなく、現実や現実だからこそ見える光を歌っていきたいんです。

2ndシングル「テテ」 / 2012年12月5日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 / 1200円 / DFCL-1958
通常盤 / 1000円 / DFCL-1959
収録曲
  1. テテ
  2. かな
  3. テテ - tofubeats remix - (初回限定盤のみ)
近藤晃央(こんどうあきひさ)

愛知県刈谷市出身の男性シンガーソングライター。中学生時代にギターや歌を始める。ライブハウスや音楽関係の会社で働いた後、23歳のときにアーティストとしての活動を決意し退社。2009年より楽曲制作に専念し、東京や地元の愛知県を中心にストリートライブを行う。美しい歌声と優しく温かな楽曲が話題を呼び、2011年には数多くの学園祭ライブに出演。同年には自身の母校、安城学園高校の創立100年目を記念した楽曲「100年後」を制作し、同校の合唱部とともに学園祭でこの曲を披露した。2012年6月には愛知県の学生たちとコラボレーションしたフリーライブイベント「UTAPHICA」を名古屋で開催し、1200人を動員。7月には「ap bank fes’12 Fund for Japan」出演。そして9月にシングル「フルール」でメジャーデビューを果たした。またTOHOシネマズ初の試みとなる「TOHOシネマズメッセンジャー」に大抜擢され、映画館と音楽をつなぐ架け橋として期待されるなど、急激に注目を集めている。12月5日、2ndシングル「テテ」をリリースする。