気持ち悪くならない程度にぶりっこ
──新作となる「セヴンティーン・オクロック」はいろいろなジャンルの方とコラボしたミニアルバムになっています。そういった作品にしようと思ったのはどうしてなんですか？
僕は自分で作詞・作曲をやってしまうので、そこだけで完結すると世界が広がらないなと思ったのがきっかけです。有名なクリエイターの方々に僕の世界、作品の世界を広げていただこうと。で、まずお声がけさせていただいたのが作詞家のzoppさんでした。その段階ではコラボアルバムにするっていうことは考えていなかったんですけど、zoppさんと「潮騒エレジー」という曲が作れたことで、ほかにもいろんな方とやってみようかっていう話になったんです。
──zoppさんに加え、作詞で参加されているのはマンガ家の幸田もも子さんですね。幸田さんとは以前、「今日を取り戻せ！」という曲でも一度コラボされています。
はい。幸田さんとは酒飲み仲間なんですよ。で、前回は二日酔いで失敗した詞を書いてもらったんですけど、少女マンガ家としてちょっと後悔していると聞きまして（笑）。なので今回は少女マンガっぽいキュンキュンする詞を書いていただくことになり、「つまさき少女」っていう曲ができたんです。これは女性目線で書かれた詞なので、気持ち悪くならない程度にぶりっこして歌いました（笑）。
──そしてもう1人、写真家の青山裕企さんがジャケット写真の撮影で参加されていて。
青山さんは3、4年前くらいに対談をさせていただいたのをきっかけに、その後もトークショーに呼んでいただいたりしまして。僕自身カメラが好きで、自分で撮ったちょっとエッチな写真と妄想ポエムを載せた本（2012年4月刊行の「妄想ポエム」）を出したりもしているので、そういう部分でも仲良くなれたんです。今回声をかけてみたところ「作詞でも歌でもなんでもやりますよ」ってお返事をもらったんですけど、本業の写真でお願いしますということで（笑）。
──素敵なジャケットになりましたね。
青山さんの撮る写真は質感が独特だと思います。それといろんな話をしてコミュニケーションを取りながら撮影するんですけど、ワンカットにかける時間がすごく短くて。3、4枚撮ったら「はい、じゃ次こっちで」みたいな。今回は使えなかったけど、ほかにもいい写真が山ほどあるので、また何かの機会に使えたらいいなって思ってますね。
ゆがんだ青春時代を曲にぶつける
──アルバムの中にはkoma'nさんがご自身で作詞・作曲を手がけた「Fighteen!」という曲もありますね。
これはファンキーな、ちょっと昔のジャニーズっぽい雰囲気の曲ですね。歌詞はがんばっている学生の子を応援しようっていうテーマで書きました。でもここに書いてある「がんばれ」っていうメッセージは、実は大人に向けたものでもあるんですよね。がんばることが当たり前になっている大人は、心のこもった「がんばって」や「お疲れ様」っていう言葉をなかなかかけてもらえなくなるので、この曲がそういう役目になればいいなと。ちなみに僕はLINEとかで「今日も1日お疲れ様」って言ってもらえたらメチャクチャうれしくなる単純な男です（笑）。
──あと個人的にすごく印象に残ったのが「Giving You Another Name」というインスト曲。フュージョンっぽいパートが出てきたりして、すごく面白い仕上がりだなと。
変な曲ですよね（笑）。僕はもともとインストが好きなんですけど、自分の作品にインスト曲を入れたのは今回が初めてなんです。高校の同級生のギタリスト（村山遼）と後輩（田中）との3人で作ろうってことになったんですけど、僕がROOT FIVEの活動のほうで忙しかったんで、「とりあえず枠組みだけ先に作っといてよ」って2人に頼んだんです。そうしたらすでに完成した曲が上がってきたっていう。「これ、僕が入る隙がないけど大丈夫？」 みたいな（笑）。
──あははは（笑）。
ピアノソロとかは僕が変えたところもあるんですけど、基本的なアレンジは2人が作ったままですね。テンションコードがたくさん入ってきて、何がテーマかもよくわからないけど、面白い曲にはなったと思います（笑）。僕ら3人は大学進学率99.8%くらいの進学校に通っていたけど大学に行かなかったんです。田中は行きましたけど（笑）。そんな3人のゆがんだ青春時代をこの曲にはぶつけたので、そういうハチャメチャなところを感じてもらえたらうれしいです（笑）。
──アルバムの最後にはジミーサムPの「Calc.」のカバーも収録されてますね。原曲とはまったく違ったピアノメインのアレンジになっています。
この曲、実は2年前に録っていたものなんです。なので僕の声も2年前のもの。原曲はロックなアレンジなんですけど、それを引き算しまくって、ちょっと大人なカフェでかかっているような雰囲気にしてみました。「FAZIOLI」っていうイタリアの高級なピアノで、ペダルをあまり使わずにパラパラとした音で弾くことを意識したので、「STEINWAY & SONS,」のピアノを使っているほかの曲と聴き比べるとその違いがよくわかって面白いと思いますね。
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- ミニアルバム「セヴンティーン・オクロック」 2016年11月23日発売 / よしもとアール・アンド・シー
- 初回限定盤A [CD+DVD] 2500円 / YRCN-95266
- 初回限定盤B [CD+ブックレット] 2300円 / YRCN-95267
- 通常盤 [CD] 2000円 / YRCN-95268
CD収録曲
- 潮騒エレジー
［作詞：zopp / 作曲・編曲：koma'n］ - Fighteen!
［作詞・作曲・編曲：koma'n］ - サクラノ下
［作詞：zopp / 作曲・編曲：koma'n］ - つまさき少女
［作詞：幸田もも子 / 作曲・編曲：koma'n］ - ヒトクリ
［作詞：zopp / 作曲・編曲：koma'n］ - Giving You Another Name
［作曲：村山遼・田中 / 編曲：Pastel Penguin］ - calc. -fazioli ver.-
［作詞・作曲：ジミーサムP / 編曲：Pastel Penguin］
初回限定盤A DVD収録内容
- ヒトクリ MUSIC VIDEO
- レコーディング風景
- メイキング
koma'n（コマン）
男性シンガーソングライター。2008年頃からニコニコ動画に“歌ってみた”動画や弾き語りの動画などを投稿し、人気を博す。2011年に同じくニコニコ動画で活動する蛇足、ぽこた、みーちゃん、けったろとユニットを結成。√5（現：ROOT FIVE）として活動をスタートさせる。2014年4月に自身のレーベル・Pastel Penguinを設立し、ソロ名義のミニアルバム「Pastel Penguin」をリリース。このほかHey! Say! JUMPやRev.from DVLへ楽曲提供を行うなど作家としても活動している。2016年11月、新作ミニアルバム「セヴンティーン・オクロック」を発表した。
