ナタリー PowerPush - knotlamp
苦難の先に広がる地上絵「Geoglyph」は新たな原点
この春レコード会社を移籍し、6月にはNHK総合のアニメ「銀河へキックオフ!!」のテーマソングとなるタイアップシングル「Across my world」を発表したknotlamp。順風満帆に突き進んでいるようにも見える彼らだが、一時期はメンバーが定まらず苦しい時期もあった。バンドとしての苦難を乗り越えて完成したフルアルバム「Geoglyph」は、新体制となった4人によるknotlampらしさを全面に出しながら、随所に新境地も散りばめたポジティブかつ躍動感のある作品に仕上がっている。
今回ナタリーでは彼らの現状を探るべく、フロントマンKEIT(Vo, G)への単独インタビューを行った。「苦しい時期を乗り越えて飛翔していこうと決意したとき、眼下にはGeoglyph、つまり地上絵が広がっていた」と語る彼の心境はいかに。
取材・文 / 遠藤妙子
最近はみんなステージで動くようになった
──先日のライブを観せてもらいましたが、あれはアルバムのレコーディングが終わった後だったんでしょうか?
8月のライブですよね。あの頃には録音はもう終わってたんですけど、その後の作業がまだでしたね。だから実は早く完成させたいって時期でしたね。早くレコーディングの続きがしたいって。
──私はのびのびとしたライブだなと感じましたよ。メンバー各々から盛り上げていこうって意識を感じましたし。
最近はみんなステージで動くようになりましたね。特にMAHIRO(G)はどんどん前へ出るようになってきたし。やっぱり正式メンバーになったという意識が出ているんだと思います。
──MAHIROさんは、サポートメンバーの頃は既にある曲を演奏していたわけだけど、今は最初から曲作りに参加しているわけで。それも大きいでしょうね。
そうですね。自分自身で作ったフレーズを演奏しているわけだから責任感みたいなものもあるでしょうし、やっぱり楽しいでしょうしね。MAHIROが曲作りから参加したのは前作のシングル「Across my world」からだから、まだ曲数は少ないですけど、このアルバムが出たらもっとガッツリとライブで披露できるし。そしたらもっと前へ出るかもしれないですね(笑)。
評価は人生最後でいい
──で、前回のインタビューのときは今作の曲作りの最中で、必死な時期だったんですよね。
そうでしたね。ホントに必死でした。
──今は達成感や満足感でスッキリとした気持ち?
いや、それはないです。って言うと良くない作品を出したみたいだけど(笑)。すごくいい作品ができたと思うんですよ。でも毎回そうなんですけど、作り終わるとすぐに「こんなもんじゃないだろう、もっとやれるだろう」って次の作品を作りたくなるんです。そういう気持ちに陥ってくれるんで。
──「陥ってくれるんで」っていうことは、陥ることを望んでる?
そうです。そういう気持ちがなければ逆にアルバム制作はキツいだけですよ。作り終わったときに次の作品への欲が残っていることが僕らには喜びなんです。それがモチベーションになっているんです。作品を作り終えたときは満足感より、もっといいものを作りたいって気持ちのほうが大きいですね、いつも。もちろん、自信のない作品を発表するって意味じゃないし、満足感を感じる瞬間はあるんです。でもすぐに「もっともっと」って思う。そういう気持ちがあるからバンドを続けられるんだと思いますし、多分続けていく限り満足はしないかもしれないな。
──それ、今作の7曲目「Eternity」の「現状を嘆くより 明日だけを思うんだ 評価は人生最後でいい」って歌詞に通じますよね。
ああ、そうかもしれないですね。もちろん、レコーディングのことを歌った曲じゃないですが、多分僕が常に思っていることなんですよね。
──KEITさんってストイックなんですね。
ストイックっていうかむきになっちゃうタイプなんです。僕はレコーディングの最中は楽しいとは全然思えないタイプで。例えばゲームをやっても笑わずに真剣になるんですよ。負けたくない一心になっちゃうんですよね、ガーッと集中して。レコーディングでも「絶対にいいものを作るんだから楽しいなんて言ってる場合じゃない」って。
──そういうときにメンバーは?
僕は張り詰めちゃうんですが、張り詰めちゃうと価値観が麻痺してきて音のジャッジがわからなくなったりすることもあって。そういうときに「こっちがいい」とか「これで大丈夫」って言ってくれるのがメンバーで。
──背中を押してくれる感じで。
ですね。「Across my world」はタイアップを受けて作った曲ですが、それも最初、僕はボツにしようって言ってた曲なんです。
──印象に残るメロディだし勢いあるし、knotlampらしい曲なのに。
でも僕は最初は納得いかなくて。そしたらメンバーが「これがいい」って言ってくれて。
──突き詰めることに集中しちゃうと自分本来の良さを見落としちゃう場合もありますからね。
そうなんですよね。メンバーはそれを引き戻してくれるというか。だからメンバーは頼りになる存在で。
» 新体制による変化
ニューアルバム「Geoglyph」2012年9月19日発売 IMPERIAL RECORDS
収録曲
- Across my world
- Westerlies
- 理想飛行船
- Back to ZERO
- Depression’s Dance
- Evil Whisper
- Eternity
- Prometheus
- Live my life
- On Your Way Home
- Last moment
初回限定盤DVD収録内容
- Across my world(Music Video)
- Live my life(Music Video)
- Across my world(メイキング)
- Live my life(メイキング)
- 『Geoglyph』メンバースペシャルインタビュー
- 「Across my world TOUR 2012」代官山UNITドキュメント
knotlamp / Live my life
knotlamp/Across my world
knotlamp(のっとらんぷ)
2007年にLD&K Recordsより1stミニアルバム「Blind Side」をリリース。数多くのロックフェスやライブイベントに出演し、メロディアスな楽曲と強力なライブパフォーマンスで注目を集める。メロディックパンクシーンを牽引する存在としての期待が高まる中、2010年9月7日に2ndフルアルバム「Dot of the Galaxy」を発表。2011年8月の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2011」ではWING TENT最終日のトリを務めた。2012年1月にはMAHIRO(G)が正式メンバーとして加入し、6月6日にImperial Records移籍第1弾となるニューシングル「Across my world」(NHKアニメ「銀河へキックオフ!!」テーマソング)を発表した。9月19日には新体制となって初のフルアルバム「Geoglyph」をリリース。