清竜人×横山由依インタビュー|新曲「離れられない」とW主演ドラマで描かれる、ロマンチックで甘美な世界観

清竜人が新曲「離れられない」を2月18日にリリースした。

清が「自信作」だと語る「離れられない」は、彼の代表曲「痛いよ」を彷彿とさせるストレートなラブソング。ソーシャルドラマの配信に特化したYouTubeチャンネル「みせたいすがた」にて公開されている作品「HANARE RARENAI」の原案としても使用されている。清は「HANARE RARENAI」で横山由依とダブル主演を務めているほか、監督と劇中音楽を担当。脚本家の根本宗子とともに、全5話のロマンチックなラブストーリーを作り上げた。

音楽ナタリーでは、ドラマで恋人役を演じた清と横山にインタビュー。新曲「離れられない」に込められた思いや、ドラマ撮影の裏側、お互いの印象などを語ってもらった。

取材 / 臼杵成晃文 / 石井佑来撮影 / 笹原清明

根本宗子がつないだ2人

──清さんと横山さんがこうして1つの作品でご一緒するというのは初めてのことですよね。そもそもこの組み合わせはどういった経緯で実現したんですか?

清竜人 「みせたいすがた」のプロデューサーから僕にドラマのお話があったんです。それで、かねてから交友のある根本宗子さんに脚本を書いてもらおうということになり、僕から直接声をかけたらご快諾いただいて。そのあといろいろ紆余曲折があったんですけど、結局僕自身が主役だけじゃなくて監督も務めることになったんですよ。それで改めて根本さんとキャスティング案を話しているときに、「横山由依ちゃんどうですか」とご提案いただいて。去年、根本さんが横山さんと舞台で一緒になった際に(2021年10月上演「Cape Jasmine」)、フィーリングがすごく合ったらしいんですよね。今回の座組にすごく合うと思うし、僕も横山さんに興味があったので、ヒロイン役をお願いすることにしました。

横山由依 舞台で根本さんとご一緒させていただいたときに、すごく親身になってお芝居のことなどをお話ししてくださって、それ以降もプライベートでお会いしたりしていたんです。清さんは本当にはじめましてだったので、どういう方かわからなかったですし、ネットで調べても、ビジュアルを含めてどれがご本人かわからないぐらいいろんな面を持たれているので(笑)、すごく新しい感性をお持ちの方なんだろうなという漠然としたイメージだけがどんどん膨らんでいって。でも、根本さんが清さんの楽曲や人柄を好きだとおっしゃっていたので、その輪の中に入れてもらえてうれしいですね。

左から清竜人、横山由依。

左から清竜人、横山由依。

──清さんは、横山さんについてはどんな印象を持っていたんですか?

 関西にいたときに偶然、彼女がやっていた街ブラ番組を2、3回観たことがあって。

横山 「横山由依がはんなり巡る京都いろどり日記」という番組を関西テレビでやらせていただいていたんです。

 それがすごくいい番組なんですよ。深夜に放送されていたんですけど、仕事に疲れてたまたまテレビをつけたときに一番いい塩梅の番組で。疲れて寝る前に一番観やすい温度感というか。僕の中では、その番組の印象が強かったですね(笑)。

横山 ありがとうございます(笑)。清さんはアイドルグループ(清 竜人25)をやっていらっしゃいましたし、“音楽”という大きなくくりでは近い場所にいたと思うんですけど、清さんが歩んでこられた道と、私が歩んできた道は交わらないものだと思っていたんです。私がAKB48にいた頃だったら、こうしてダブル主演を飾ることなんてなかったと思いますし。それがこうして、昨年からお世話になっている根本さんや、初めてご一緒する清さんとともに作品を作れるというのはとてもうれしいですね。「これからいろいろチャレンジしていきたい」と思っていたタイミングでこのような機会をいただけて、本当にありがたいです。

──1つの曲をもとにした作品でお芝居をするというのも、普通のドラマや舞台とは違う部分がありそうですよね。

横山 最初はドラマのことなど何も知らない状態で根本さんから「この曲聴いてみて」と言われたんですよ。冬にぴったりだし、毎年聴きたくなるような素敵な楽曲だなと思って、率直な感想を根本さんに送ったんですけど、まさかその曲をもとにしたお芝居を演じることになるとは(笑)。そんなことはもちろん初めての体験だったので、すごく新鮮でした。

非現実的なくらいドラマチックに

──清さんは、前回のインタビューで「次にシングルで出す予定の楽曲が、ここ最近作った作品の中で一番いい」とおっしゃっていましが(参照:清竜人「コンサートホール」インタビュー)、「離れられない」がその曲だったということですよね。

 そうですね。まさにこの曲です。

──この曲はドラマありきで作ったものだったんですか?

 いえ、「離れられない」はもともとドラマとは関係なく作っていた曲で。実は「みせたいすがた」のお話をいただいてから、「離れられない」とはまったく違う曲を書き下ろしていたんですよ。最初は任侠もののドラマをイメージした曲を書いていて(笑)。

横山 え!?

 実はそうなんですよ(笑)。それで、任侠もののドラマに合わせてハードボイルドでジャジーなアップテンポの曲を作ろうと思って制作していたんですけど、あまりうまくいかなくて。ストックとして持っていた「離れられない」を改めて聴き返していくうちに、「ちょうどこのタイミングでこの曲が完成したのは何かの縁なんじゃないか」と思い始めたんです。もともと根本さんたちに伝えていたイメージとはまったく違うからびっくりされたと思うんですけど(笑)、最終的にこの曲を原作にしようということになりました。

横山 そんな経緯があったんですね。もともと任侠ものの予定だったというのはびっくりです(笑)。

──結果的にすごく純度の高いラブソング「離れられない」が原案として採用されたわけですが、この曲をもとにドラマを作るうえで、根本さんにはどういった脚本をリクエストされたんですか?

 根本さんには「どうせだったら非現実的なくらいドラマチックなラブストーリーにしてほしい」とお伝えしたんですけど、戻ってきた脚本は完璧にイメージ通りで。なので、そこまで細かいディレクションはせず、撮影に臨むことができました。

清竜人

清竜人

甘い世界観に粋を見出したい

──横山さん演じるヒロインは、少し痛々しいほどに聞き分けのいい女性という役どころですが、役には自然と溶け込めましたか?

横山 「まさに自分だな」というところと「私とは全然違うな」というところがありましたね。私は相手のことを細かく覚えていられるようなタイプではないので(笑)、そういうところは違うと思うんですけど、気持ちをなかなか言葉にできない部分などは自分と重なるものがありました。でも主人公が本当に何も言わない人なので……こういう関係性になるとすごく難しいですよね(笑)。

──主人公は、清 竜人25でのプレイボーイ像とは正反対の、見ていてもどかしいぐらい不器用なキャラクターになっていますね。

 僕が普段こんな話し方なので、大きな声でしゃべらなくても成立するような人物像にしてくれたというのもあると思います。朴訥としていてもキャラクターとしてちゃんと成り立つというか。主人公もヒロインも、変な役作りをせずニュートラルな状態で演じられるようなキャラクター設定になっているなと。

──ということは、普段の清さんと似通っている部分もけっこうある?

 うーん、それはどうだろう.......僕はあんなに優しくないと思います(笑)。

──なるほど(笑)。では恋人同士を演じてみて、お互いの印象はいかがでしたか?

 撮影後の編集作業で横山さんのことを死ぬほど見たんですけど(笑)、すごくフォトジェニックな方だなと思いましたね。演技だけでは出せないような佇まいのよさがあるというか。

横山 ありがとうございます。清さんが監督で忙しくされていたというのもあって、そこまでコミュニケーションを取らずに撮影に臨みましたよね。私は、それがかえってやりやすかったです。最初に撮影したのが、2人が初めて会う2話の食事のシーンだったんですけど、順番的にすごくよかったと思っていて。2人のピュアな雰囲気を自然に出すことができたんじゃないかな。

横山由依

横山由依

──主人公とヒロインのピュアな関係性を象徴するシーンとして、手紙でのやりとりも印象的でした。

 最近のラブストーリーは、今の情勢を反映させたり、リアルで現代的な描写を取り入れたりした作品が多い気がしていて。それはそれでいいと思うんですけど、この作品ではロマンチックな方向に振り切りたかったんです。ファンタジックなくらい甘い世界観にこそ、粋があるんじゃないかと思って。

──後半に行くにしたがって横山さん演じるヒロインの感情がむき出しになるのがすごくいいですよね。それまで感情を押し殺していた人がたまらず内面をさらけ出してしまう姿にグッときました。

 横山さんは喜怒哀楽でいうところの“怒”と“哀”がいいですね。怒ってる表情や憂鬱そうな面持ちがとても美しい。特に3話の後半から4話にかけての表情やパフォーマンスが作品の雰囲気にすごくハマっていると思います。

横山 昨年舞台で根本さんとご一緒したときも、基本的に何も言わないけど最後に感情が爆発するという役柄だったので、根本さんには私がそういう人に見えているのかもしれない(笑)。私自身、感情の起伏が激しいタイプではないので、「言いたいことが言えない」という一面を読み取って作品に落とし込んでくれたのかな。でもそんな中で、後半では普段とはまた違う引き出しを開いていただけて。これからお芝居をしていくうえで「もっといろんな面を出していかないと」と思っているので、うれしかったですね。