遊びのあるKen BandとハングリーさのあるNAMBA69
──今回のカバー曲を選んだ背景も聞かせてください。Ken BandはHanoi Rocks「Malibu Beach Nightmare」のカバーをしていますが、Hanoi Rocksは好きだったんですか?
横山 大好きですよ。あの曲のカバーは下手にアレンジせずに、そのまんまやってみて、お客さんが喜んでいるところが目に浮かんじゃって。サックスソロをギターで弾いてるところが違うぐらいで。あと、BPMがちょい速い。カバーについては、NAMBA69の方が興味深いと思いますよ(笑)。
──NAMBA69はBlur「Song 2」のカバーを収録しています。
難波 あのカバー、変ですよね。「このカバーやんない?」って俺が言ったのかな? そしたらko-heyが難色を示したんですよ。「俺、そのままやるの嫌です」って言ってきて、Aメロにスカパートをいきなり持ってきたの。最初は意味わかんねえと思ったんだけど(笑)、結果的に採用した。あいつのそういうところ、すごいですよね。
横山 けっこう僕とko-heyって同じギタリストでありながら、真逆の思考なのかもしれないですね。でも僕も20代の頃はそうだったかも。今は年取っちゃってなんでもよくなっちゃったところがあるんですよね。いや、そんな無責任なことを言っちゃダメか(笑)。
──オープンマインドになったということですよね。
難波 ああ、でもそれは感じるな。Ken Bandの懐のデカさと言うか。比べちゃうと、NAMBA69よりも大人だもん。みんなが音を楽しめてる。そういう余裕は感じましたね。
横山 今ハッと思ったのが、Ken Bandにはある程度の余裕とか遊び心はあるけど、NAMBA69にはハングリーさがありますよね。そこの対比もまた面白いんですよ。
難波 話は飛んじゃいますけど、今作はPIZZA OF DEATHから出るんですよね。そこもハングリーですよ(笑)。まずはKen Bandファン、PIZZA OF DEATHキッズは間違いなく100%聴くわけでしょ。俺らはそこにチャレンジするわけですよ、「こんなバンドいるよ」って。今までもしかしたら耳も傾けてくれなかった人が、どうしても1回は聴いちゃうわけですよ。そこで1回聴いたときに「おお、いいじゃん!」「ヤベエじゃん!」って思わせるにはどうすればいいのかな?っていう。そこはハングリーになるし、チャレンジですよね。
横山 でも実はそれは僕にもあって。Ken Bandは聴かないけどNAMBA69は聴く人がいるわけ。そういうヤツをやっぱりノックアウトしたいじゃん。NAMBA69って、今元気のあるラウドロックを好んで聴く人たちが聴ける音楽性を持ってるじゃないですか。そういう子たちはKen Bandは聴かないんですよ。そういう子らに「こっち来いよ」「こういうのもあるよ」っていうのを提示したかったし。それはお互い絶対にあるんです。だから作品を作る段階ではタイトル通り“Ken Yokoyama VS NAMBA69”でいいんですけど、作品としてツアーで持って回るときは、「みんな来いよ」っていう気持ちでいますね。これ言っちゃ元も子もないかもしれないんだけど、「All Generations」(2017年10月発売のHi-STANDARDのアルバム「THE GIFT」の1曲目タイトル)ってことじゃなんじゃないの?(笑)
褒め合いに猛照
──では最後にお互いがどういう人なのか、褒め合いをしてほしいんですが。
横山 ちなみにこのインタビュー、今までもほぼ褒め合いですよ(笑)。コラム(参照:横山健の別に危なくないコラム)にも書いたんですけど、難ちゃんは、本当に“火の玉”みたいな人なんですよ。それが悪く作用しちゃうときもある。でも今はそれがすごくいいほうに作用してるし、少なくとも僕が一緒にハイスタでやってるときは、僕が悪いようには作用させないと思ってます。
難波 落ちてるときとか助けてくれますからね。すごく上げてくれるんですよ。
横山 Hi-STANDARDを一緒にやってる特別な仲であり、家族とも会社ともただの友達とも違う、すごく特別な仲間であり、でも別のバンドもやってて、スプリットも一緒にできる。しかも途中で仲が悪くなったっていう経緯がある。こういう関係って、少なくとも音楽界ではほかにないんじゃないかなと思いますね。だからまたこの先、ケンカするのも面白いですよね(笑)。もう何が起こっても余裕ですよ。そういう関係を見せていければなと思いますね。
難波 健くんは、まずはね、実はものすごく優しい人なんですよ。世間のイメージは突っ張っててとんがってるイメージかもしれないですけどね。実は今回のスプリットの話を電話してくる前に、ツネちゃんに電話してスプリットをやるって説明してるんですよ。ツネちゃんはもちろんOKで。そういうことができるって、すごい優しいなと思いましたね。
横山 途端に“猛照”になってきちゃった(笑)。
難波 ハイスタのツアーで俺の声が出なかったときも、落ちてるときも、上げてくれるんです。「がんばれ」とは言わないですよ。でも「ハイスタは世界一のロックバンドだから、ブチかまそうよ」って。この年齢になってくると、そういうことを恥ずかしげもなくオープンに言ってくれる存在ってあまりいないんですよ。
横山 奥さんと僕ぐらいなのかな?(爆笑)
難波 そんな健くんが発案したアイデアに、俺たちが全力をかけて臨んだわけですよ。「Ken Yokoyama VS NAMBA69」はそこで生まれた作品なんで、これはもう間違いない。聴いてもらいたいです。
横山 本当、聴いてもらいたいですね。
- Ken Yokoyama / NAMBA69「Ken Yokoyama VS NAMBA69」
- 2018年6月6日発売 / PIZZA OF DEATH RECORDS
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[CD]
1944円 / PZCA-83 - 収録曲
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- Support Your Local / Ken Yokoyama
- Malibu Beach Nightmare / Ken Yokoyama
- Come On, Let's Do The Pogo / Ken Yokoyama
- LIVE LIFE / NAMBA69
- PROMISES / NAMBA69
- SONG 2 / NAMBA69
公演情報
- Ken Yokoyama VS NAMBA69 Tour
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- 2018年6月22日(金)宮城県 Rensa
- 2018年6月24日(日)新潟県 NIIGATA LOTS
- 2018年7月4日(水)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2018年7月5日(木)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
- 2018年7月10日(火)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年7月12日(木)大阪府 なんばHatch
- 2018年7月13日(金)愛知県 DIAMOND HALL
- Ken Yokoyama(ケンヨコヤマ)
- 1969年10月1日生まれ。Hi-STANDARD、BBQ CHICKENSのギタリスト。2004年にソロアーティストとしての活動を開始し、Ken Yokoyama名義によるアルバム「The Cost Of My Freedom」をリリースした。Ken Bandとしてライブ活動を開始してからも、2005年の2ndアルバム「Nothin' But Sausage」をはじめ定期的に作品を発表。2008年1月に初の東京・日本武道館公演を実施したほか、2010年10月には「DEAD AT BAY AREA」と題したアリーナライブを神戸と幕張で実施した。2011年にはHi-STANDARDのライブ活動再開や「AIR JAM 2011」開催など、ソロ以外の活動も続々展開。2012年11月に5thアルバム「Best Wishes」をリリースした。2013年11月にはドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草(しっぷうけいそう)編-」が全国60館の劇場にて公開され、2014年9月に「Stop The World」を収めたCDが付属したDVD「横山健 -疾風勁草編-」を発売した。2015年7月には8年4カ月ぶりとなるシングル「I Won't Turn Off My Radio」をリリースし、テレビ朝日系「ミュージックステーション」に初出演。大きな話題を呼んだ。9月にニューアルバム「Sentimental Trash」を発表し、同月より年をまたいだ全国ツアー「Sentimental Trash Tour」を開催した。2018年6月にNAMBA69とのスプリットアルバム「Ken Yokoyama VS NAMBA69」をリリース。
- NAMBA69(ナンバシックスティーナイン)
- 2010年3月からソロ名義で活動を行ってきた難波章浩(Vo, B / Hi-STANDARD)が2013年3月にK5(G)、SAMBU(Dr)と結成したパンクバンド。2014年6月にデビューシングル「MELODIC PUNKS NOT DEAD!!!」、同年12月に1stアルバム「21st CENTURY DREAMS」をリリースした。2016年6月にko-hey(G, Cho / ex. ARTEMA)が加入し、4人体制に。2016年に株式会社ジャパンミュージックシステムと共同で新レーベル「POP SPEED RECORDS」を設立し、2017年4月にミニアルバム「HEROES」を発表した。2018年6月にKen Yokoyamaとのスプリットアルバム「Ken Yokoyama VS NAMBA69」をリリース。