音楽ナタリー Power Push - カノエラナ
Twitter動画で話題のSSW、メジャーへ参上。
常にそのときの気持ちを歌いたい
──あと、カノエさんの歌詞は言葉選びも面白いなって思いました。「ズワイガニ」もそうですけど、「シャトルラン」なんて曲、なかなか作らないですよね。しかも歌詞に一切シャトルランという言葉は出てこずタイトルのみ。
「シャトルランってなんだろう?」って思ってほしかったんですよ。私たちの世代にとって「シャトルラン」ってなじみ深い言葉だけど、大人は全然知らなかったりするみたいで。
──合図音に間に合うように20m間を延々と往復し続ける種目ですよね。私もスポーツテストでやりました。
学生時代に嫌だなと思った体育の記憶ってだいたいシャトルランだったんです。本当に嫌で。嫌なことを嫌でもやらなきゃいけないとき、応援歌があったらいいなって思ってタイトルをシャトルランって付けたんです。
──なるほど。「恋する地縛霊」は内容はタイトル通りなんですが、こういうファンタスティックなアイデアってどういうところから湧いてくるんですか?
私、アニメが好きなんですけど、そういうものに影響されてるかもしれないですね。頭の中で主人公を作って、設定を考えて、その主人公が登場する物語を作って、歌詞にするっていう。見た目とかも全部設定の中であるんです。「恋する地縛霊」は黒いロングのウィッグを見て、「地縛霊の歌ってどうかな?」というアイデアから、物語を作り始めました。
──「恋する地縛霊」もそうなんですけど、空想の話を歌った歌でもカノエさんの姿が浮かぶというか、等身大な感じがあるなと思います。
大きなことを歌いすぎないっていうのをすごい大事にしてます。経験していないことを歌っても、気持ちが入らないんです。だから空想の話でも自分の経験を混ぜてますね。私があまりに大きなテーマについて歌っても、お客さんに気持ちが届かないと思うし。今思ってることをストレートに言ったほうがたぶん同世代には刺さるんじゃないかなと思って。きちんと言い切りたいから、アルバムタイトルにも「。」を付けたし。年上の人には「ああ、そういう気持ちになったこともあったわあ」とか、「え、そういくのか! 今の子は!」っていう感じで聴いてほしいです。
──となると、年齢を重ねていくと歌う内容がきっと変化していくんでしょうね。
絶対変わってくると思います。
──将来めっちゃくちゃ売れて、高層マンションの最上階に住むような超お金持ちになったら……。
たぶんそういう歌ができるんだと思います。
──あはは(笑)。
たぶん「こんなとこにいて私、何したらいいかわからんねん!」って歌ってると思いますよ(笑)。常にそのときの気持ちを歌った歌を届けていきたいという思いがありますね。
Superflyとaikoの中間に
──これから先の具体的な目標はありますか?
うーん、とにかくライブをたくさんしたい。直近の大きな目標はフェス出演ですね。私にとって初めて観に行ったフェスの「METROCK」にも出たいし、「イナズマロックフェス」には一度出させてもらったんですが、前よりも大きなステージに立ちたいという野望もあります。
──地元でライブをしてみたい場所はありますか?
地元にいた頃はライブハウスというライブハウスに行ったことがなかったので、具体的にはあんまりないですね。あ、でもショッピングモールで歌いたい! 唐津で人が集まるとこって言ったらそれくらいしかないんです。だからショッピングモールで歌えたら一人前なのかなと思っています。学生時代に行った思い出の場所でもあるし、そういう場所でたくさんの人の前で歌えたらと思いますね。
──あとカノエさんはアニメ好きですよね。アニソンも歌ってみたかったりしますか?
もちろん歌いたいです。最初の夢はアニメのオープニングやエンディングを歌う歌手だったんで。今もそういう気持ちはありますけど、ライブがやりたいっていう気持ちがどんどん強くなっていますね。
──憧れているアーティストはいますか?
事務所の先輩のSuperflyさんはライブを観たときに「カッコいい! シビれる!」って思いました。シンガーソングライターならaikoさんに憧れています。私の狙うところはaikoさんとSuperflyさんの中間ぐらいで、「そのあたりに行かせてください! お願いします!」って心の底で思いながら、がんばっていきたいです(笑)。
収録曲
- シャトルラン
- 恋する地縛霊
- My World
- 夏の祭りのわっしょい歌
- あたしの彼氏は二次元の人
- 大事にしてもらえよ
カノエラナ
佐賀県唐津市出身の1995年生まれの女性シンガーソングライター。14歳の頃に出場した「唐津ジュニア音楽祭」で、EGO-WRAPPIN'「くちばしにチェリー」を歌って優秀賞を獲得した。高校を卒業した2014年の春に上京し、音楽活動を本格的に開始。Twitterに弾き語りの30秒動画を上げるようになったことをきっかけに人気に火が付き、ライブ動員を徐々に増やしていった。2016年3月に行った東京・渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブはソールドアウト。同年8月にワーナーミュージック・ジャパンよりミニアルバム「『カノエ参上。』」でメジャーデビューを果たす。