感覚ピエロが2月にバンド史上初となるフルアルバム「色色人色」をリリースし、3月4日より47都道府県ツアーを開催することを発表した。彼らが47都道府県ツアーを行うのは2015年以来2度目。前回以上に大きな会場を回ることになる今回のツアーでは、なんと先行チケットの購入者にもれなく新作アルバムの音源をプレゼントするという新しい試みが行なわれるという。
今回のインタビューでは、感覚ピエロが“アルバム付きツアー先行チケットの発売”という新たなチャレンジに踏み切った理由を聞きながら、常にリスナーファーストの目線でDIY精神を貫いてきたバンドのスタンスについて掘り下げた。
取材・文 / 秦理絵 撮影 / 後藤壮太郎
先行チケットと一般発売のチケットの値段が一緒なのはおかしい
──現在アルバムの制作はどの段階ですか?
秋月琢登(G) わりと大詰めですね。
滝口大樹(B) 今はベーシックを録り終えたばっかりで、歌入れが残ってる曲があるぐらいです。
秋月 8割ぐらいだよね。
滝口 僕らの曲作りで一番気を遣うのがプリプロなんですよ。そこでコーラスワークとか楽器のフレーズを詰めるので、そこが一番大変なんですけど。
秋月 そこは終わってるから、あとは清書をする感じですね。
横山直弘(Vo, G) ようやく佳境に入って、アルバムがどういうふうになるかも見えてきたから、ワクワクしてます。ちょっと前までは、終わりが見えないトンネルにいたみたいでしんどかったけど(笑)。満を持しての1stフルアルバムなので、自信を持って出せそうですね。
──今までどうしてフルアルバムを出してこなかったんですか?
秋月 フルアルバムって疲れるじゃないですか(笑)。
──聴く人が?
秋月 うん。十何曲も入ってるフルアルバムを聴いても、意外と自分の中に残る曲は限定されると思うんですよ。車で聴いてても、最後まで聴き終わらずに目的地に着いちゃうとか。やっぱり曲って何回もリピートして覚えるものだし。っていうのもあって、聴きやすい5曲ぐらいで、コンセプトをそろえて出すのがいいかなと思ってたんです。でも、今回のアルバムには「ワンナイト・ラヴゲーム」とか「A BANANA」「疑問疑答」とか、配信だけでCDでは出してない曲が入ってたり、今僕らがやりたいホットな曲を詰め込んでるので。ちゃんと自分たちの中で出す意味はあるんです。
──楽しみにしてます。で、このアルバムの音源が3月から開催される47都道府県ツアーのチケットに付くと。これは何がきっかけで決まったんですか?
秋月 11月に初めてのシングル「#HAL」を出すとか、2月にアルバムを出すとか、もちろんトピックスはそれだけでもいいんですけど、それだけだと面白くない気がするんですよね。音楽をやる以上、リスナーが僕らに寄りかかってくれる現場を1本でも多く作りたいので。それで、もう一度47都道府県に行こうかって話になったんです。
──まず、ツアーありきだったんですね。
秋月 でもリリースに合わせてツアーをするって普通じゃないですか。それと、僕はずっと、先行で買ってくれるチケットと一般発売のチケットの値段が一緒なのはおかしいなって思ってたんですよ。
──確かに。「FUJI ROCK FESTIVAL」とかは先行割引もありますけど。
秋月 そうそう。先行チケットを買うって、すごく先のスケジュールを空けてくれるわけじゃないですか。そこに対して、僕らなりに何かしてあげたいなと思ったんです。なおかつ今回はリリースツアーで47都道府県をまわるので、「アルバムを聴いて待っといてや」っていう意味で、先行チケットを買ってくれた人にアルバムをプレゼントしてもいいかなと思ったんです。今やCDはグッズとしての側面が大きいし、それでCDが売れるか売れないかは、あんまり気にせずに。それよりも僕らが現場でリスナーと、どれだけいい1日を作れるかのほうが重要なんですよ。音楽の価値を下げてるわけじゃないんです。値段が高くてCDが買えない子らにも音源を聴いてほしいし、今の時代だからこそパッケージ化に対するハードルは設けなくていいと思ったんです。
──と言うことは、チケットの値段だけでアルバムを全部聴けちゃうんですか?
秋月 そうです。アルバムが付く先行チケットも、その後に一般発売で買えるチケットも料金は一緒なんです。
オリコン圏外でも武道館でライブをやるバンドのほうがかっこよくないですか?
──さっき「CDはグッズ」って言ってたのが気になったんですけど、その感覚って、いつ頃から芽生えたんですか?
秋月 その傾向は僕らが活動を始めた頃からあったと思いますね。僕らは2013年に結成したんですけど当時「メリーさん」とか「O・P・P・A・I」が入ってる5曲入りCDを500円ぐらいで手売りしてたんですよ。そうすると、もちろん会場でCDを買ってくれるファンもいっぱいいるんですけど、同じ500円でラバーバンドを買う人のほうが多いんですよね。僕らの使ってる労力と時間で言うたら、音源のほうがデカいんですけど、「俺らはこのゴムに負けるのか」と。
──ちょっと切ないですね。
秋月 そのときに「CDはグッズの一貫かな」と思ったんです。僕らはリード曲のミュージックビデオをネットで観られるようにしますけど、やっぱりアルバムはアルバム全体で聴いてほしい。でも、さっきも言ったように12曲を一気に聴くのが難しいのもわかるんですね。そういう意味で、聴く時間を始めに設けてあげるのがいいかなと思ったんです。わかりやすく言うなら、予習ですよね。ほんまにCDを欲しかったら、パッケージを買ってもらえればいいし。
──最初にこの企画を聞いたとき、リスナーにサービスを与えることで、バンド側が何かを我慢をすることになるのかと思ったんですけど、そうじゃないんですね。バンド側にしても、ちゃんと音源を聴いてからライブを観てもらえるから。
秋月 そうですね。普通のレコード会社に所属してたらやらない企画だと思います。それは主軸が違うからだと思うんですよ。僕らはCDを売るために音楽をやってると言うより、音楽を発信するためにやってるので。
滝口 一番言いたいのは、「聴いてほしい」っていうことなんですよ。
──何かデメリットをあげるとしたら、CDの売り上げが落ちるわけだから、オリコンとかiTunes Storeのランキングには集計されないことぐらいですか?
秋月 僕らはそこまでオリコンも意識してないですからね(笑)。
西尾健太(Dr) まあ、入ったら入ったでね。
横山 もちろんうれしいけど。
秋月 ずっとランク外でも武道館とかアリーナでライブをやってるバンドのほうがカッコよくないですか? ずっと圏外やのに、ライブにはお客さんがちゃんと入って、そこにいるお客さんはアルバムの曲とか、あんまりライブでやらない曲も知ってくれてる。
滝口 そのほうがうれしいですよね。
秋月 減るものじゃないじゃないですからね。音楽は消耗品じゃないのでいくらでも拡散できるから、CD1枚に収める必要がまったくない。なんならCDにしたものの聴いてもらえず在庫に眠ってるほうがかわいそうですよ。だから、それを解放してあげたい。グッズとして持っていたい人とか歌詞カードを見たい人はCDを買えばいい。今後のCDのあり方はそれでいいと思ってるんです。
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マンネリ化してしまったら、僕らは終わってしまう
- 感覚ピエロ 47都道府県ツアー2018(仮)
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- 2018年3月4日(日)愛知県 Zepp Nagoya
- 2018年3月9日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2018年3月10日(土)埼玉県 西川口Hearts
- 2018年3月11日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2018年3月17日(土)大分県 DRUM Be-0
- 2018年3月18日(日)宮崎県 SR BOX
- 2018年3月20日(火)鹿児島県 SR HALL
- 2018年3月21日(水・祝)熊本県 熊本B.9 V2
- 2018年3月23日(金)福岡県 DRUM LOGOS
- 2018年3月24日(土)佐賀県 SAGA GEILS
- 2018年3月25日(日)長崎県 DRUM Be-7
- 2018年3月31日(土)山梨県 KAZOO HALL
- 2018年4月1日(日)長野県 ALECX
- 2018年4月4日(水)岩手県 Club Change WAVE
- 2018年4月5日(木)青森県 青森Quarter
- 2018年4月7日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2018年4月8日(日)千葉県 柏ThumbUp
- 2018年4月13日(金)広島県 CLUB QUATTRO
- 2018年4月14日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
- 2018年4月18日(水)愛媛県 松山サロンキティ
- 2018年4月20日(金)高知県 X-pt.
- 2018年4月21日(土)香川県 DIME
- 2018年4月22日(日)徳島県 club GRINDHOUSE
- 2018年5月16日(水)秋田県 秋田LIVE SPOT 2000
- 2018年5月17日(木)山形県 山形ミュージック昭和Session
- 2018年5月23日(水)群馬県 高崎clubFLEEZ
- 2018年5月26日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年5月27日(日)神奈川県 横浜BAYSIS
- 2018年5月31日(木)福島県 郡山CLUB #9
- 2018年6月1日(金)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2018年6月3日(日)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
- 2018年6月6日(水)石川県 vanvanV4
- 2018年6月9日(土)福井県 福井CHOP
- 2018年6月10日(日)富山県 MAIRO
- 2018年6月17日(日)北海道 Sound Lab mole
- 2018年6月23日(土)岐阜県 CLUB ROOTS
- 2018年6月24日(日)三重県 M'AXA
- 2018年6月30日(土)和歌山県 和歌山CLUB GATE
- 2018年7月1日(日)奈良県 奈良NEVER LAND
- 2018年7月6日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2018年7月7日(土)京都府 KYOTO MUSE
- 2018年7月8日(日)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2018年7月14日(土)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2018年7月15日(日)島根県 松江 AZTiC canova
- 2018年7月16日(月・祝)山口県 LIVE rise SHUNAN
- 2018年7月21日(土)沖縄県 桜坂セントラル
- 2018年7月28日(土)大阪府 なんばHatch
- 感覚ピエロ「#HAL」
- 2017年11月22日発売 / JIJI INC.
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通常盤 [CD]
1296円 / JICD-00001 -
ブラッククローバー盤 [CD]
1620円 / JICD-00002
- 通常盤収録曲
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- ハルカミライ
- ミステリアスに恋をして
- 0になって
- ブラッククローバー盤収録曲
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- ハルカミライ
- ミステリアスに恋をして
- 0になって
- ハルカミライ(TVアニメver.)
- ハルカミライ(Instrumental)
- 感覚ピエロ 1stフルアルバム「色色人色」
- 2018年2月発売予定
- 感覚ピエロ(カンカクピエロ)
- 横山直弘(Vo, G)、秋月琢登(G)、滝口大樹(B)、西尾健太(Dr)により2013年7月に大阪で結成。同時期に自主レーベル・JIJI RECORDSを設立し、事務所や音楽レーベルに所属せずにセルフプロデュースで活動を展開している。2015年6月に初の全国流通盤となるミニアルバム「Break」を発売し、このリリースイベントとして47都道府県ツアーを完遂。同年発表のオリジナル曲「拝啓、いつかの君へ」が、2016年4月から放送された日本テレビ系ドラマ「ゆとりですがなにか」の主題歌に採用された。その後、2017年6月に公開された映画「22年目の告白ー私が殺人犯ですー」に主題歌「疑問疑答」を書き下ろし。テレビアニメ「ブラッククローバー」のオープニングテーマとして「ハルカミライ」を提供し、同曲を収めた初のシングル「#HAL」を2017年年11月にリリースした。