神様、僕は気づいてしまった×BLUE ENCOUNT|異なるスタンスで戦う、2組のバンドのシンパシー

リスクもあるけど、やってみる価値はある

──東野さんはどうですか? 1stフルアルバムの手応えについて。

東野 そうですね……インタビューで嘘をつきたくないので正直に言いますけど、昨日の夜、ブルエンさんの新譜を聴かせてもらって、「俺たち、ダメなところがたくさんあるな」と思って。

江口 いやいや(笑)。全然そんなことないですよ。

和泉 バンドらしい音を作るのは、まだまだ課題があるよね……でも、俺は「アルバムできた! やったー!」っていう気持ちのほうが先行してたかな(笑)。

東野 俺も音源が完成した直後はそうだったんだけど、「こうしたほうがよかったかな」というところはたくさんありますね。

高村 いいことだと思います(笑)。でも、神僕のキラキラした感じだったり、楽曲の雰囲気というのは、そういうものから生まれるものじゃないんですか? 生楽器の要素を入れるとどうなるのかなって。

東野 やってみないとわからないですね、それは。でも僕らは頭脳労働をしているので、知的探求心が大事だと思うんですよ。リスクもあるけど、やってみる価値はあるのかなと。

タイトルのことでケンカみたいになったんですよ

──アルバムの全体的なテーマはあったんですか?

東野 自分の中では“2つの孤独”みたいなことをテーマにしているんです。孤独という言葉は英語では“Alone”と“Solitude”といった2つの表現が存在するんですが、それぞれニュアンスが違うんですよね。“Alone”は1人でいるがゆえの閉塞感、寂しさ、せきばく。対照に“Solitude”は1人でいることで人間性を高める、成長するといった感じの含意があって。その両方を表現したいと思ってました。

東野 あとはジャケットの打ち合わせだったり、「どういうタイプの曲が足りないか?」というところで全体像ができていった感じです。アルバムのタイトルはかなり話し合いましたけどね。

和泉 みんなで衝突しながら、意見を出し合いましたね。

東野 ケンカみたいになったんですよ。最初は英語のタイトルにしようと思ってたんですけど、ボーカルのどこのだれかが、神僕で英語のタイトルは違うと思うって言ってたんです。でも、一理あるなと思ったんですよね。音楽にはいろいろな形があるじゃないですか。エンタテインメントの提供、アートとしての提起、プロダクトの提案とか。バンドはエンタテインメントだと思っているので、自己満足になっちゃいけないし、リスナーが英語のタイトルを求めていないのだとしたら、考え直さないといけないなと。「20XX」という曲はけっこう前からあって、どこのだれかが「すごくいい曲名だから、アルバムのタイトルにしたらどうかな」と言い出して。結果として、全体を統括するようなタイトルになりましたね。

神様、僕は気づいてしまった

和泉 うん。腑に落ちる感じがあったよね。

高村 いろんな想像ができるタイトルですよね。

──普段はそこまで話し合わないんですか?

東野 そうですね。

和泉 確かに今までのミニアルバムやシングルは、各メンバーがそれぞれ動きながら制作しているイメージが強かったんですが、今回のアルバムは、制作の途中でバンドらしい熱さもあったから、「いいぞいいぞ」って思ってました(笑)。そのことも聞きたかったんですけど、ブルエンさんはメンバー同士でバチバチに言い合うことってありますか?

江口 いつもバチバチですよ(笑)。

高村 何かにつけて、そうなるよね。

江口 田邊のMCにも口を出しますからね。リハのときから「こういうことを話そうと思う」という話をするんだけど、こっちから「それは違うだろ」って言ったり。

和泉 すごい。1つのライブを全員で作り上げてるというか、常に全力なんですね。俺もそのスタジオの中にいたい(笑)。

高村 (笑)。「MCありきのライブ」という考え方だから、リハのときからMCの内容も想定しておくんですよね。

江口 結局、ボーカルの発言がバンドの発言になるじゃないですか。そこに相違があったり、「俺はそんなこと思ってないよ」というメンバーがいたら、発言が薄くなる気がして。ライブのあとも「今日の発言、俺は好きじゃない」って言ったりしますよ。端から見るとケンカしてるみたいに思われるかもしれないけど、仲はいいんです(笑)。高校のときからやってるバンドだし、本音で話せる関係を作ってきたので。

東野 それは必要なことですよね。神僕を始めてから、そのことは常々感じてます。