神様、僕は気づいてしまった×BLUE ENCOUNT|異なるスタンスで戦う、2組のバンドのシンパシー

1人でアレンジすることと、バンドでアレンジすることのよし悪し

──高村さんは神僕の曲のアレンジについて、どう感じていますか?

高村 さっきも言いましたけど、神僕の曲のアレンジはすごく面白くて。「なんでここでスネアを一発入れるんだろう?」みたいなことがたくさんあるんですよね。そういう発想って、ライブハウスから始まって、インディーズを経験してきたバンドからは出てこない気がするんです。デスクトップミュージックみたいというか、アレンジの段階で細かくいろいろなことを考えているバンドじゃないと出てこないフレーズだなと。

江口 わかる。キメとかも「普通はそこに入れないよな」というタイミングで入ってきたり。プレイヤーの目線でもすごく楽しめるし、それぞれの楽器に耳がいくので、聴きどころがたくさんあるんですよね。

高村 楽器の絡み方もきれいだしね。

東野 僕も和泉も、デモの時点で「これが自分の100%です」というものを作っちゃうんですよ。「やれることをやったから、あとはみんながどうにかして」っていう。そういう作り方だと後戻りができないというか、自分が積み上げたものを思い切って壊したり、変えることが難しいんですよね。バンドって本来、メンバー全員でスタジオに入って、「俺はこうするから、お前はこうしてみて」みたいに歩み寄りながらアレンジを作っていくものじゃないですか。自分たちはそうじゃないから、「熱量が損なわれているんじゃないか?」と思うこともあって。

和泉 今の話でよくわかった(笑)。確かに、1回決めたらそこから動けなくなりがちだよね。

東野 ブルエンさんは、やっぱりスタジオに入って曲を作るんですか?

江口 そうですね。4人でスタジオに入って、10%、20%、30%という感じで少しずつ積み上げて。90%くらいまで行ったのに、「60%くらいまで戻ってやり直そう」ということもあるし。

高村 途中でギターのフレーズを全部変えたりね。

江口 それが日常ですね(笑)。

東野 それがバンドですよね……見習いたいです。

和泉 メンバーが意見を言い合うことで、曲が変わっていくこともあるだろうし。1人でアレンジすると、どうしても似たようなフレーズやフィルになっちゃうんですよ。

江口 よし悪しだと思いますけどね、そこは。うちのバンドの曲はボーカルの田邊(駿一)が作るんだけど、1人で作っていたときのトゲが、4人でアレンジすることで削れちゃうかもしれないので。すごくとがった曲だったのに、全員で意見を出すことで普通の曲になる可能性があるというか。

高村 ホントにそうだよね。僕らと神僕と足して2で割ればいいのかな(笑)。

高村佳秀(Dr / BLUE ENCOUNT)(撮影:浜野カズシ)

──田邊さんが「こういうサウンドにしてほしい」と言うことも?

高村 もちろんありますよ。ドラムに関しても、すごくフレーズを詰め込もうとしたら、「全部削ぎ落して」と言われたり。逆に「これ、大丈夫かな」と思うようなフレーズがすんなりOKになることもあって。

江口 田邊の予想を超えるようなフレーズだと、「いいね」ってなることが多いかな。それも全員で作ってることの面白さですね。

高校生や大学生に「演奏したい」と思わせる魅力が必要

──では、神様、僕は気づいてしまったの1stアルバム「20XX」について。江口さんと高村さんが聴いた感想を聞かせてください。

高村 はい。すごくよかったです。

江口 「CQCQ」を聴いたときもそうだったんですが、シンプルに「カッコいい」と思いましたね。まず、ボーカル(どこのだれか)の声にオリジナリティがあるじゃないですか。

高村 うん。「男性のボーカルで、この音域までいけるの?」っていう……。

江口 ボーカルだけじゃなくて、楽器陣にもすごく個性があって。サウンドを聴いて、「あのバンドだ」とわかるって、大事なことだと思うんですよ。イントロを聴いて「あのバンドっぽいな」と気になって、歌が入ってきて「やっぱり!」っていう。神僕の曲には、それがすごくあるんですよね。ギターのリフ、イントロのフレーズにオリジナリティがあるし、曲を聴けばすぐに神僕だとわかる。それは僕も意識しているし、バンドが世に出ていくためには必要なことだなと。今回の1stアルバムは、神僕の一番いい名刺になると思います。

高村 バンドをやってる高校生や大学生がコピーしたくなるようなフレーズもたくさんあって。キラキラしてるし、かなり複雑だし、楽器をやってれば「演奏したい」と思うんじゃないかなと。そういう魅力も必要ですからね、バンドには。

江口 そうだね。

高村 コピーすることで、「やっぱりこのバンドはカッコいい」と実感できるだろうし、それが「CD買おう」とか「ライブに行きたい」につながると思うので。

和泉 それはブルエンさんの曲にもありますけどね。ベースラインもすごく動くし、スラップのフレーズもあって、「楽器をやってる男児のロマン!」っていう感じで。それを自分のモノにして、曲の中にどう取り入れるか?ということを続けているので。