まあ売れてないんですけど、僕らはすごくいい位置にいるなって思ってて
──今回のアルバムで神聖かまってちゃんはある種の到達点にたどり着いたように感じます。
の子 この15年くらいで11枚のアルバムを出して、僕も神聖かまってちゃんを客観的に見て「ここまで来たね」っていう感じがしますね。先人のすごいバンドにも、最高傑作みたいな作品があったりするじゃないですか。でも「我々はここで極まった」って言うのは、これから先はどうなっていくのかって話になるから嫌ですね(笑)。単純な話、生きている限りはただただその時々の全力でゲロ吐きながらやっていくつもりなので。
みさこ そのときやりたいことをやってるだけだし、それがいいと思う。
の子 僕はね、神聖かまってちゃんには夢があるのがいいと思ってるんです。夢が残されてる。アイドルみたいなこと言いますけど、日本武道館でライブをしたいです。「誰にも評価されなくていいや」みたいに突っぱねている部分もあるんですけど、今のままの神聖かまってちゃんで武道館に立ちたい、という気持ちは変わらない。というか変われないんだよ。神聖かまってちゃんが武道館に立つって、そこらへんのやつらが立つのとは意味が違うんです。それはわかるじゃないですか。
──なんとなくわかる気がしますが、ちなみにどういうことでしょうか?
の子 例えば、いきなりクラスの人気者になるみたいなことだから。教室の隅にずっといる影すらもない存在だったのに、一度流行れば「流行ってるから好き」って言ってくれる人も出てくる。それはありがたいことですけど、やっぱりいろんなことを考えたりするし、苦しい思いもするんです。僕らも1回売れたことがあるから(笑)、20代の頃はそれはそれでつらかったこともありましたもん。もうすぐ40歳を迎える今、まあ売れてないんですけど、僕らはすごくいい位置にいるなって思ってて。バンドが楽しいんですよね。
mono ホントに、心にゆとりはできましたね。
みさこ の子さんも昔は「かまってちゃんはこれをやっちゃいけない」って考えてることが多かった。グループとしてこれはさせちゃいけない、みたいな。今はその範囲がわりとワイドになってる気がします。
──「いきなりクラスの人気者になるみたいなこと」によって「苦しい思いもする」という話をされましたが、おそらく最初は、教室の隅から飛び出してクラスの人気者になりたいというモチベーションもあって表現活動をしていたんだと思うんです。でも実際にそうなってみたら違った、ということなんですかね?
の子 違ったって言ったらぜいたくな話なんですけど、そういうところもあったのかもね、っていう話です。めっちゃひねくれてる日もあれば、めっちゃイケイケな日もあるから、そこらへんは気分で変わってくる。まあ、別に武道館でもなんでもいいんです。例えば大きいタイアップとかでもいいし、またそういう面白いお知らせをしたい。やっぱり、楽しいが一番なんですよ。
みさこ 「楽しいが一番」って思った結果がこのアルバムなの?(笑)
の子 でも、そういう矛盾を抱えてるところがまたいいんだと思いますけどね。
世界中のみんなもトイレに引きずり込まれてほしいですね
──神聖かまってちゃんは2024年夏に上海でライブをしましたし、今年2月には台北でのワンマンも決定していますよね。上海はどうでしたか?
の子 よかったです。
mono めちゃめちゃよかったです。僕らマジでスターでした。「ミッキーマウスがやって来た」くらいな感じ。
みさこ すごく愛を感じました。
ユウノスケ アルバムの1曲とかでも、みんな歌詞を覚えて歌ってくれたんです。
mono あれはもう、勘違いする人は勘違いするよ。
みさこ 私が面白いなと思ったのは、どの曲でもまずイントロでピークが来る(笑)。イントロで盛り上がりすぎてちょっと疲れちゃってるんですよ。そんなに出し切って、一番盛り上がるはずのラスサビまで持つのかなって思うくらいみんなすごかった。
──客層はどんな感じだったんですか?
みさこ どうやって出会ってくれたのかわからないけど、「ニワカじゃない」っていう感じはすごくしました。
mono 意外だったのが、「僕の戦争」をやっても反応はそんなにだったんですよ。僕らは勝手に「みんなアニメを入り口に好きになってくれたんだろうから、やったほうがいいよね」って思ってセトリを決めたんですけど、意外や意外、盛り上がったのは「るるちゃんの自殺配信」とか、あと昔からやってる曲とかだったりして。「あれ?」って思ったけど、うれしかったですね。いろんな意味で。
みさこ めちゃめちゃ好きな人が集まってる、って感じがした。フラスタ(フラワースタンド)とかもすごかったよね。すごいパネルを用意してくれてて。
──クラスの隅っこにいた人たちが、どこの国にもいるんでしょうね。
みさこ そうだと思う。そして、たぶんだけど海外にはかまってちゃんみたいなバンドがいないんじゃないかな。
──神聖かまってちゃんのようなバンドを求めている人は世界中にいるはずなのに。
の子 だからみんなもトイレに引きずり込まれてほしいですね。
みさこ トイレの花子さんに(笑)。
公演情報
2025年TOUR
- 2025年1月19日(日)大阪府 BIGCAT
- 2025年1月24日(金)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2025年1月25日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2025年1月30日(木)広島県 広島セカンド・クラッチ
- 2025年1月31日(金)香川県 DIME
- 2025年2月8日(土)福岡県 BEAT STATION
- 2025年3月11日(火)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
2025年TOUR 追加公演「ExtraOneman Live in Taipei」
2025年2月21日(金)台湾 台北THE WALL LIVE HOUSE
プロフィール
神聖かまってちゃん(シンセイカマッテチャン)
の子(Vo, G)、mono(Key)、みさこ(Dr)、ユウノスケ(B)からなる“インターネットポップロックバンド”。の子による2ちゃんねるバンド板での宣伝書き込み活動を経て、自宅でのトークや路上ゲリラライブなどの生中継、自作ミュージックビデオの公開といったインターネットでの動画配信で注目される。2010年3月に初のCD作品となるミニアルバム「友だちを殺してまで。」を発表したのち、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル・unBORDEと契約してメジャーデビュー。子供の頃の暗い記憶やニートの抱える不安な感情などを美しいメロディに乗せた楽曲、予測のできない破滅的なライブパフォーマンスでファンを増やした。2017年4月から放送のテレビアニメ「『進撃の巨人』Season 2」にエンディングテーマとして「夕暮れの鳥」を書き下ろし。2018年公開の映画「恋は雨上がりのように」では、鈴木瑛美子と亀田誠治によってカバーされた神聖かまってちゃんの代表曲の1つ「フロントメモリー」が主題歌となった。2020年1月にベーシストのちばぎんが脱退し、その後にサポートメンバーを務めていたユウノスケが2024年5月に正式加入。同年12月にスタートしたテレビアニメ「進撃の巨人『The Final Season』」にオープニングテーマ「僕の戦争」を提供した。2025年1月にアルバム「団地テーゼ」をリリース。
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