ナタリー PowerPush - 泉 沙世子
映画「二流小説家」主題歌 テーマは“剥き出しの愛
純粋すぎるがゆえに狂気的になってしまう
──泉さんの話を聞いて思ったんですが、「手紙」はあまり日常的でない言葉が並んでいるように見えて、聴く人の状態によってはすごく共感できる歌詞なのかなと。しかも、ある日突然、誰もが運命の歯車でこういう状況になる可能性もある。
そうなんです。本当に誰にでもある、一般的なものだと私は思います。純粋すぎるがゆえに狂気的になってしまう部分って、きっとみんな持っていますよね。書いてみても、これが特殊な作品だとは思わないし。他の人にいきなりこの歌詞を見せられたり、「こう思ってる」みたいに打ち明けられたら正直怖いなーとも思うんですが(笑)、誰にとっても身近で、いつそうなるかわからない感情かなって思います。
──全然理解できないと思ってた人が、数週間後には「この歌詞わかるー!」とか?
はい、全然あると思います。普通に恋愛をしてる人も、理性とか道徳っていうフィルターを全部外したら、案外こんなんかもしれないし(笑)。
だんだん「こうしたい、ああしたい」が出てきた
──ところで、タイトルを「手紙」にしたのはなぜですか?
すごく重たい気持ちって、口でなかなか言えないし、かといってメールや電話も違うなーと思って。あと例えば夜中、モヤモヤする気持ちを紙に書き出したものの、それでスッキリして出さないみたいなことって、人生に1~2度はあると思うんですよ。だから、ここでの“手紙”は、その紙の中にウジャウジャって何かが渦巻いてるようなイメージ。重たい感情を吐き出すために書いたけど、出さなかった、もしくは出せなかった、みたいな。
──ビデオクリップは今回、映画の出演者である上川さんと武田さんも出演されるということで。どんな仕上がりになりそうですか?
打ち合わせから私も参加させてもらったんですが、そのときよく言ってたのが「危うさと色っぽさ」っていうキーワードで。全体のイメージだったり、ヘアメイクのことだったり、けっこういろいろ言わせてもらいました。私と好きなセンスが似てるというか、近い匂いを感じるスタッフの方々とご一緒できて「これは絶対いいものができる!」ってワクワクしてます。
──そこまでがっつりPV制作に参加するのは初めて?
シングルも3枚目になって、「こうしたい、ああしたい」っていうものが以前より出てきたんですよね。「こういう感じが好き」っていうのはどんどん自分から伝えていったほうがいいなって。スタッフさんもそれに耳を傾けてくれたり、意見を取り入れてくださるので、本当にありがたい環境でやらせてもらってるなって思います。
収録曲
- 手紙
- Love you Darling
- 手紙(instrumental)
- Love you Darling(instrumental)
映画「二流小説家 -シリアリスト-」
2013年6月15日全国公開
監督:猪崎宣昭
出演:上川隆也 / 片瀬那奈 / 平山あや / 高橋惠子 / 小池里奈 / 伊武雅刀 / 武田真治 ほか
原作:「二流小説家」デイヴィッド・ゴードン / 青木千鶴訳(ハヤカワ文庫)
配給:東映
泉 沙世子(いずみさよこ)
1988年10月28日、大阪府豊中市生まれのシンガーソングライター。岡山県で育ち、小学生のときに歌手を志す。中学生時代よりオーディションを受け始め、高校卒業後に上京。地道な音楽活動を続け、2012年に開催されたキングレコード創業80周年記念オーディション「Dream Vocal Audition」でグランプリを受賞し、2012年11月にシングル「スクランブル」でメジャーデビューを果たした。2013年6月12日に3rdシングル「手紙」をリリース。表題曲の「手紙」は上川隆也主演映画「二流小説家 -シリアリスト-」の主題歌に採用された。