ナタリー PowerPush - 岩佐美咲

演歌歌手わさみんのパーソナリティに迫る

昨年2月にAKB48初の演歌歌手として、シングル「無人駅」でソロデビューを果たした岩佐美咲が待望の2ndシングル「もしも私が空に住んでいたら」をリリースした。本作の表題曲は前作以上に大人の色香を感じさせる王道の演歌。弱冠17歳の岩佐が巧みに歌い上げるこの曲は、「無人駅」以上に幅広い層から愛されることだろう。

今回ナタリーでは“わさみん”の愛称で知られる彼女の個性に迫るべくインタビューを実施。幼少時代からAKB48加入、演歌を志すきっかけまでじっくり語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一 撮影 / 佐藤類

アイドルになりたいとは1ミリも思ったことがない

──小さい頃ってどんな子供でしたか?

小学校低学年くらいまではめっちゃ気が強くて、いつも外で遊んでました。コンクリートに頭をぶつけて血をダラダラ流しながら妹をおんぶして走ったり、靴下のままお姉ちゃんとスーパーで追いかけっこして滑ったり(笑)。そんなやんちゃな子だったんですけど、だんだんと性格が変わっちゃったんです。

岩佐美咲

──それは落ち着いてきたってこと?

気が弱くなってきたんです。

──え? 何があったんですか?

別に何かきっかけがあったわけじゃないんですけど、やんちゃに過ごすのが多分めんどくさくなっちゃって、だんだんおとなしくなったんですかね。あと小学校では生徒会長をやったり、中学校の入学式では新入生代表で挨拶もしたんです。

──あ、人前に出ていくことは元々好きだった?

大好きでした。物心ついた頃からずっと歌手になりたいって言ってたんで。幼稚園の頃は近所のおばちゃんたちを集めて、段の上に乗ってリサイタルを開いてました。

──その頃好きだった歌手は?

モーニング娘。さんがすごく好きで、よく友達と一緒に踊ってました。あと浜崎あゆみさんとか。

──じゃあモーニング娘。や浜崎あゆみみたいな歌手になりたいと思ってたんですか?

いや、もっと漠然と歌手になりたいって考えていて。小学校1年生の頃からダンスを習ってたんですけど、歌って踊れる人になりたいなとは思ってました。ただアイドルになりたいとは1ミリも思ったことがなくて。

AKB研究生時代は「ある意味今よりハードな生活」

──そして中学生のときにAKB48のオーディションを受けるわけですが、岩佐さんがオーディションを受けた頃ってAKBのことを誰もが知ってるっていう時期ではなかったですよね。そんな時期になぜAKBのオーディションを受けようと思ったんですか?

岩佐美咲

歌って踊れる場を探してたときに、本当にたまたま雑誌でオーディションのことを見つけたんですよ。もちろんAKBっていう名前は私は知ってたんですけど、ファンというわけではなくて。その募集の広告に「劇場で毎日歌って踊る、夢のショーケース」って書いてあって、歌手や女優、声優、モデル、いろんな夢を持った子が入ってると知ってやってみたいと思ったんです。

──その結果、アイドルになりたいとは1ミリも思ってなかった自分がアイドルグループに入ってしまったと。

そうなんです。絶対に無理だと思ったんですけど受けてみて。今でもなんであのとき合格したのか、本当にわかんないんです。チームAに昇格するまで1年くらいあったと思うんですけど、あの頃は中学校にも毎日通っていて。学校が終わったらすぐ劇場みたいな生活が続いて、ときには早退して劇場に行って正規メンバーのアンダー(代役)をしたりバックダンサーをしたり、ある意味今よりハードな生活でしたね。本格的な芸能活動はこれが初めてだったので甘く見ていたというか、「思ったよりも大変だな」ってよく思いましたし。しかも研究生をいつ辞めさせられるかわからなくて、「いつになったら昇格できるのかな? 一生昇格できないんじゃないかな? こんなんじゃ歌手になるなんて、まだまだ先のことだな……」って毎日アワアワしてました。

──AKBの研究生として活動しながらも、将来的にはソロ歌手としてデビューしたいという夢は持っていたと。

そうですね。でもあの頃はまだ「とりあえずAKBで前に出れるようにがんばんないと」って目の前のことでいっぱいいっぱいで、正直ソロ歌手のことはそこまではっきりとはイメージできてなかったです。

「津軽海峡・冬景色」を歌ってなかったら今の私はない

──ソロ歌手・岩佐美咲のイメージを印象付けたのは、2010年10月に行われた「AKB48 東京秋祭り」でのカラオケ大会だと思うんです。岩佐さんがあのカラオケ大会で「津軽海峡・冬景色」を歌ったことは、その後の活動においてひとつのターニングポイントになったのかなという気がしています。

あそこで「津軽海峡・冬景色」を歌ってなかったら、今こうやって演歌を歌ってないですもん。本当にそのとおりだと思います。

──ほかのメンバーがポップスを歌う中、なぜ演歌を歌おうと思ったんですか?

岩佐美咲

あのカラオケ大会では希望すれば1人でもいいし、誰とでも歌えるってことで。私は歌手志望だったし、1人で歌える機会なんてほとんどなかったので「これはチャンスだし、1人で歌いたい」と思ったんです。で、歌がうまい子ならAKBにもいっぱいいるし、何を歌えばいいのかなって悩んだときにお母さんが「じゃあ演歌を歌えば?」って言ってくれて、「あ、その手があったか」みたいな感じで。それがきっかけです。

──そもそも岩佐さんにとって演歌って身近なものだったんですか?

はい。一緒に住んでるおじいちゃんおばあちゃんが好きだったのでよく聴いてましたよ。歌うようになったのは中学生ぐらいの頃で、「津軽海峡・冬景色」を覚えてカラオケで歌ったりとかしてました。

──それを人前で披露したことで、大きな反響を呼んだと。

握手会でもファンの方から「演歌が好きだったんだね」とか「もっといろんな演歌の曲を歌ってよ」とかって言ってもらえて。あとイベントのあとに秋元(康)先生が「岩佐は演歌が好きで、演歌を歌いたいっていうことを初めて知った」って言ってくれたので、本当に歌ってよかったです。

──絶好のアピールの場になりましたね。

いや、でも当時はまさかそんな場になるとは思ってなくて。だってイベントのタイトルも「ゆるゆるカラオケ大会」ですし(笑)、お気楽な身内イベントだと思ってたから歌ったんです。

ニューシングル「もしも私が空に住んでいたら / 2013年1月9日発売 / unBORDE
「もしも私が空に住んでいたら」初回限定盤[CD+DVD] 1600円 / TKCA-73860
「もしも私が空に住んでいたら」通常盤[CD] 1000円 / TKCA-73865
初回限定盤CD収録曲
  1. もしも私が空に住んでいたら
  2. フライングゲット<演歌バージョン> / AKB48
  3. あじさい橋 / 城之内早苗
  4. もしも私が空に住んでいたら(カラオケ)
  5. フライングゲット<演歌バージョン> / AKB48(カラオケ)
  6. あじさい橋 / 城之内早苗(カラオケ)
初回限定盤DVD収録内容
  1. もしも私が空に住んでいたら MUSIC VIDEO
  2. もしも私が空に住んでいたら MAKING VIDEO
  3. 特典映像「岩佐美咲の悩みごと 山川豊さんに聞いてもらいました」
通常盤CD収録曲
  1. もしも私が空に住んでいたら
  2. フライングゲット<演歌バージョン> / AKB48
  3. 津軽海峡・冬景色 / 石川さゆり
  4. もしも私が空に住んでいたら(カラオケ)
  5. フライングゲット<演歌バージョン> / AKB48(カラオケ)
  6. 津軽海峡・冬景色 / 石川さゆり(カラオケ)
長良グループ 新春演歌まつり2013

2013年2月7日(木)愛知県 日本ガイシホール
2013年2月9日(土)大阪府 大阪城ホール
2013年2月23日(土)神奈川県 横浜アリーナ

1部 OPEN 10:00 / START 11:00
2部 OPEN 14:30 / START 15:30

<出演者>
山川豊 / 田川寿美 / 水森かおり / 氷川きよし / 森川つくし / 岩佐美咲(AKB48) / はやぶさ
司会:西寄ひがし

プレミアムシート 1万5000円
※優先入場、プレミアムパスチケット、特製エコバッグ、オリジナルフリースブランケット、公演パンフレット付き。
SS席 10000円
S席 8500円(名古屋、大阪公演のみ)
A席 6000円(横浜公演のみ)

岩佐美咲(いわさみさき)

1995年1月30日生まれ、千葉県出身。2008年にAKB48研究生オーディションに合格し、翌2009年8月にチームAへの昇格が発表される。2010年からは渡り廊下走り隊7に参加。幅広い活動を続けていく。2012年6月に行われた「AKB48 27thシングル選抜総選挙 ~ファンが選ぶ64議席~」では33位にランクインし、ネクストガールズのセンターポジションを獲得。同年8月のAKB48東京ドーム公演にてチームBへの移籍が発表された。また演歌歌手としても2012年2月にシングル「無人駅」でAKB48から3人目のソロデビューを果たし、同曲はオリコンウィークリーランキングで5位を記録。演歌歌手のデビューシングルが総合チャートのトップ10入りを果たすのは25年7カ月ぶりであり、同年末の第45回日本有線大賞では新人賞、およびロングリクエスト賞を受賞した。2013年1月に2ndシングル「もしも私が空に住んでいたら」をリリース。