「俺はどういうやつになりてえんだ」って追求するようになった

──INKYMAPは今回音楽ナタリー初登場なので、これまでのリリース作品についてもおさらいできればと思います。2015年発売の1stミニアルバム「MAKE BELIEVER ?」はリード曲「Take The Lead」をはじめ、エモーショナルで疾走感のあるサウンドが前面に出ている印象があります。Kazumaさんのルーツでの1つでもあるELLEGARDENの影響が色濃く出ていると言うか。

Kazuma　今もエルレっぽいって言われますけどね（笑）。でも昔から好きで通ってきたバンドなので……。

──率直に、そういう意見をどう捉えていますか？

Kazuma　影響を受けてるんで「そりゃそうですよね」とも思いますけど、「ホントに好きなんだね。ライブまで一緒だよね」とか言われたことがあって……もちろん大好きで憧れの存在なのは変わらないんですけど、悩んだ時期がありました。でも、そういう意見を受けて音楽の幅が広がっていった部分もあって。YellowcardやNirvanaを聴いてどんどん洋楽にハマっていく中で、単純に「自分が好きなものってなんなのかな」「俺はどういうやつになりてえんだ」って追求するようになりました。

KOJI　俺らの場合はガッツリ洋楽が好きで、めちゃくちゃ影響を受けてて。特にIncubusが大好きだから、メンバーと同じタトゥーを入れたりしてる。だからINKYMAPの音楽にエルレの影響が出るのは全然変じゃないと思う。

──次に出たアルバム作品「BLISTER ON MY FOOT」（2016年10月発売の1stフルアルバム）からは、オルタナ / グランジの影響を感じます。リード曲「Escape」をはじめ、衝動的な曲が目立ってる印象があって。

Kazuma　まさにそうですね。UKの音楽やグランジを好きになった時期です。「自分たちらしさってなんだ？」ってメンバーと話し合ったときに、前作とはガラッと変えて「その影響を迷わずもろに出してみようよ」という結論に至って。ライブもアルバムの雰囲気に寄せて衝動的にやってたからか、けっこうバンドマンや男性ファンがアガってくれました（笑）。

小さな光をかき集めて大きな光にすることしかできない

──INKYMAPが11月15日にリリースしたニューアルバム「ASTEROID」は「MAKE BELIEVER ?」と「BLISTER ON MY FOOT」の雰囲気がミックスされた作品だなと思いました。

Kazuma　そうですね。俺らは「MAKE BELIEVER ?」以前の自分たちを振り切るように「BLISTER ON MY FOOT」をリリースして。言わば極端なことをしたんですよね。でも今はどちらのアルバムも好きだし、全部自分たちらしさだと思えて。今回は原点回帰と言うか「何にもとらわれずにいいものを作ろう」って話し合ってから制作を始めました。だからそう思ってもらえたのはうれしいです。

──これまでは制作前に話し合うことはあまりなかったんですか？

Kazuma　そうですね。今までは俺が曲の構成を作ってからメンバーに聴いてもらって、アレンジしていくっていう作り方だったんですけど、今回はそれぞれの曲でテーマを共有してからリフやフレーズを持ち寄って作り始めました。あと新しい挑戦ということで言うと、作曲に関しても作り方を変えました。俺はこれまでメロディと歌詞を同時に作っていたんですけど、今回はメロを先に作って1音1音決めてから最後に歌詞を付けて。

KOJI　え、これまでは歌いながらメロディを考えて、その場で歌詞を書いてたってこと？

Kazuma　そうですね。

KOJI　えー！ 絶対できない！（笑） 俺らは完全にメロディからだから。面白いね。

──ちなみに、小惑星という意味のアルバムタイトル「ASTEROID」に込めた思いは？

Kazuma　今作では、小さいものと大きいものを表現したかったんです。小さい自分と大きな夢みたいな。それは自分の歩く道の中にある、見落としがちな小さな光をかき集めて大きな光にしていくしかできないっていう思いで。聴き手の受け取り方は自由でいいんですけど、その膨大な宇宙をイメージしてほしくて「ASTEROID」というタイトルを付けました。

KOJI　今作はキャッチーだし、ホントにいいと思うんですよ。俺はリード曲じゃないけど「Firebird」がすごく好きだし、聴いていくといい曲が眠ってたりするから、今これを読んでるリスナーの子たちにはアルバムをちゃんと通して聴いてほしいって思いますね。

──最後にお二人の今後の展望を教えてください。

KOJI　さっきも言いましたけど、いろんなジャンルのバンドと肩を並べられるぐらいまでロックバンドがメジャーになって、「こういうかっけえバンドがライブハウスにはいるんだ」ってしっかりと世間に知ってもらえるようにしたいです。俺らはパンクロックが大好きでバンドをやって、ライブハウスが大好きでライブをやってるんで、リスナーが箱に足を運ぶという行動につなげられるように、今後も精進していきたいなと思ってます。そしてINKYMAPはこのアルバムを携えて、このまま進めばいいと思います。

Kazuma　ありがとうございます！ 俺は「人の背中を押せるフロントマンになりたい」っていう目標が今回のアルバムでも提示できてると思っていて。そうやって提示できることがすごく自信にもなってるし、思いをバッチバチに積み重ねて理想とする俺たちになっていきたいです。