Kazuma(INKYMAP)×KOJI(SWANKY DANK)|ライブハウスを愛する2人のロックバンド論

理想のフロントマンへの道を今やっとたどり始めた

──確かに、これまでINKYMAPはベースのRyosukeさんがMC担当で前に出るイメージがありましたが、最近のライブではKazumaさんがフロントマンとしてすごく立っていますよね。

Kazuma はい。前まではまずRyosukeがハイテンションでお客さんに近付いていって、最後に俺がバシッと締めるみたいなライブのやり方だったんです。前回のツアー中に「もっと俺が前に出ていかないとダメだな」と思うようになって。でも俺はアイツみたいにポップにお客さんに近付いていくのが苦手だったんですよ。でも最近は自分なりのアプローチでできるようになったと言うか、思ってることをラフに伝えられるようになりました。

──今のINKYMAPのライブには、“お客さんに思いを伝えたい”という強い気持ちを感じます。もともと背中を押すような楽曲が多いバンドだとは思うんですけど、ライブでアプローチできるようになったのはなぜでしょうか?

Kazuma 昔から自分は曲を聴いたときに「よし、がんばろう」って思えるような背中を押してくれるアーティストが好きで、俺もバンドを始めたときにそういうボーカリストになりたかったんです。でもいろいろと挑戦していく中で「俺なんかがみんなのことを肯定していいのかな」って悩んでしまったんです。MCで何かを言い切ることはけっこう勇気がいることだから、「ほかにもなんか見せ方あるんじゃないかな」っていう迷いがあって。自分の言葉に責任を負う覚悟がなかったのかもしれません。

──なるほど。今はその迷いから抜け出すことができたんですね。

Kazuma はい。抜け出せたのはホントについ最近かもしれないです。お客さんを全力で肯定していくような、理想のフロントマンへの道を今やっとたどれてるなって感覚があります。でも、まだまだ全然だなとも思います。

──Kazumaさんのビジュアル面もガラッと変わりましたよね。前は黒髪セミロングでクールな印象がありましたが、ゴールドの短髪にチェンジして。今のライブのスタイルとマッチしてるなと思いました。

Kazuma 髪型の話をするのは恥ずかしいですけど(笑)、もともとけっこう不器用と言うか……本心を人に知られたくなくて壁を作っちゃうような人間だったんです。でも、明るくみんなの背中を押せる音楽をやりたいっていう思いとの葛藤があって。なので、自分の思うほうに振り切りたくて、バッサリ切って金髪にしたんです。

KOJI(Vo, B / SWANKY DANK)

KOJI そうなんだ。今日、髪切ってから初めて会ったよね。俺らもINKYMAPのようにライブスタイルの葛藤があったな。3人編成のときはうちの兄貴(YUICHI / G, Vo)がずっとMCをしてたけど、それが4人編成になってメインボーカルの俺がセンターに立つことになって、MCも俺がしたほうがいいなと。そうすると、Kazumaが言うように覚悟がないと耐えられない。

Kazuma そうですよね。

KOJI ステージに立って自分が何を話したいか、話さなきゃいけないかを考えるのってすごく難しいよね。「これ言っていいのかな」とか。今俺が自分のやりたいライブをできているのは、センターとしてステージを重ねてコツをつかんだからだと思います。覚悟を持って人前に出るのは最初は怖かったけど、反応がいいとそこで自信が付くから。

バカみたいにがむしゃらなロックバンドがもっと評価されてもいい

──先日INKYMAPのライブを観たときに、KazumaさんがMCで「俺たちはバカだから一生懸命に音を鳴らすことしかできない。最近はおしゃれで頭のいいバンドが評価されてるなって感じるけど、自分たちはバカなバンドが好きなんだ!」とキラキラした表情で言っていたのが印象的でした。

KOJI 俺らもバカだからわかる(笑)。おしゃれで頭のいいバンドもがんばってると思うけど、自分が思ってることをそうやってステージの上で言うことが重要で。だからINKYMAPのライブはお客さんにも響くんだと思う。ステージの上で嘘は付かないほうがいいし、そういう部分でもすごく素直でいいんですよね。

Kazuma 俺、バカみたいにがむしゃらにやってるストレートなロックバンドがもっと評価されてもいいと思うんですよ。今はそういうバンドがあまり評価されてない気がするけど、俺はそこを切り開くようなバンドになりたいなと思っていて。

KOJI うん、うん。オーバーグラウンドだけの話をすると、ヒップホップやR&Bはポップスになりつつあるのに、ロックバンドだけ衰退してるように見える。ロックバンドが盛り上がってるシーンもあるけど、じゃあ一般の人たちに聞いたら誰を知ってるんだって話で。俺も今、そこをどうにかこじ開けなきゃいけないって超絶思ってます。メジャーシーンに出ると、敵がロックバンドだけじゃないんですよ。ポップスから何からいろんなアーティストが横並びになる。ロックバンドやパンクバンドの中にはそこで活動したくないヤツらもたくさんいると思うし、いろんな道があっていいんだけど、その中で俺らは後輩たちにとって「こういう道をたどって行ったバンドもいるんだ」っていう、道標の1つになりたい。

Kazuma SWANKY DANKがメジャーに行くって聞いたときに、そういうことなんだろうなって思いました。さすがだなと思ったし、メジャーで出した「Smokes」(2017年9月発売のメジャーデビューアルバム)を聴いたときに「SWANKY DANKだ!」っていう安心感やうれしい気持ちがあって。俺らはもインディーズシーンからこじ開けていかなきゃと思ってます。

KOJI うれしいね。Kazumaとは考え方が似てると思う。今回俺らはチャンスをもらえてメジャーに挑戦したけど、自分たちのやりたいことができないんだったら行ってなかった。今は単純に「俺らの音楽が好きだ」って言って応援してくれるスタッフ……仲間が増えたっていう感覚でしかなくて。しかもavexに所属して、この夏「a-nation」に出れたのはなんか面白かったっすね。所属バンドと横一列でやるにはノリがいいだけ、暴れさせるだけじゃいけないし、曲を聴かせることもできるようにならないといけないなって、また新しい目標も生まれたので。

──2組は年間で多くのライブをこなしているライブバンドでもありますけど、今のライブハウスシーンについてはどう思いますか?

Kazuma(Vo, G / INKYMAP)

Kazuma フェスの動員は増えてライブハウスの動員は減ってるとか、そういうことも聞きますけど、ライブハウスの中ではちゃんと盛り上がっているんですよ。ちゃんとバンドをやってるヤツがいて、バンドを好きなヤツがいて、いい空間ができあがってる。そこで俺らがやっていかないといけないのは、もっとバンドに興味のある人を増やしていくことで。俺たちがカッコいいと思うものにどうやったら関心を持ってもらえるかなって考えてますね。

KOJI 俺も、ライブハウスシーンがなかったらオーバーグラウンドにも行けないし、絶対守らなきゃいけないところだと思います。だから自分たちのホームはライブハウスにあって、そこから飛び立ってお客さんをかき集めてくることが重要で。ライブハウスシーン自体にも盛り上がってるところと盛り上がってないところがあって……その時点で悔しいけど、本気でやるならいろんなところに顔を出してライブすることしかできない。どうするかはまだまだ勉強しないといけないし、攻めていかなきゃいけないと思ってる。

INKYMAP「ASTEROID」
2017年11月15日発売/ revaya Records
INKYMAP「ASTEROID」

[CD]
2160円 / GURV-2004

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Mantis
  2. Time Loop Stories
  3. 白銀の夜に
  4. MARS
  5. Never Knows Best
  6. Steam
  7. Firebird
  8. The Delight
  9. Saying
  10. マタアウヒマデ

INKYMAPライブ情報

INKYMAP "ASTEROID TOUR"
  • 2017年11月18日(土)東京都 TSUTAYA O-Crest
  • 2017年11月19日(日 )愛知県 豊橋 club KNOT
  • 2017年11月23日(木・祝)愛知県 CLUB UPSET
  • 2017年11月24日(金)大阪府 LIVE HOUSE OSAKA BRONZE
  • 2017年11月25日(土)香川県 sound space RIZIN'
  • 2017年11月30日(木)広島県 広島セカンド・クラッチ
  • 2017年12月1日(金)福岡県 Queblick
  • 2017年12月2日(土)福岡県 小倉FUSE
  • 2017年12月4日(月)東京都 八王子Match Vox
  • 2017年12月7日(木)石川県 vanvanV4
  • 2017年12月8日(金)山梨県 KAZOO HALL
  • 2017年12月9日(土)長野県 伊那GRAMHOUSE
  • 2017年12月13日(水)京都府 GROWLY
  • 2017年12月15日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2017年12月16日(土)長野県 CLUB ROCK HEARTS
  • 2018年1月6日(土)埼玉県 EASYGOINGS
  • 2018年1月7日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2018年1月8日(月・祝)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2018年1月11日(木)秋田県 Club SWINDLE
  • 2018年1月12日(金)岩手県 the five morioka
  • 2018年2月3日(土)長野県 ALECX
  • 2018年2月4日(日)富山県 Soul Power
  • 2018年2月10日(土)千葉県 DOMe Kashiwa
  • 2018年2月11日(日・祝)愛知県 CLUB UPSET
  • 2018年2月12日(月・祝)大阪府 LIVE SQUARE 2nd LINE
  • 2018年2月16日(金)宮城県 仙台MACANA
  • 2018年2月22日(木)北海道 苫小牧ELLCUBE
  • 2018年2月23日(金)北海道 XENON
  • 2018年3月10日(土)青森県 LIVE HOUSE FOR ME
  • 2018年3月18日(日)東京都 下北沢SHELTER(ワンマンライブ)
INKYMAP(インキーマップ)
INKYMAP
Kazuma(Vo, G)、Jun(G)、Ryosuke(B)、Tetsuo(Dr)からなるバンド。2012年8月、東京・八王子にて結成された。2015年4月に初の全国流通盤となる1stミニアルバム「MAKE BELIEVER ?」をリリース。2016年10月に1stフルアルバム「BLISTER ON MY FOOT」、2017年11月に2ndフルアルバム 「ASTEROID」を発売した。
SWANKY DANK「Smokes」
2017年9月27日発売 / cutting edge
SWANKY DANK「Smokes」CD+DVD

[CD+DVD]
3000円 / CTCR-14928/B

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SWANKY DANK「Smokes」CD

[CD]
2500円 / CTCR-14929

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CD収録曲
  1. I Never Gonna Let You go
  2. Colors
  3. Start Again
  4. 捧ぐ歌
  5. Obedeience
  6. Closer
  7. The Hot Love Season
  8. Making My Way
  9. アイノコエ
  10. Neverland
  11. Make a Noise
DVD収録内容

2017.1.28「it is WHAT it isツアー」ファイナル@渋谷TSUTAYA O-EAST

  • WIMP
  • misery
  • TIME
  • the answer
  • MADE A MESS

SWANKY DANKライブ情報

SWANKY DANK "Smokes TOUR FINAL"
  • 2018年1月19日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST
SWANKY DANK(スワンキーダンク)
SWANKY DANK
2007年にYUICHI(Vo, G)とKOJI(Vo, B)の兄弟を中心に結成したロックバンド。2009年3月に1stフルアルバム「SWANKY DANK」をリリースし、同年7月に発売したシングル「FOR YOU」が映画「MW」の挿入歌となる。その後2012年8月にSHUNが正式ドラマーとして加入しさらに精力的な活動を行う。2013年11月に、AIR SWELL、BLUE ENCONT、MY FIRST STORYと共にスプリットアルバム「BONEDS」をリリース。4バンドで回った全国ツアーを大成功に収める。2014年2月にKO-TA(G)が正式加入し、同年6月にミニアルバム「Circles」を発表した。2016年5月にはアコースティックプロジェクト・SWANKY OCEAN ACOUSTIX名義でミニアルバム「THE OCEAN」を発表。その後もリリースを重ね、2017年9月にフルアルバム「Smokes」をavex traxからリリースし、メジャーデビューを果たした。