「スイートソウル」はロックバンドあるある

──10曲目「スイートソウル」は山田さんと上中さんの共作詞ですね。

上中　イナ戦史上初めてです。

山田　これはラブソングに聴こえるけどラブソングじゃないっていう歌を作りたくて。僕ら、4月2日にライブがあったんですよ。それって清志郎さんの誕生日で、しかもZepp Fukuokaで、これは何かあるなーと。そこで歌える曲を作りたいと思ったんです。

──ということは清志郎さんに向けての曲？

山田　初めてCDを買ったときのことを「君が僕の家に来て」って表現にしたり、ラブソングにも置き換えられるようにしたんですけどね。

──そういう比喩だったんですね。

山田　はい。ここで"君"って表現してるのも、15歳くらいの当時はCDに合わせてギターの練習してて、普通に「清志郎」って呼んでましたから。だから表現的には"君"でいいんです。でも目上の人やから自分のことは"僕"って言ってたり。そのへんの細かいところにはこだわりました。

上中　この歌詞はほぼ武郎が書いたんですが、僕も歌い終わるまで歌詞の真意を知らなかったんですよ。そういう曲やって。「お、武郎がラブソング書いてきたな」と思っててめっちゃ気持ち入れて歌ったら、もっといいエピソードがあったっていうね。はよ言えや！（笑）

山田　ロックバンドによくありません？ こういうの。この対象は女性なの？音楽なの？みたいな。

上中　ある！ ロックバンドあるあるやな。

ワガママやってくれるほうがボーカルらしいよね

──タイトル「愛とファイター」の「愛」はよくわかりましたが「ファイター」にはどんな意味が？

上中　これはみんなが闘ってるから。普段生きてるだけで大変でしょ？ そういうみんなに届けばいいなと思ったし、僕らもう結成15年。ずっと闘ってきた自分らが偉いっていうのも込めて（笑）。

──改めて振り返ってみていかがでしょう？ メンバーチェンジもなしにここまでやってこられた秘訣とかは。

上中　あまり考えへんことちゃうかな（笑）。多分考えるからあかんねんて。バンドなんて楽しいもんやから、楽しいなーと思ってやってんのが一番いいんすよ。で、10年超えたらもう余裕やから。

久保・山田・中田　わははは！（笑）

上中　あとはボーカルがワガママじゃないとダメなんです。で、それを許せる奴がおらんとダメ。というか、もともとそれを許せる奴とやらなあかん。

久保・山田・中田　（苦笑）。

上中　それを許せるのはなんでかっていうと、信じてるからやと思うんです。例えば僕、がっちりリハーサルやりたいから4時間とってくれって言っておいて、15分で帰ったりするんですよ。でも、許してくれるっていう。それはやっぱり……愛ですよね。

久保・山田・中田　えー？（笑）

上中　でも今言ったこと、結構、的を射てない？

中田　まあ、素直なボーカルよりは、ワガママやってくれるほうがボーカルらしいよね。

久保　ワガママじゃなくても僕はいいですけど（笑）、でもそれ以上のリスペクトですね。こんなの本人の前で言いたくないけど。

上中　いいよ、俺は久保さんがリスペクトしてくれてんのわかってるもん。だから完全に上から見てる……。

久保　おい（笑）。僕がリスペクトしてるっていうのは（上中を）上に見てるとかじゃなく、例えば自分の中で表現できないような感情を、それはこういうことだって言える人、言葉にできる人ってこと。リスぺクトっていう意味では俊哉にも武郎にももちろんあるし、続けてこれたのはそれかなって思いますね。

──あとは皆さん、本当に仲が良いですよね。こうしてインタビューしてても、メンバー間の話のキャッチボールが盛んで、すごく盛り上がる。

上中　15年やってきた理由はそれや！ 仲ええもんな、やっぱり。でも売れるためにはそれがアカンのやろなー。

久保　わははは（笑）。

上中　昔、どこかのバーでロック好きなおばちゃんみたいな人に言われたんですよ。「THE POLICEっていうバンドはな、仲悪いねん。だからあの人らはカッコええねん。あんたらは仲良すぎる！」って。もう、お前誰やねん!?って（笑）。

──ちなみに、15年でルックス的に一番変わったメンバーは誰ですか？

山田　それは確実に……（3人が久保を指す）。

上中　もう人が変わってますよ。お前、ブタブタ詐欺やん！

中田　久保さんは加入当初、ウルフルズのジョン・B・チョッパーさんにそっくりやったんですよ。今より当然痩せてて、髪の毛も長くて。それが今や……。

山田　影すらないなぁ（笑）。

──ファンへの皆さんへ向けて、15周年で思うことは？

上中　もう、ただただありがとうです。恩返しはできへんけど、バンドを続けるっていう恩返しだけはできるから。そこは心配せんといてっていう。ライブで泣いてくれたり、調子良かったら喜んでくれたり、そんなのは本当に愛ですよ。だから、そいつらが「誇り高き我々の愛してるバンド、THEイナズマ戦隊です」って言えるようにおらなあかんっていう責任はありまよすね。

──今作を引っさげて、10月22日からはツアーも始まります。

上中　このアルバムをちゃんと聴いてきてくれたら、楽しくて良かったって思えるライブをしますんで。ぜひ来てください。最高っすよ。