音楽ナタリー Power Push - I Don't Like Mondays.
シンプルな1枚に込めた自信と理想
このメロにハマる日本語はもうないかもしれない
──どんな部分で苦労しましたか?
悠 もともと歌詞をスムーズに書けることなんてめったにないんですけど、この曲に至ってはボーカル録り前夜の24時を超えても、一文字もなくて。「明日『♪ナナナナー』って歌うしかないじゃん!」って(笑)。みんなポカンとしちゃうよと思って泣きました。
──そこから深夜に一気に書いた?
悠 そうなんです。朝5時くらいに書き終わったかな。それでまず寝て、起きて読み返したら「あ、けっこういい詞書いてるじゃん」って。
──絞り出したんですね。
悠 記憶ないですからね。めっちゃつらかった。
──なぜこの曲だけ苦労したんでしょう?
秋気 メロディがシンプルなんですよ。ごまかせないっていうか。変な仕掛けをしたら、メロが殺されちゃう。
謙二 メロがとにかくよかったんだよ、本当に。
悠 あと日本語がかなりハマりにくかったんですよね。でもほかの曲とのバランスを考えると、英語にはしたくなくて。このメロにハマる日本語はもうないかもしれないと思って、苦しかったですね。
──「FEELING」は最初打ち込みにしようと思っていたとのことですが、実際に打ち込みにした曲はありますか?
秋気 「STAR DRIVE」と「FINAL DESTINATION」ですね。前作の「Don't Stop Your Music」で、初めてEDMっぽいものを試して手応えがあったから、この2曲は打ち込みで作ろうって決めてたんです。でもただのEDMじゃ意味がなくて、僕らがやる意味がある、バンドだからこそできるEDMにしたかった。
兆志 どうしたら音色を土臭くできるか、ブルースっぽい響きを入れられるかって悩みましたね。
秋気 演奏して録ったほうが空気感というか、グルーヴは出ますよね。ドラマーの中には「打ち込みなんてクソだ」って考えてる人もいると思うんですけど、やっぱりどっちにもいい部分があると思います。僕らは聴いてくれた人を踊らせるのが目標で、世間的にはDJがものすごくたくさんの人を踊らせるわけですよね。それを考えると、適したほうを使えばいいんじゃないかなって。バスドラの音だけで何十種類も選べるし、効果的に利用すればいいんだと思いますね。
謙二 でも打ち込みで作った曲、最初はバキバキのEDMになっちゃったんですよ。それだとこのアルバムに入れにくいっていうか、ほかの曲と比べてかなり浮いちゃって。
秋気 そこからの調整にも時間かかりましたね。世界的にもバンドとEDMの中間ってやってる人が少なくて、参考にするものもないから、かなり追い込まれましたね。
悔しいけど、この曲はやっぱり好きになっちゃった
──アルバムタイトルを「TOKYO」にした意図は?
悠 それはかなり早い段階で決めてましたね。東京って日本最大の都市で、いろんな文化が混ざっていて、世界を刺激する街じゃないですか。僕らの曲もファンクやポップなどいろんなジャンルが混ざってて、それって東京っぽいなと思って。それに僕らは世界でも戦いたいと思ってたから、ちょうどいいかなって。
──みなさん異論はありませんでしたか?
秋気 僕もこういうタイトルをいつかは付けたいと思ってたんですけど、正直「早いかな」とは思いました。
悠 もちろん自信がなければこのタイトルにはできなかったですよ。でも本当に恥ずかしくない作品になったし、マジ自信作だから。
──では、アルバムの中から皆さんオススメの曲を教えてください。
兆志 うわ、悩むなあ……。
秋気 僕は「TOKYO BROTHERS」ですね。
悠 えっ、俺もなんだけど!
秋気 これは個人的なことかもしれないですけど、曲を作るときはできるだけその曲を嫌いになるようにしてるんです。最初っから好きになったら、客観的な評価ができないんで。だからアルバムが完成したときに、初めてちゃんと聴く感覚で。でも悔しいんだけど、この曲はやっぱり好きになっちゃったんですよね。単純に「カッコいいじゃん!」って。
悠 僕もそうなんですよ。自分が作ったものって音楽に限らず、絵だって文章だって絶対好きじゃないですか。人類みんなそうなんですよ。でもクリエイターとしては「自分が作ったから好き」じゃダメで。その精神はこのバンドの軸だと思う。そう考えても、やっぱり「TOKYO BROTHERS」はカッコいい。
兆志 俺も「TOKYO BROTHERS」なんですよね。
謙二 みんな一緒じゃん!
兆志 アルバムが完成してみんなで飲んでたときに、酔っ払った秋気が「『TOKYO BROTHERS』のギターソロは最高だよね」って言ったんですよ。それがめっちゃうれしくて。1テイク弾いたのでオッケーになったやつなんですけど。
秋気 あれはマジでよかった。
兆志 録ったあと、みんなめっちゃテンション上がってて。うれしかったなあ。
悠 ただの思い出じゃねーか(笑)。
兆志 いやもうちょっと話すとね、もっと音を入れられたんですよ。でも、あそこで抑えたのがよかったなって。あと、もう1曲挙げるなら「FIRE」。あの曲はずっとカッティングを弾いてて、意外と難しくて。弾き応えがありましたね。
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- 1stフルアルバム「TOKYO」2015年7月29日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / COZP-1057~8 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 3240円 / COCP-39167 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- FIRE
- WE ARE YOUNG
- TOKYO BROTHERS
- SING
- STAR DRIVE
- FEELING
- LOVE YOURSELF
- SUPER SPECIAL
- PERFECT NIGHT
- FINAL DESTINATION
- MEMORIES
- ROAD
初回限定盤DVD収録内容
- FIRE(Music Video)
- WE ARE YOUNG(Music Video)
- SUPER SPECIAL(Music Video)
- PERFECT NIGHT(Music Video)
ほか撮り下ろしムービー収録
I Don't Like Mondays.「“TOKYO 2015” 初ワンマン・ライブ」
- 2015年10月25日(日)東京都 WWW
I Don't Like Mondays.(アイドントライクマンデイズ)
悠(Vo)、兆志(G)、謙二(B)、秋気(Dr)からなる4人組バンド。2012年に表参道で結成され、“月曜日が嫌いなセレブリティロックバンド”というコンセプトで活動を開始する。キャッチーかつ洗練されたサウンド、英語をふんだんにとり入れた歌詞、メンバーの4人中3人が身長180センチ超えというビジュアルが話題を呼び、2014年9月にミニアルバム「Play」で日本コロムビアよりメジャーデビューを果たした。両A面シングル「WE ARE YOUNG / Super Special」のリリースを経て、2015年7月に1stフルアルバム「TOKYO」をリリース。