自分たちを超えていくI Don't Like Mondays.|TVアニメ「ONE PIECE」主題歌に込めた譲れないメッセージ

I Don't Like Mondays.がTVアニメ「ONE PIECE(ワンピース)」の主題歌として制作した新曲「PAINT」をリリースした。

彼らがアニメ作品の主題歌を手がけるのはこれが初。メンバーと「ONE PIECE」のプロデューサーとのやり取りの中で制作された「PAINT」は、疾走感のある力強いバンドサウンドと「どんな困難も乗り超えて自身の色で塗りかえる」というメッセージを込めた歌が印象的なロックチューンに仕上がっている。

音楽ナタリーではYU(Vo)、CHOJI(G)、KENJI(B)、SHUKI(Dr)にインタビュー。「PAINT」の制作を軸に、現在のバンドのモードについて語ってもらった。

取材・文 / 森朋之撮影 / 曽我美芽

成長したアイドラ

──まずは2021年の活動について聞かせてください。8月に約2年ぶりとなるアルバム「Black Humor」をリリースし、9月からは全国ツアーを開催するなど、充実した1年だったと思いますが、皆さんの手応えはどうですか?

YU(Vo) 成長しましたね(笑)。

KENJI(B) そうだね(笑)。24公演のツアー自体、初めてだったし。

YU 今までで一番多い本数だったんですよ。しかも1日2回公演の日もあって。きついときもありましたけど、1回目の公演で出てきた反省点を次の公演ですぐ修正したり、成長のスピードがすごく早かったんです。

CHOJI(G) 確かに。1回ライブやるたびにHPが上がってました(笑)。

──ライブを重ねることでさらにタフになった、と。

CHOJI そうですね。演奏も最初は初々しい感じだったんですけど、ツアーが進むにつれて体に入ってきて。

CHOJI(G)

CHOJI(G)

SHUKI(Dr) 「Black Humor」はどちらかというと、コロナ禍を踏まえて、家で聴くことを想定して制作していたんです。その曲をライブでやるときに、最初は「どうやったらいいんだろう?」って。セットリストも「これでいこう」と一度決まってから、さらに3回くらい変更したんですよ。

YU 横ノリのゆったりした曲が多かったから、ライブでやるにはハードルが高かったんです。ちゃんとグルーヴがないとお客さんも楽しめないし、どう表現するかをみんなで考えて。最初はちょっと大変でしたけど、ツアーを通してバンドの地盤がさらに強くなったし、今後の強みにもなると思います。

SHUKI アレンジを変えた曲もあるんですよ。クラップをやり取りするセクションを作ったり。

KENJI 一体となって楽しめるようにしましたね。

KENJI(B)

KENJI(B)

YU お客さんもツアーの序盤は「どうやって盛り上がったらいいのかな?」という雰囲気だったんですけど、だんだんノリ方をつかんできて。

──いろいろとトライ&エラーがあったんですね。アルバム「Black Humor」は、YUさんの歌をじっくり楽しめる作品でもあって。アイドラとしても1つのターニングポイントになったのでは?

CHOJI そうですね。YUの歌詞の世界観が大きく変わったことで、ギターのフレーズや音色も変化して。「美しき世界」(2021年12月リリース)もそうなんですけど、歌詞とギターのリンクがうまくいったかなと。

SHUKI 日本語の歌詞が増えて、必然的にメロディやトラックの雰囲気も変わってきて。日本でよく聴かれている音楽の要素を取り込むことが増えたんですよ。僕らはもともと洋楽がルーツだから、そのやり方はあまりやったことがなくて。「自分たちなりにJ-POPをやる」ということに向き合った制作でしたね。かなり思い切ったアレンジもあるし、面白い化学反応が起きたと思います。

KENJI 洋楽が母体なんですけど、J-POPを意識しつつ、自分たちの色をどう入れるか考えて。日本のシーンで勝負したいという気持ちも強くなったし、J-POPのチャートに入っている曲もよく聴いてましたね。

YU 特にサブスクはチェックしてました。若手のアーティストの音楽もめっちゃ聴きました。すごいなーって。

自分を信頼できるようになった

──以前のインタビューでYUさんは「人間らしさや普段は人に言いたくない生々しい部分も歌いたい」とコメントしていましたが、そのモードは今も続いているんですか?(参照:I Don't Like Mondays.「モンスター」「MR.CLEVER」インタビュー

YU そうですね。そこまで意識しなくても自由に書けるようになってきたというのかな。テクニック的なものが身に付いてきたというか、伝える手法も増えてきて、自分を信頼できるようになりましたね。以前は大変だったんですよ。デモ音源が上がるたびに「また歌詞を書かないといけないのか」と思ったし、締め切りに間に合うのかなって不安になって。

YU(Vo)

YU(Vo)

──つまり歌詞を書くのが好きじゃなかった?

YU 大嫌いでした。

CHOJIKENJISHUKI ははははは!

YU 誰か書いてくれないかなって(笑)。まあ、そうなったらなったで、「やっぱり自分で書いた歌詞がいい」ってなるんだろうけど。メンバーの歌詞はいつでも募集してますけどね。

SHUKI そうなんだ(笑)。

SHUKI(Dr)

SHUKI(Dr)

YU 今は楽しめるようになりましたけどね。というか、それを目標にしてたところもあるんですよ。歌詞を書くって時間も気力も取られるから、楽しめないときついじゃないですか。もともと本は好きだし、書きたいこともあったんだけど、それをアイドラの表現に落とし込むことができなかったんですよね。以前は曲から抽出したエッセンスを文字にしてたんだけど、今は曲のテイストと自分自身のメッセージを自然にリンクさせるツールがあるというか。

──リアルな感情を描きつつ、洋楽的なグルーヴもしっかりあって。いいバランスですよね。

YU そう言ってもらえるとうれしいですね。英語と日本語の使い分けも、全然意識してないんです。日本語にしなくちゃとも考えてないし、「そういえば英語が入ってないな」という感じなので。

SHUKI 英語詞を中心にした以前の書き方があったからこそ、日本語メインの歌詞にもグルーヴがあるんだと思いますね。最初から日本語で書いてたら、こういう感じになってない気がします。