「チュッ チュッ チュッ チュウ」……あ、ネズミかな?
──3曲目の「Victim Collection ~極上の生贄たちへ~」は、3位に輝いた轟一誠が中心のユニット・Warlockが歌唱しています。すごく中毒性の高い楽曲と言いますか……女性向けの作品で小杉保夫さんの名前をお見かけすることがあまりなかったので、小杉さんが男性アイドルキャラの楽曲を書くとこうなるのか、とワクワクしました。
伊藤 リーダーの轟一誠は悪ぶった大人というキャラクターなので、ちょっと目新しさがあるといいなと思って「Strange(奇妙)」というキーワードを付けたんですが、小杉さんにいただいた最初のラフは、今よりももっとインパクトが強くて、これぞまさに“Strange”って感じだったんです。
──今ですらかなりのインパクトがあると思いますけど、それ以上に。
大森 クスッって笑っちゃう、面白い歌でした(笑)。小杉さんはご自身で仮歌を入れてくださるんですけど、その歌い方もとっても素敵で和むんです。私もそうだし、小杉さんと関わる方ってみんな「小杉さんのデモテープが大好き」って言うんですよ。今回もご自身で仮の歌詞を付けて歌ってくださって、でたらめな日本語なんですけど、それが本当に面白くて(笑)。
──その仮歌もすごく気になりますが(笑)。そのまさに“Strange”な状態から、今のアイドルとしての楽曲に落とし込んでいったと。
伊藤 はい、カッコいい楽曲になりました! この曲が一番打ち合わせを重ねましたね。最初は歌詞の背景も見えなくて、「どういう世界観なんだろう!?」「とにかく打ち合わせしましょう!」って言って(笑)。
──この人たちは一体何者なんだろう、というのは気になりました。
大森 歌詞はもともと小杉さんが「アイチュウ アイチュウ チュッ チュッ チュッ チュウ」っていうフレーズをデモテープで歌っていて。そこを生かそうと思って書き始めたんですけど、「チュッ チュッ チュッ チュウ」「……あ、ネズミかな?」と思って(笑)。この曲は“ネズミの魔法使い”をイメージしてるんです。
──一誠たちはネズミなんですね(笑)。
大森 「俺らは増えるんだぜ?」って、あっという間に増えて、人間たちにちょっとしたイタズラをするって言う。ゲームもプレイしてハマっていくと、どんどん仲間が増えていくじゃないですか。そのへんもかけつつ(笑)。間奏のセリフも最初はなかったんですけど、「ぜひ」とお願いされてそのイメージで書いてみました。
伊藤 (セリフで)一誠が「オラァ!!」とか叫んでるのに、そのあとのみんなの掛け声が全然怖がってないのがいいですよね(笑)。
大森 あはは(笑)。
伊藤 この曲は(一誠役の)前野智昭さんが一番目に収録だったんですが、それが本当によかったなと思っていて。方向性も前野さんが指針になると思っていたので、セリフをどういうふうに言うのかとか、事前に打ち合わせができたので一番いい形で楽曲にすることができました。レコーディングは折原輝役の松岡禎丞さんやほかのキャストの方々も、皆さんノリノリで歌ってくださいましたね。
睦月はキングなんです
──続いてはGrandmasterの「刹那のマシェリ」。「Luxury」がキーワードのユニットです。
伊藤 リーダーの枢木睦月はおっとりした性格の子なので、ギャップが欲しいなと思い「Luxury」をキーワードにしました。楽曲はバロック音楽を嗜む貴族をイメージしていただきたいとお伝えして、ユニットのイラストはチェスをモチーフに描いていただいてます。
──個人的には一番好きな楽曲でした。
伊藤 この曲はスタッフの中でも女性人気が高いんですよ。逆に男性人気が高いのは「FIX ME」なんですが(笑)。「刹那のマシェリ」はメロディがキャッチーですし、アニメのオープニングのような、舞台の幕開け的な印象もあって。ユニットのコンセプトと楽曲がうまくハマったなと思います。
大森 (深く頷きながら)そうなんですよ、これはホントに曲がよくって! もしかしたら一番早く詞を書けたかもしれないです。最初は「ええっ、貴族とかわからない! どうしよう!」って思ってたんですけど(笑)。最初にメロディを聴いたときにサビの「勝手にチェックメイト」というフレーズが浮かんで、そのひと言から全体を組み立てていきました。
──1つ気になったんですが、この楽曲って睦月のソロパートがないですよね? ほかの楽曲はそれぞれユニットのリーダーに見せ場となるようなソロパートが設けられていたので、「あれ? 睦月のソロは?」と不思議に思ったんですが。
伊藤 睦月自身が一歩引いた性格なので、「自分はリーダーだけどみんな勝手に動いてくれるよね」と身を引いている部分があるのと、この曲において睦月の役割はキングなんですよ。なので王様気分で、自分を囲ってくれているみんなをチェスのコマのように動かしているというか(笑)。キングだから守られている状態なんですよね。
──なるほど。そういう理由から、睦月以外がソロで歌っているんですね。
伊藤 睦月というキャラクターを立てつつ、楽曲でのシチュエーションも立てているんです。睦月はソロパートがない代わり、ユニゾンで歌っているところは声が目立つようになっているかなと思います。
“好きな人限定”で叱られたい女心
──最後の楽曲は「Do! Do! Journey」。アイドルらしい、さわやかな1曲ですね。
伊藤 すごくキラキラしてますよね。
──はい。でもユニット名が「野生児」と言う(笑)。
伊藤 あはは(笑)。リーダーの斑尾巽は、所属している天上天下というグループの中でも末っ子キャラなので、思いっ切り暴れてほしいなと思って「Wild」というテーマを付けたんです。実はユニット名も「Wildboys」って、英語にしようかなと思っていて。でも全ユニット英語ってつまんないなと思って、「野生児」になりました。
──実際、すごく目を引きます(笑)。
伊藤 最後のほうまで悩んでたんですけど、ユニットのロゴを作るときに「『Wildboys』……。うーん、やっぱり『野生児』で作ってください!」と(笑)。楽曲については、大自然にいる野生児を連想して作ってほしいと依頼しました。
──歌詞も冒険心にあふれてますよね。最初に大森さんが「こういうことを言ってくれる男の子がいたらいいな」と思って書いた部分もあるとお話されてましたが、そういった意味では2番の「つまさきの泥 気にするとことか 女のコらしくていいけど」のところはちょっとドキッとしました。こういうところにその思いが詰め込まれているのかなと。
大森 まさにその通りです。そのあとの「叱っちゃうぜ へこみがちなハートは」もそうで……。女の子って、好きな男の子になら叱られたいですよね?
──(笑)。
大森 好きな人限定ですけどね! そういった気持ちも込めつつ書いたところです(笑)。野生児って全員10代なんですよね。なのでメンバーのフレッシュさも出せたらいいなと思って作詞しました。
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「アイ★チュウ」に夢中です
- V.A.「アイ★チュウ ~シャッフルユニットミニアルバム~」
- 2017年6月21日発売 / Victor Entertainment
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- CD収録曲
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- W・O・N・D・E・R・L・A・N・D[作詞:大森祥子 / 作曲・編曲:神谷礼]
TOYBOX華房心(CV:村瀬歩) / 鮮血の帝王(CV:下野紘) / 桃井恭介(CV:花倉洸幸) / 湊奏多(CV:井口祐一) / 死と時の番人(CV:柿原徹也) / ラビ(CV:中西尚也) - FIX ME[作詞:大森祥子 / 作曲:神谷礼 / 編曲:河合英嗣]
QA御剣晃(CV:豊永利行) / 海部子規(CV:谷地克文) / 愛童星夜(CV:KENN) / ノア(CV:花江夏樹) / 杜若葵(CV:木村良平) / 三千院鷹通(CV:白井悠介) - Victim Collection ~極上の生贄たちへ~[作詞:大森祥子 / 作曲:小杉保夫 / 編曲:菊谷知樹]
Warlock轟一誠(CV:前野智昭) / 赤羽根双海(CV:内田雄馬) / 及川桃助(CV:山本和臣) / 黎 朝陽(CV:榎木淳弥) / 折原輝(CV:松岡禎丞) / 朴木十夜(CV:峰岸佳) - 刹那のマシェリ[作詞:大森祥子 / 作曲・編曲:大久保薫]
Grandmaster枢木睦月(CV:近藤隆) / 竜胆椿(CV:小野友樹) / 神楽坂ルナ(CV:天﨑滉平) / レオン(CV:増田俊樹) / 鳶倉アキヲ(CV:田丸篤志) / 若王子楽(CV:平川大輔) - Do! Do! Journey[作詞:大森祥子 / 作曲・編曲:山口朗彦]
野生児斑尾巽(CV:斉藤壮馬) / 罪人の道化師(CV:下妻由幸) / 枢木皐月(CV:森久保祥太郎) / リュカ(CV:梅原裕一郎) / 日下部虎彦(CV:ロア健治)
- W・O・N・D・E・R・L・A・N・D[作詞:大森祥子 / 作曲・編曲:神谷礼]
- アイ★チュウ
- 2015年6月にサービスインしたAndroid / iOS向け恋愛リズムアドベンチャーゲーム。とある有名事務所「エルドール」が設けた学園「エトワール・ヴィオスクール」を舞台に、プレイヤーが教師兼プロデューサーとなりアイドルの卵を一人前のアイドルに育てていく。
- アイチュウ
- 販売元:LIBER ENTERTAINMENT INC.