麻天狼が優勝した理由
──木村さんは「The Champion」を聴いてどういう感想を持ちましたか?
木村 めちゃくちゃカッコよかったですね。今までの「ヒプマイ」の楽曲にはないスタイルの曲なので、「ヒプマイ」ファンの方がこの曲を通していろいろ知ってくれたら熱いなと思います。あと今までの「ヒプマイ」の曲だとフックは日本語が多かったんですけど、この曲はめっちゃ英語なのも興奮しました。「Yes we a di champion」って。これいいっすよね……。
Zeebra 「Yes we a di champion」の「di」は、“パトワ”っていうジャマイカの英語の使い方なんですよね。ジャマイカ発祥のレゲエはヒップホップのお父さんみたいなもんで、切っても切れない関係性にあって。さっき言ってたバスタ・ライムスとかもパトワが超うまいし、この曲でも入れてみました。昔は日本語でも韻が踏めるということを証明しなきゃいけなかったから、日本語だけで踏むようにしていて、例えば「Radio」でも「レディオ」じゃなくて「ラジオ」と発音して踏んだりしていたんです。でも、もう日本語で踏めるのは十分わかったし、違うことやってみようと。英語だと単音じゃない分、伸ばしたり、跳ねたり、面白いリズムが生まれやすいし、今の若い子たちは英語も日本語もまったく気にせずにラップしているんですよね。そういう意味では一二三のヴァースは最新型で英語が多く入ってるけど、独歩と寂雷のヴァースには英語が少なかったりもします。
木村 切実な感想としては、俺が歌いたかった……。
一同 (笑)。
Zeebra それは俺のTwitterにいっぱい来たよ。「これ木村さんが悔しがってますよ」「歌わせてあげたかったです」って。
──今回4つのディビジョンのトーナメント戦を勝ち抜いた麻天狼の3人が歌うことになったわけですが、速水さんは麻天狼が優勝した要因について、どう分析されていますか?
速水 やっぱり3人のキャラが立っていたことと、ちょっと大人であるということかな。大人でもこれからこの世界を楽しみたいという方たちが僕らのところに流れてきたのかなという気がします。
Zeebra 確かにお三方の声を聞かせていただいて、それぞれかぶってなくてキャラ立ちしているなとすごく思いましたね。
「ヒプマイ」ファンがヒップホップのライブへ
Zeebra 「ヒプマイ」のファンって女性の方が多いんですか?
速水 そうですね。
Zeebra いいなあ……。ヒップホップは圧倒的に男性ファンが多いです。ただ数は少ないけど、かわいい子の比率が高いとは昔から言われていて(笑)。タオルを首からかけているようなカジュアルなファッションのバンドファンと違って、ギラッとオシャレしてくるような子が多い。フロアでファンと話しているのかキャバクラに来ているのかわからないようなときもあるんですが。
──「ヒプマイ」のファンがそちら側にどんどん流入する可能性があるわけですよね。
Zeebra それはぜひぜひ。
木村 「ヒプマイ」のイベントに出演したKEN THE 390さんやサイプレス上野さんも驚かれてましたね。ケンさんのライブには女の子が多いと思うんですけど、それでも「こんなに女の子いる?」って。めちゃめちゃうれしそうでした。サイプレス上野さんは「ヒプマイ」のライブに出演していただいた際にめちゃめちゃ緊張なさっていたらしいんですけど、「ヒップホップ体操第二」でコール&レスポンスをやったときに「ヒプマイ」のファンがめちゃめちゃ応えてくれたと。それに「ヒプマイ」のファンがサイプレス上野さんのライブにも行ってるらしいんですよ。声優ファンの方々は知識欲がある一方で一途な方が多くて、イベントでも自分が応援する人だけ観てほかは観ないみたいな人も中にはいるんですけど、「楽しかったからこの人のライブも行ってみよう」という人が「ヒプマイ」のファンの方には非常に多い。先日、自分が山嵐さん(2018年11月に発売された“Final Battle CD”「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」収録曲「DEATH RESPECT」の作編曲を担当)のライブに行ったときも「ヒプマイ」のTシャツを着た方がいらしたりして。
Zeebraも声優に挑戦?
Zeebra 僕もお二人に聞いてみたいことがあって。ラッパーは客演としてほかのアーティストの楽曲に参加する機会が多いので、パッと聴いてその人だとわかるような声があった方がいいんですけど、やっぱりいろんな曲を作る中で1つの声質でやるのは無理があって、曲に合わせて声も変えるようになっていて。それを聴いていて全然別の人になっちゃってるなと思うことがあるんですけど、同じ声質でニュアンスを変えたい場合、声優の方々はどうやってるんですか?
速水 僕らの場合は共演者がいるから、共演者が出してくるものでこちらの発声の仕方が変わったり、輝かせてもらえることがありますね。他力本願じゃないですけど、キャッチボールの中で出てくる魔球とか秘球があって、それは決して1人では出せないものなんです。自分から意識して変えることはあんまりないかもしれない。
木村 演じ始めた頃と最後で全然声が変わっちゃったなと思うことは自分もあるんですけど、違うと思ってるのは意外と自分だけだったりするんですよね。声色を変えたり、ニュアンスを変えたり、演じ方を変えたりしますけど、やっぱり楽器は1つなので、どのキャラクターにおいても、僕が音を出してるって意味では実は変わらない。だから大きく意識しないようにしています。
Zeebra なるほど。普段映像に合わせてアフレコするときって、口の動きとかタイミングも初めから決まっているんですか?
速水 アニメーションのアフレコだと、まず絵がないんです。子どもの落書きみたいなものがあって、話すところは“ボールド”という看板みたいなものが出るんですよ。
Zeebra 頭の中で想像してやる部分が大きいんですね。相手の人としゃべる間の時間は決められているんですか?
速水 監督が自分でしゃべって、ストップウォッチで測って決めています。だからアニメーションに関しては自由度は高くないんです。映画やドラマの吹き替えはさらにガチガチに決まってますね。「ヒプマイ」のCDに収録されているオーディオドラマは僕らが自由に間を作れるのでそこが楽しいです。Zeebraさんも声優に挑戦されてみてはどうですか?
Zeebra 機会をいただけたら(笑)。
ラップスキルの上達が楽しみ
──では最後に、Zeebraさんが今後の「ヒプノシスマイク」に期待することを教えてください。
Zeebra キャストの方はどんどんラップに慣れてきていると思うので、それぞれのスキルの上達が楽しみですね。物語も深くなっていくはずだし、キャラクターがアニメとして動く日があるのかも楽しみです。大河ドラマみたいになったらいいな。あと楽曲の基本線はこのままでいいと思うんですけど、プロのラッパーと絡む曲も出てきてもいいのかなと思ったりしました。
──「フリースタイルダンジョン」とコラボする展開などはありそうでしょうか?
Zeebra ね。そこは俺もどうやったらいいかなと思って。即興の練習をしていただけたら(笑)。
速水 それはもう昴に任せるわ。
──速水さんと木村さんは今後の目標などはありますか?
速水 今のまま真面目にコツコツと言葉を積み上げて楽しみたいと思っています。
木村 そうですね。やっぱりとっても楽しいし、長いこと続けられたらいいなと思うので、ゴールは決めずに行けるところまで行ってがんばってみたいなという思いがあります。Zeebraさんがおっしゃっていたように、参加している声優の方々は本当にスキルアップしているので、声優とは知らずに楽曲だけ聴いて「えっ、声優なんですか?」と驚かれるような人も出てきたらいいなと。
Zeebra 周りのラッパーでもある程度全体が見えている連中は物事を斜めに見たりすることなく、ちゃんと聴いて「こういうことか」「やっぱ声すごくいいもんね」と判断しているんですよね。
2017年9月に始動した男性声優12人によるラップソングプロジェクト。兵器ではなく言葉が力を持つことになった世界を舞台に、イケブクロ・ディビジョンBuster Bros!!!、ヨコハマ・ディビジョンMAD TRIGGER CREW、シブヤ・ディビジョンFling Posse、シンジュク・ディビジョン麻天狼の4チームに分かれたキャラクターたちがラップミュージックでバトルを展開する。2017年10月から12月にかけて4つのディビジョンのCD4枚をリリース。2018年にはCD購入者の投票によってバトルの行方が決まるユーザー参加型企画「Battle Season」を始動させ、5月に“1st Battle CD” 「Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW」、7月に“2nd Battle CD”「Fling Posse VS 麻天狼」を発売した。11月に “Final Battle CD”「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」をリリースし、勝利した麻天狼による優勝記念CD「The Champion」を2019年2月に発売。4月24日には1stフルアルバム「Enter the Hypnosis Microphone」をリリースする。
-
山田二郎 JIRO YAMADA (CV:石谷春貴) a.k.aMC.M.B
-
山田一郎 ICHIRO YAMADA (CV:木村昴) a.k.aMC.B.B
-
山田三郎 SABURO YAMADA (CV:天﨑滉平) a.k.aMC.L.B
- イケブクロ・ディビジョンBuster Bros!!!
- ブクロ最強の3兄弟。ケンカが強いイケブクロの顔役・二郎と、天才肌でありながらひん曲がった性格の三郎は、正義感が強く面倒見のいい長男・一郎を慕うがあまり、ことあるごとに小競り合いをしている。一郎はかつてイケブクロでは名を知らない者がいないほどの不良だった。
-
入間銃兎 JYUTO IRUMA (CV:駒田航) a.k.a45 Rabbit
-
碧棺左馬刻 SAMATOKI AOHITSUGI (CV:浅沼晋太郎) a.k.aMr.Hc
-
毒島メイソン理鶯 RIO MASON BUSUJIMA (CV:神尾晋一郎) a.k.aCrazy M
- ヨコハマ・ディビジョンMAD TRIGGER CREW
- ヨコハマ界隈を仕切るヤクザの左馬刻、チームのまとめ役的存在である警官・銃兎、“プロ級”の料理の腕前を持つ元海軍の一等軍曹・理鶯の3人。左馬刻はイケブクロ・ディビジョンの山田一郎と犬猿の仲である。
-
夢野幻太郎 GENTARO YUMENO (CV:斉藤壮馬) a.k.aPhantom
-
飴村乱数 RAMUDA AMEMURA (CV:白井悠介) a.k.aeasy R
-
有栖川帝統 DICE ARISUGAWA (CV:野津山幸宏) a.k.aDead or Alive
- シブヤ・ディビジョンFling Posse
- 幼い見た目ながら成人を超えているファッションデザイナーの乱数と、嘘ばかりついている作家の幻太郎、有り金はもちろん、自分の命さえも賭けてしまうギャンブル狂の帝統。人当たりのいい乱数だが、犬猿の仲であるシンジュク・ディビジョンの寂雷に対しては悪態をついている。
-
伊弉冉一二三 HIFUMI IZANAMI (CV:木島隆一) a.k.aGIGOLO
-
神宮寺寂雷 JAKURAI JINGUJI (CV:速水奨) a.k.aill-DOC
-
観音坂独歩 DOPPO KANNONZAKA (CV:伊東健人) a.k.aDOPPO
- シンジュク・ディビジョン麻天狼
- 変人を好む天才医師の寂雷、実は極度の女性恐怖症であるホストの一二三、ネガティブな性格のサラリーマン・独歩。一二三と独歩は小学校からの幼なじみで、友達の少ない独歩にとって一二三は唯一の友人。