ジミヘンからインスパイアされた「6or9」
──新曲「6or9」の配信日は9月6日で、タイトルの数字をひっくり返した日ですよね。またHYDEさんと言えば、ソロライブの開演時刻を「6:66(19:06)」に設定するなど「6」という数字にこだわりがあるのかなと思ったのですが、実際はどうなんでしょうか?
実は、僕自身は全然数字にこだわってないんですよ(笑)。たまたま「6 6 6」というアルバムを2003年に出したあとから、なんとなく「666」とか「6」いう数字がついて回ってる感じで。
──そうおっしゃっているところ恐縮ですが、僭越ながら6と9という数字が持つ意味を調べてみたんです。「6」は完全な調和という意味がある一方で、「9」は完結や完成といったポジティブな意味合いがあるとともに、日本だと「く」とも読めることから「苦」と重なると忌避される数字だったりもする。そういった数字が持つメッセージを考えたときに、「We want it 6 We wanna turn 9(6が欲しい。9をひっくり返したい)」という歌詞には、マイナスの状況を変えたいといった思いが込められているのかもと解釈したんです。あとは6と9を並べると「陰」と「陽」を表現する「太極図」にも似ているので、物事は表裏一体であるというメッセージがあるのかなと想像したり。
なるほどね。「6or9」はジミ・ヘンドリックスの「If 6 Was 9」という曲からインスパイアされて作ったんです。「If 6 Was 9」という曲には、「6が9であってもかまわない」という歌詞が出てきて、酔っ払って寝転んだらどっちがどっちだかわからない。そんな混沌とした状況をアッパーなサウンドで表現したかったんですよね。
──「限界こっから更新 junk」「羽伸ばしこっから junk」など、これからの意気込みを感じさせるメッセージも含んだシャレの効いたワードも登場しますが、ご自身で歌っていて気持ちのいいフレーズはありますか?
全体的に歌ってて楽しいんですけど、特に「We want it 6」かなあ。ライブではファンがバッキングボーカルをして、僕が上のメロディを歌うのが定番になっているんですよ。
──会場の一体感や熱気がグッと高まりますよね。フェスでもお客さんがタオルを回しながら盛り上がる光景が広がっていました。
そうそう。シンプルなので誰でもすぐ歌えちゃう。「6or9」は盛り上がる曲なので、飲み会のカラオケなんかでも歌ってもらいたいです。最後のサビに入る前にお酒を注いで、みんなで乾杯したり。
──(笑)。HYDEさん流のパーティチューンなんですね。
はい。ヘヴィロックテイストのパーティチューンってあまりないと思うので、ロック好きな人の耳にも届けばいいな。
ラルクがやってきたことは間違いじゃなかった
──「6or9」もそうですが、ソロ活動を本格的に再開してからのHYDEさんの楽曲にはいろんなクリエイターの方が参加されていますよね。以前から誰かと一緒に作ることで、自分の理想に近付いていくとおっしゃっているので、それを積極的に実践されているのかなと。
はい。自分が作る曲はそんなにたくさんはなくていいなと思うんです。L'Arc-en-Cielでもそうだけど、ほかのメンバーが作ってくる曲のほうが、自分の新しい引き出しが開くんですよね。自分で作るとなると数曲だったらいいけど、アルバム全曲とかになるともともと開いていた引き出しから無理にアイデアを出さなきゃいけない。誰かが作ってきたほうが曲のバリエーションが生まれるんです。
──となると、これから異なるジャンルのアーティストとのコラボというのも期待できそうですね。先日HYDEさんにはヒップホップシーンで活躍されている(sic)boyさんの特集にコメントを寄せていただきました(参照:(sic)boy「HOLLOW」特集)。その中で、「『曲作ってくんない?』って聞いてみようかな?」と書かれていたので、お二人のコラボに期待されている方も多いと思います。
僕はヒップホップにめちゃくちゃ影響を受けているわけじゃないんですけど、新鮮に思えるサウンド、いいと感じるものはなるべく取り入れていきたいんです。カッコいいものにはアンテナが向いちゃうんですよね。そんな中でたまたま聴いた(sic)boyくんの曲(「Dark Horse」)は、素直に「かっけえ!」と思って。純粋に曲を作ってくれないかなあと考えてるところです。
──(sic)boyさんもそうですが、以前にも増してHYDEさんに影響を受けたと公言される若いアーティストが多くなっている印象があります。去年開催された対バンライブツアー「RUMBLE FISH」で競演された面々はもちろん、楽曲も提供されているジェジュンさん、NCTのユータさんやJO1の白岩瑠姫さんなど、幅広いジャンルの方からラブコールを送られていますよね。HYDEさんご自身はそのことについてどう感じられてますか?
L'Arc-en-Cielでやってきたことが、いい形で影響を与えているんだなと思いますね。「音楽を始めたきっかけはラルクだったんです」とか「ラルクに影響を受けました」と言ってくれるアーティストが本当に多くて。違うジャンルで活動しているアーティストでも、ラルクをきっかけに話しかけてくれる。そういうことがあると、自分たちがやってきたことは間違いじゃなかったんだなと思える。もちろん自分の過去が100点とは思わないけど、その時代ならではのやり方で、メンバーそれぞれのセンスを発揮しながら活動してきた結果なのかなと。
──そのことはソロ20周年のタイミングでもおっしゃってましたね(参照:HYDEソロ20周年記念インタビュー)。近年特に交友関係がさらに広がった要因についてご自身としてはどう分析されてますか?
フェスに出るようになったのが一番大きいですね。出演者はみんな仲間だと思ってるから、僕も話しやすいし、相手も話しかけやすいみたい。自分が出演していないフェスに遊びに行っても、知り合い以外と挨拶することってほとんどないので。それと僕とか大御所扱いされちゃって、普段は話しかけにくいみたいだし(笑)。でも、フェスに出てたらライブをステージの袖とかから観られるし、「今、カッコよかったね」とか気軽に声をかけることができる。今年初めて出た「男鹿ナマハゲロックフェスティバル」で観たThe BONEZなんてすごくカッコよくて。JESSEのことは以前から知ってはいたし、同じイベントに出たことは何度かあったけどライブをちゃんと観たのは初めてで。あのライブパフォーマンスは目から鱗だった。こんなすごいヤツがいるんだと、フェスを通して発見することもあります。
徹底的にエンタテインメント性を出す
──新曲リリース直後には幕張メッセで「HYDE LIVE 2023」の集大成となる2DAYSライブが行われます。ライブハウスで展開されていた本編に対して、幕張メッセ公演はお客さんのニーズにあわせていろんな席種があるのも特徴ですし、何よりもステージが格段に大きくなります。
まずライブハウス公演に比べて、スケールアップしてエンタテインメント色が強くなります。僕とほかのヘヴィロック、ラウド系のアーティストの違うところはエンタテインメント性だと思うんです。幕張メッセでは徹底的にその違いを見せたい。同時にハードな部分はよりハードに見せるつもり。お客さんもライブハウスだと柵があって、動くにしても限界があるんですけど、幕張メッセではスペースが広くなって動きやすいから、曲によってはサークルとか生まれるんじゃないかな。一方で、スタンド席もあるのでじっくり観たい人にはすごくいい環境になってて。
──2日目の模様は生配信も行われると聞きました。国内だけでなく、韓国、香港、シンガポールでも配信されるそうで。
海外に向けて配信できるのは大きいですね。そこが最大の狙いというか。僕のエンタテインメントを海外の人にも届けられたらと思います。
──幕張公演が終わったあとはソロとしていくつかのイベントに出演されたのち、THE LAST ROCKSTARSのライブを東京とアメリカ・ロサンゼルスで開催されますが、HYDEさんの2023年後半、そして2024年の展望はどんなものでしょうか。
うーん、今は先のことは言えない状態かな(笑)。
──目下のスケジュールが詰まっていますものね。でもファンの方は、以前からお話されているニューアルバムの進捗についても気になってると思います。
ホントですよね。ホントにあと1割で完成ってところなんで、早く出せばいいのにという感じなんですけど。出すタイミングも大事にしたくて……とか言って、もうX JAPANのニューアルバム状態ですね(笑)。
──(笑)。ちなみに、2018年にソロとして本格的に再始動してから5年が経ちましたが、ご自身の感触としてはいかがですか?
この5年の活動は、いいバランスでできたかな。海外展開はコロナの影響で望み通りではなかったけど、それ以外は順調だったと思います。
ライブ情報
HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT
- 2023年9月9日(土)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
OPEN 15:30 / START 17:06 - 2023年9月10日(日)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
OPEN 15:30 / START 17:06
席種
- VVIP席チケット(完売)
- VIP席チケット(完売)
- アリーナスタンディングブロック指定チケット(完売)
- ステージサイド席チケット(完売)
- スタンド指定席チケット(一般発売中)
スタンド指定席チケット
税込8430円(オリジナルNFT付き)
NFT内容:「Rakuten NFT」オリジナルHYDE撮り下ろしNFT全3種よりランダムで選ばれた2個のNFTと、公演日付入りライブ参加記念NFT1個。
※オリジナルHYDE撮り下ろしNFTは、公演日によって図柄が異なります。
※公演後、チケット購入時のメールアドレス宛にNFT取得用クーポンコードを送付。
Rakuten TV「HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT」配信情報
配信日時:2023年9月10日(日)17:06~
※2023年9月13日(水)20:59まで見逃し配信
プロフィール
HYDE(ハイド)
L'Arc-en-Ciel、VAMPS、THE LAST ROCKSTARSのボーカリスト。2001年からソロ活動をスタートし、日本のみならずワールドワイドに活動している。ツアーの一環でアメリカ・Madison Square Gardenや東京・国立競技場などで単独ライブを行い成功を収めている。2022年6月より対バン形式のライブハウスツアー「HYDE LIVE 2022 RUMBLE FISH」を開催。ソロ活動20周年を迎えた2021年に開催した「20th Orchestra Tour HYDE ROENTGEN 2021」「20th Orchestra Concert 2021 HYDE HEIANJINGU」の模様を収めた映像作品を2022年7月にリリースした。2023年6月に「TAKING THEM DOWN」、9月に「6or9」を配信リリース。9月9、10日に全国ツアーのファイナル公演「HYDE LIVE 2023 Presented by Rakuten NFT」を千葉・幕張メッセ 幕張イベントホールにて開催する。