いかにいい声で、いい発音で歌えるか

──アメリカでの制作やレコーディングは日本とは違いますか？

全然違うね。アメリカはとにかく人によってやり方が違うから。日本は極端に言うと、全員似てる。だいたいフォーマットが決まってるんだけど、アメリカはディレクターやプロデューサーによって1人ひとりやり方がまったく違うから面白い。ただ、英語の歌は日本語ほどうまく歌えないのがね……そこは自分でダメなところだと思ってる。発音によって、自分の歌のいいところが何％か削れてしまうんで。いかにいい声で、いい発音で歌えるか試行錯誤してます。まあ「WHO'S GONNA SAVE US」は今現在での到達点かな。

──英語で歌う際、発音は重要視している部分ですか？

うん。要の部分だよね。発音のよし悪しって、海外のリスナーに歌が届くかどうかにも影響するから。そこは僕が挑戦し続けているところだし、あきらめるわけにはいかない部分。常に今、自分ができる限りのことをするしかないけど。

──近年のVAMPSの曲は英語詞がメインですし、「WHO'S GONNA SAVE US」も全編英語詞ですね。

最初は一部に日本語を入れるという話もあったんだけど、ついついね……時の流れに身を任せていたら全部英語になっちゃった。そもそも一部分だけ日本語を残すことに疑問があって。そこに対して入れるべきかどうか答えが出ないまま、リリースが決まっちゃった感じ。

──この曲については英語詞が一番しっくりくる？

それはもちろん。ただ日本語を入れるかどうかはまた別の話で。それってどれくらい必要なことなんだろうなっていつも悩んでる。

──日本のリスナーのことを考えたら入れたほうがという意見もあるでしょうね。

うん。あと発音のことを気にしなくても自由に歌えるから、日本語のほうが全然歌いやすい。それに日本語で歌うHYDEを求めてるファンがいるのも知ってる。ただ、それだとつまんないと言うか、自分の挑戦にならない。日本語で歌うことはやろうと思えばいつでもできるし、ラルクが動き出したらもちろん日本語で歌うだろうし。英語で歌うっていう挑戦は、ある意味で今しかできないから。

「MIDNIGHT CELEBRATION II」で目指したもの

──シングルのカップリングにはHYDE「MIDNIGHT CELEBRATION」のリメイク版「MIDNIGHT CELEBRATION II」が入っていますが、このタイミングで再レコーディングしようと思った理由は？

この曲は今後もライブでやるだろうし、このタイミングで新しくしたかったから。

──より激しさが倍増してますね。編曲のクレジットにnishi-kenさん、PABLO（Pay money To my Pain）さんのお二人が入っていて、PABLOさんはレコーディングにも参加されています。

アレンジは何人かの方に依頼して。一番面白かったのが2人のバージョンをミックスしたものだったので、それを採用しました。かなりカッコよくなったと思う。

──アレンジをオファーするときに何かリクエストはしたんですか？

具体的にはコードを1音落としてほしいってことかな。自由に、カッコよくしてくれ、と。あ、前のやつよりもっとライブで盛り上がるようにしてくれって注文はしたかな。

──もとのバージョンもかなり激しいし、ライブの定番曲ですからリアレンジのハードルは高かったでしょうね。

うん。もとのバージョンがけっこうカオスで盛り上がる感じだから、ファンは新しいバージョンも期待して聴くだろうし、それが前のよりテンションが落ちてたらつまらない。

──確かに。

nishi-kenさんが作ったアレンジはサビ以外が特に面白くて、盛り上がるなって思って採用したんです。でもPABLOが作ったサビのアレンジがカッコよかったんで、どうしようかなって。そしたら、nishi-kenさんはもともとこの曲のギターをPABLOに弾いてもらうつもりだったみたいで。だったら、全部いいとこ取りにしようよってなって編曲が2人という形になった。

──「WHO'S GONNA SAVE US」も「MIDNIGHT CELEBRATION II」も参加ミュージシャンのクレジットを拝見すると、今までタッグを組んだことのない新しくて若いクリエイターと組んでいる印象を受けました。そこは意図的に？

特に意図的ではないんだけど、ディレクターが今一番アツい人たちを紹介してくれたんです。

──それによって、HYDEさんの新しい音楽性が引き出されているのかなと思いました。

ああ、そういう部分はあるかも。

──先ほど新しい音楽を聴いているというお話がありましたが、特に気に入っているアーティストは？

Starsetかな。前のアメリカツアーで一緒に回ったんだけど、宇宙をテーマにしたバンドで。曲も声も全部カッコよくて、日本に連れて来たいなと思ってる。演出もよくて、普段からよく聴いてます。