磯部正文(HUSKING BEE)×LOW IQ 01|ロックシーンを駆け抜けてきた2人が語る「あの頃と今の俺たち」

「なるほど、これが自分にできそうでできないことなんだ」

──勝手な印象ですけど、最近のお二人はすごくリラックスしてると言うか、とげとげしくせずにのびのびと活動してるように見えます。

左からLOW IQ 01、磯部正文。

LOW IQ 01 昔は「自分のペースでゆっくりやればいいんだよ」って言ってたけど、ときには駆け足も必要。歳を取ってからそういうことを感じてきたかな。まあ、俺の場合は昔がやらなさすぎだったんだけどさ。今はこういう時代に音楽で表現できる機会があるならやるべきだって思うようになってきた。

磯部 市川くんの言わんとすることはめちゃめちゃわかります。とげとげしい感じもいいなと思うし、自分もそういう空気をまといたいと思うんだけど、基本的にはリラックスした雰囲気が出てる気がする。

──いい意味での開き直りと言うか、今やれることをしゃかりきになってやってるなと。5月に埼玉・さいたまスーパーアリーナで開催された「VIVA LA ROCK」でのLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSのライブも型にとらわれない、非常に開けたものでした。

LOW IQ 01 もちろん、ビシっと作り込んだものをやるのもエンタテインメントだとは思うんだけど、俺は脳が動いたことをその場その場で形にするようにしてるから。昔はお客さんとの間に1枚壁があるようなイメージだったけど、それがなくなって、この歳になってライブがどんどん楽しくなってるんだよね。昔は俺が自己満足で好き勝手にやってる感じだったけど、今は来てくれる人の期待にも応えないといけないと思ってる。

──確かに。

LOW IQ 01

LOW IQ 01 俺はあと2年で50歳になるんだけど、普通はみんな歳を重ねるごとにいい具合にゆったりしていくものだと思うんだよね。でも俺の場合は作る音楽がどんどんシンプルになってきて、リフと歌とサビで勝負をかける方向になってきたかな。

磯部 市川くんの今の感じや曲の変化について、よくわかります。僕も今回のアルバムのデモを作ってるときに、テッキン(工藤哲也 / B)から「イッソンは3コードのシンプルな曲を作ったほうがいいよ」って言われて、自分でもそうだなと思って作ろうとしたんです。だけど、絶対にそうならなくて。考えてみると昔からそうだったんですよ。曲のどこかで展開を作りたくなって、さらにそれを難しく聞こえないようにするのが自分の好きなやり方なんだなってわかった。結局、僕は今回は自分の好きな感じで作ったけど、「シンプルに作ったほうがいい」って言ってたテッキンの曲(「とりだりなうみ」)がその答えを出したなって。

LOW IQ 01 確かにテッキンの曲はすごくシンプルに聞こえるね。

磯部 そう、聴きながら「なるほど、これが自分にできそうでできないことなんだ」って思いました。

LOW IQ 01 あと、今回はDescendentsのカバー(「Bikeage」)があるよね。最初聴いたとき「WALK」(1996年リリースの1stアルバム「GRIP」に収録されているHUSKING BEEの代表曲)かと思った。

磯部 僕、DescendentsとかAll(Descendentsのボーカルが一時脱退した期間に残ったメンバーが結成したバンド)を全然知らなくて、「GRIP」を出したあとにみんなから「絶対Descendentsを聴いたほうがいいよ」って言われて聴いてみたら、不思議なほど「WALK」と近かった。

LOW IQ 01 俺、オマージュなのかなと思ったよ。昔、BACK DROP BOMBでもそういうことがあったよね。311とほぼ同じタイミングで似たような曲をやってたっていう。

LOW IQ 01 磯部正文

中1と中3の違いを見せつけないといけないからさ

──先ほどの話に戻りますが、最近のハスキンは積極的に作品にゲストを呼んでいて、そういう面でも自由ですよね。今回はなぜイチさんに「Enjoy」のコーラスを依頼したんでしょうか?

磯部 いつも市川くんのライブに遊びに行って、「LITTLE GIANT」(LOW IQ 01の1stアルバム「MASTER LOW」収録の磯部をテーマにした人気曲)で飛び入りしたりしてたけど、なんか自分ばかり申し訳ないなと思って。これからも市川くんとは一緒にライブをやることはあるだろうし、市川くんが飛び入りしてくれる曲があったら楽しいだろうなあって。最初からそういうことをイメージしながらこの曲は作ってました。

LOW IQ 01 まあ、今回は大きくフィーチャーしてもらってるけど、昔はどのバンドでもレコーディングにぷらっと遊びに行って、「じゃあ、ここにコーラス入れて」ってその場でお願いされることは当たり前のようにあったからね。20年前からやってることなんだよ。だけど、2000年代に入ってそれぞれの活動に集中するようになってからはそういう機会は減ってきちゃったよね。時代ですよ、時代。

──オファーを受けたイチさんはどう思いました?

LOW IQ 01 まあ、「いつものことです」って言ったら変だけど、「はいはい、わかりました」と。で、スタジオに行って「5分で終わらせるからね」って。でもこれは「いい加減にやるから」って意味じゃなくて、俺はレコーディングを一発で終わらせるのが好きだから。「おお、さすが!」って言われたいっていうのと、「ちゃんと準備してきてるから任せてね」っていう2つの気持ちがあるんだよね。だから、録ったあとの判断はイッソンに任せて、すぐ行ってすぐ帰ったよ。

磯部正文

磯部 もう狙い通りでした。まあ、市川くんの実力は知ってますからね。

LOW IQ 01 でも、今回はコーラスって感じじゃなかったよね。昔は掛け声的な感じで参加してたけど、今回は歌う箇所がけっこう長くて、「これはコーラスってレベルじゃないぞ!」って。展開が多かったから覚えるのは大変だったけど、ちゃんと準備して行ったよ。今は多少音程が外れてもPro Toolsでいくらでも直せる時代だけど、それは嫌なのよ。できるだけ人力で、そのまま使えるものを歌いたい。「さすが2個上の先輩!」って言われるような、中1と中3の違いを見せつけないといけないからさ(笑)。

HUSKING BEE「Lacrima」 2018年6月6日発売 / CROWN STONES
HUSKING BEE「Lacrima」

[CD]
2700円 / CRCP-40555

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収録曲
  1. #1
  2. Wake You Up
  3. Enjoy
  4. Gonna Sing You My Love Song
  5. Hints Of Disillusion
  6. Hold Me Back
  7. 夜と霧のなかで
  1. とりどりなうみ
  2. Bikeage(Descendents Cover)
  3. In Passing
  4. Living Life
  5. Ring Sizer
  6. アユミヨレ
LOW IQ 01「Shine」
2018年5月18日発売 / MASTER OF MUSIC RECORDS
LOW IQ 01「Shine」

[CD]
1000円 / MOM3

※ライブ会場限定販売

収録曲
  1. Shine

ほか全2曲収録

LOW IQ 01「The Early Years Series」
2018年8月10日発売 / MASTER OF MUSIC RECORDS
LOW IQ 01「The Early Years Series」

[CD5枚組+オリジナルフェイスタオル]
7020円 / MOM4-8

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DISC 1「MASTER LOW」
  1. NEVER SHUT UP
  2. LITTLE GIANT
  3. THE BOOTS
  4. NO SHAME
  5. MUSIC MAN
  1. 4/5(80%)
  2. MASTER VOLUME
  3. RULES
  4. SUPER PRODIGY
DISC 2「MASTER LOW 2」
  1. F.A.Y.(FIGHT AGAINST YOURSELF)
  2. CHANCES
  3. TAKE A LOOK…
  4. Don't Stand On My Way
  5. STEREOSPEAKER(ORIGINAL VERSION)
  1. MAKIN' MAGIC
  2. NORM
  3. ANARCHY IN THE UK featuring YUKARI FRESH
  4. ATTACK FOR THE NEXT GENERATION(REVOLUTION REQUIRED)
DISC 3「YOUR COLOR」
  1. GET IN LINE
  2. YOUR COLOR
  1. SEVENZERO
  2. GETDOWNONIT
DISC 4「SWEAR」
  1. SWEAR
  2. CHAIN REACTION
  1. DISTANCE
DISC 5「MASTER LOW 3」
  1. LOW-D
  2. A.F.U.
  3. So Easy
  4. Ticket To Nowhere
  5. Miracle
  1. #6(Keep It Shine)
  2. Game
  3. Misunderstand
  4. No Reasons
  5. Doo-Be-Doo-Bah