会うたびに「バカになれ!」って言ってくれて
LOW IQ 01 それにしても、ハスキンはこれが9枚目のアルバムなんだねえ。早くドラム探せば?
磯部 そうそう、そうなんですよ。早く見つけたいですね。そうなればちゃんとバンドになるなあと。
──ドラムがサポートメンバーという状態にもかかわらず、活動の手をゆるめないですよね。
LOW IQ 01 とは言え、俺が言うのもなんだけど、この人は(2005年3月に)ハスキンを一度解散したあと、けっこう長いこと休んでたから。で、さっきも話したけど、その頃に俺が注意したんだよ。「お前、バンドやってねえんだから部屋の電気消せ!」って。俺、本当に心配だったのよ。ハスキンが解散して、ソロも何もやってなくて、それなのに広い家に住んで電気も消してねえからさあ。
磯部 本当にねえ。
LOW IQ 01 だから「早くバンドやりなよ」って思った。
磯部 今となってはめっちゃありがたいです。あの頃は若かったのもあるし、「解散してしまったなあ」と1人で悶々としてたんですよ。そんな時期に、市川くんは会うたびに「バカになれ!」って言ってくれて。
LOW IQ 01 猪木か、俺は!(笑)
磯部 そう、猪木さんばりに本気で「バカになれ!」って。なのにそのときは「バカにはなれん!」って思ってたし、「バカってなんだ?」って考え込んじゃうぐらい、何も判断ができない状態で。でも、あのときにそんなことを言ってくれたのは市川くんぐらいだったからありがたかったです。
LOW IQ 01 「まずは行動でしょ!」って思ったんだよね。それができないから考え込んじゃったんだろうけど。あと、リーダーがどれだけ大変なことなのか俺もわかるからこそ、止まっちゃダメだと思った。バンドの解散と同時にソロをやる人もいるし、イッソンにもどんどん次に向かってほしかったんだよね。まあ、当時はそのやり方がわかんなかったんだろうね。俗に言う、「壁にぶち当たってる」状態で。でも、今は逆に活動のペースが速すぎる!(笑)
──2016年12月にフルアルバム「Suolo」、2017年7月にミニアルバム「Stay In Touch」をリリースして、今回のフルアルバム「Lacrima」ですからね。
LOW IQ 01 なんなんだ、あの空白の時間と今の追い込みの時間の差は!(笑)
磯部 まあ、これを機に少しはペースを落としてもいいかな。
LOW IQ 01 あとハスキンが解散してた時期に、俺は思ってたんだよね。イッソンは昔の曲を捨てられないだろうなって。やっぱり、難しいことを考えて作った音楽は、バカのときに作ったものには勝てないから。「バカになれ」っていうのはそういうことだったんだよね。でもイッソンは今、HUSKING BEEというものを取り戻せてるんじゃないかな。
磯部 今回のアルバムを作ってるとき、「あのときと似てる」っていう感覚があって。「あのとき」っていうのは、「FOUR COLOR PROBLEM」(2000年10月リリースの3rdアルバム)から平林(一哉)が入って4人編成になったあとのことで。平林が加入することになったとき、「なんで4人になるの? 3人でいいじゃん。4人になったらダメだろうな」ってみんなに言われてたんだけど、「FOUR COLOR~」を出してからは「へえー。なんか、やりたいことがわかった」って言ってもらえたんですよ。そのあとに作ったのが「The steady-state theory」(2002年9月リリースの4thアルバム)で、あのアルバムを作ってた頃の感覚が今とすごく似てるんですよ。あの頃と同じように、今回もああでもないこうでもないって言いながら作って、それが楽しかったんですね。
──しかも、すぐに次作の曲作りに進めそうなぐらいの勢いをこのアルバムからは感じます。
磯部 実際、今回は曲が余ったんですよ。それがすごいなあと思って。実際はどうなるかわからないけど、「次はこういう曲ができるかもな」っていう感覚はおぼろげながらすでにありますね。
12年かかってやっとわかってくれたか!
──イチさんは今のハスキンをどう見てますか?
LOW IQ 01 まず、昔のオリジナルな形に戻ってきたなっていう感じがある。あとはまあ、正直に言うと、こんなにハイペースでやらないほうがいいんじゃないかなって思ってる(笑)。すぐに曲を出すよりも、最後のひと磨きって感じでもっと曲を詰めてもいいのかなって。歳を取ってくるとお互いのことがわかりすぎちゃって、メンバー間でも言うべきことを言わなくなっちゃうと思うけど、熟年夫婦じゃないんだからさ!(笑) せっかく元の3人に戻ったんだから、もっとバンド内で大暴れしてもいいんじゃないかな。
磯部 うわあ、それはホントよくわかる。
LOW IQ 01 リフとかを聴くと誰がその曲を書いたかってすぐにわかるんだよ。そうじゃなくて、それぞれのクセをもっと中和していけばいいと思うんだよね。
磯部 言わせてもらいますけど、クセが強いのは市川くんもですよ?(笑)
LOW IQ 01 まあまあまあ! 俺は1人で曲を作ってるから自分のクセが強い。でもハスキンはバンドなんだし。ハスキンは3人の不格好な感じがいいんだよ。キレイにまとめようとしちゃダメなんだよ。だって、このジャケット見てよ、不格好でしょう?(笑)
磯部 僕らは何やってもカッコよくは写らないですからね(笑)。
LOW IQ 01 今はいいアプリがあるじゃない!(笑)
──いきなりメンバーがスマートな姿になってたらびっくりしますけどね。
磯部 シュッとした服装してどこ行くの?ってね(笑)。……でも、「キレイにまとめようとしちゃダメ」っていうのはめっちゃ参考になります。頭ではわかってることなんだけど、今はそれができずにいる状態で。
LOW IQ 01 ミュージシャンなんて誰でもそうだと思うよ。特にリーダーっていうのは頑固だし。俺が言うのもなんだけど、イッソンも頑固だなって思うもん。だからこそ、ここまでやってこれてる部分もあるんだろうね。俺たちは昭和の映画監督と同じなんじゃない? 「そんな1mmのズレ、誰が気付く?」っていうようなところにこだわってる。「そんなのPCで修正したら済むことなんだよ」って言われても、その1mmを大事にしていきたいよね。それぐらい強い意志を持たないと自分に負けてしまうから。でも、強い意志と頑固さって紙一重だから、頭はもうちょっと柔らかくしていきたいね。
──そういう部分で言うと、ハスキンはけっこう柔らかくなってきてると思いますが。
磯部 ホント、やっとバカになれてきてるんじゃないかと思う。
LOW IQ 01 12年かかってやっとわかってくれたか!
磯部 昔は1人で苦しんでたけど、最近になっていろんなものをようやく取っ払えてきたって感じですね。
LOW IQ 01 今回のタイトルはイタリア語で「涙」って意味だけど、昔のイッソンなら「スマイル」って付けてたと思うんだよ。そこをあえて「涙」にしたのがいいよね。涙を流さないと笑えないから。
磯部 そうそう、本当は「Enjoy」にしようとかと思ってたんですよ。だけど、「Enjoy」ばかりでもないなと思って。
LOW IQ 01 もしそのタイトルだったとしたら、ちょっとイージーだよね。
磯部 そう。だからもっと何かないかなあって考えて、このタイトルにした。
──イチさんはイッソンさんのことをよく見てますね。
LOW IQ 01 いやあ、ただのおせっかいおじさんですよ。今では数少なくなったけど、昔よくいたでしょ? 朝からステテコ1枚で近所にずーっと立ってたおじさん(笑)。
磯部 いろんなことをたくさん知っててね。そういうおじさんが実はありがたい存在で。だから、市川くんもいなくなったら困ります。
- HUSKING BEE「Lacrima」 2018年6月6日発売 / CROWN STONES
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[CD]
2700円 / CRCP-40555
- 収録曲
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- #1
- Wake You Up
- Enjoy
- Gonna Sing You My Love Song
- Hints Of Disillusion
- Hold Me Back
- 夜と霧のなかで
- とりどりなうみ
- Bikeage(Descendents Cover)
- In Passing
- Living Life
- Ring Sizer
- アユミヨレ
- LOW IQ 01「Shine」
- 2018年5月18日発売 / MASTER OF MUSIC RECORDS
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[CD]
1000円 / MOM3※ライブ会場限定販売
- 収録曲
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- Shine
ほか全2曲収録
- LOW IQ 01「The Early Years Series」
- 2018年8月10日発売 / MASTER OF MUSIC RECORDS
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[CD5枚組+オリジナルフェイスタオル]
7020円 / MOM4-8
- DISC 1「MASTER LOW」
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- NEVER SHUT UP
- LITTLE GIANT
- THE BOOTS
- NO SHAME
- MUSIC MAN
- 4/5(80%)
- MASTER VOLUME
- RULES
- SUPER PRODIGY
- DISC 2「MASTER LOW 2」
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- F.A.Y.(FIGHT AGAINST YOURSELF)
- CHANCES
- TAKE A LOOK…
- Don't Stand On My Way
- STEREOSPEAKER(ORIGINAL VERSION)
- MAKIN' MAGIC
- NORM
- ANARCHY IN THE UK featuring YUKARI FRESH
- ATTACK FOR THE NEXT GENERATION(REVOLUTION REQUIRED)
- DISC 3「YOUR COLOR」
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- GET IN LINE
- YOUR COLOR
- SEVENZERO
- GETDOWNONIT
- DISC 4「SWEAR」
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- SWEAR
- CHAIN REACTION
- DISTANCE
- DISC 5「MASTER LOW 3」
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- LOW-D
- A.F.U.
- So Easy
- Ticket To Nowhere
- Miracle
- #6(Keep It Shine)
- Game
- Misunderstand
- No Reasons
- Doo-Be-Doo-Bah
- ツアー情報 HUSKING BEE「Lacrima Tour」
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2018年6月23日(土)長野県 TEPPAN kitchen PORKY
Release Party
出演者HUSKING BEE
オープニングアクト:MID COND LEER / TAKE IT ALL DJ / Gleam Blizzard / YABASHI -
2018年7月6日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
THE SUN ALSO RISES vol.54
出演者HUSKING BEE / OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
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2018年7月8日(日)東京都 下北沢SHELTER
出演者HUSKING BEE(ワンマン)
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2018年7月27日(金)福岡県 LIVE HOUSE CB
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年7月29日(日)愛媛県 西条市西条運動公園
STONE HAMMER fes 2018
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年8月18日(土)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
出演者HUSKING BEE(ワンマン)
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2018年8月19日(日)愛知県 HUCK FINN
出演者HUSKING BEE(ワンマン)
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2018年9月16日(日)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年9月17日(月・祝)京都府 LIVE HOUSE GATTACA
出演者HUSKING BEE / LOVE LOVE LOVE / 橙々
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2018年9月28日(金)宮城県 FLYING SON
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年9月29日(土)岩手県 盛岡Club Change
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年9月30日(日)福島県 Out Line
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年10月8日(月・祝)広島県 広島セカンド・クラッチ
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年10月12日(金)東京都 TSUTAYA O-WEST
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年11月3日(土)広島県 福山Cable
POPLIFE presents RADIO WAVE Vol.130
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年11月4日(日)愛媛県 Double-u studio
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年11月17日(土)鹿児島県 SR HALL
出演者HUSKING BEE / BACKSKiD
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2018年11月18日(日)大分県 club SPOT
出演者HUSKING BEE / BACKSKiD
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2018年11月23日(金・祝)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
出演者HUSKING BEE / and more
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2018年11月24日(土)石川県 金沢GOLD CREEK
出演者HUSKING BEE / and more
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- そのほかHUSKING BEE出演公演
- HUSKING BEE(ハスキングビー)
- 磯部正文(G, Vo)、平林一哉(G, Vo)、工藤哲也(B, Cho)による3人組バンド。1994年7月結成。1996年12月に横山健プロデュースで発表した1stアルバム「GRIP」が話題を集め、一躍メロディックパンクシーンを牽引する存在になった。フェス出演や海外リリースなどを行いつつ計5枚のアルバムを発表するが、2005年3月に解散。2012年2月に行われたイベント「DEVILOCK NIGHT FINAL」のステージで再結成を果たし、同年9月の「AIR JAM 2012」にて本格的な活動再開を宣言した。2013年2月に9年ぶりのオリジナルアルバム「SOMA」をリリース。バンドを離脱していた工藤哲也が2016年4月に再加入し、オリジナルメンバーの3人で同年12月にアルバム「Suolo」を発表した。2017年7月にミニアルバム「Stay In Touch」、2018年6月にニューアルバム「Lacrima」をリリースした。
- LOW IQ 01(ロウアイキューイチ)
- 十代の頃から数々のバンドでベース、ボーカルなどを担当。アポロスのSax奏者、會田茂一(EL-MALO、FOE、ATHENS)とのアクロバットパンチを経て、1994年にパンクロックバンドSUPER STUPIDを結成する。1996年にアルバム「WHAT A HELL'S GOING ON」でメジャーデビューを果たし、精力的な活動を展開した。1999年にSUPER STUPIDが活動休止すると同時に、ソロ活動を開始。2007年1月発売のミニアルバム「THAT'S THE WAY IT IS」で、ソロ名義でもメジャーデビューした。2009年にはソロ活動10周年を記念し、彼の名曲をさまざまな世代のアーティストがカバーしたトリビュートアルバム「HELLO ! LOW IQ 01」が発売され、2010年には自身の愛する名曲カバーをコンパイルしたアルバム「MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01」もリリースされた。2014年にソロ活動15周年を記念し、アルバム「Yes,LOW IQ 01」を発表。2016年には自主レーベル「MASTER OF MUSIC」を立ち上げ、LOW IQ 01、渡邊忍(G, Cho / ASPARAGUS)、福田"TDC"忠章(Dr / FRONTIER BACKYARD、SCAFULL KING)、日向秀和(B / ストレイテナー、Nothing's Carved In Stone)からなるLOW IQ 01 & MIGHTY BEAT MAKERSとしてミニアルバム「THE BOP」をリリース。2017年には、細美武士(the HIATUS、MONOEYES)、TOSHI-LOW(BRAHMAN、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)、Tokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)をゲストに迎えたフルアルバム「Stories Noticed」を発表した。2018年は5月から6月にかけて、フルカワユタカ(G)、山崎聖之(Dr / fam、THE FIREWOOD PROJECT)をメンバーに迎えてLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSのツアーを行っている。2019年にはソロ活動20周年を迎える。