ナタリー PowerPush - HKR

肉食女子のシンデレラストーリー

地道なストリートライブや数々の対バンライブで実力を磨き、1stシングル「キラリヒカリ / will」を配信リリースしたシンガーソングライターのHKR(ヒカリ)。彼女の魅力は透明感のある歌声と、恋に積極的な女の子の気持ちをストレートに描いた歌詞にある。自らを“肉食女子”だと語る彼女の歌は、同じようなスタイルの女子から大いに共感を集めそうだ。

ナタリー初登場の今回は、HKRの音楽プロフィールを探るとともに“肉食”な恋愛観や過去の過激な恋のエピソードを直撃。気持ちいいくらいオープンに自らの考えや体験を語ってくれた彼女のポジティブなキャラクターをテキストから感じとってもらいたい。

取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 笹森健一

「ドリームガールズ」のシンデレラストーリーに憧れた

──小さい頃から歌手に憧れていたんですか?

HKR

歌うことはずっと好きでしたね。小学校の帰り道に即興の歌を口ずさんだり、SPEEDに憧れて歌やダンスを真似したりしてました。ただその当時は単に「歌って楽しいな」くらいの漠然とした感じだったんです。それから高校生のときに失恋して、ずっと泣いてたところをある歌に励まされて。「歌ってすごいな。私もこんな歌を歌えるようになりたい」って思ったのが歌手を目指した大きなきっかけでしたね。

──HKRさんを励ました曲とは?

HYさんの「Song for…」です。会えなくなった彼への「会いたい」って気持ちをその歌に重ねて聴いてました。失恋ソングにもいろいろありますけど、この曲は誰のどんな状況にも当てはまるような歌詞で、それってなかなかないことなんじゃないかと思って。そこから「誰にでも共感してもらえるような歌を歌いたい」という気持ちが強くなりました。

──それがきっかけだったんですね。

あと私、映画の「ドリームガールズ」にも影響を受けてて。主人公たちが歌手を夢見て進んでいく姿に自分を重ねて「自分もこういうシンデレラストーリーをつかみたい!」って思ってました。ちょっと恥ずかしいですけど(笑)。

──なるほど。で、実際その思いを初めて行動に移したのは?

高2のときですね。初めてオーディションを受けたんです。なんとなくの腕試し的な気持ちもあったんですけど、ラッキーなことにファイナリストまで残ることができて。それをきっかけに事務所への所属が決まり、音楽活動を本格的に始めることになったんです。

──最初のオーディションでそこまでのチャンスをつかめたのはすごいですね。腕試し的な気持ちもあったということですが、事務所に所属する決意はすぐにできたんですか?

はい。昔から好奇心旺盛なので、すぐ「やってみたい!」って思って。私、普段から「やらない後悔よりやった後悔のほうがいい」って思うタイプなんです。

ストリートで学んだ「感謝」の気持ち

──事務所に入ってからはどんな活動を?

秋葉原でストリートライブをやったり、そこでCDを手売りしたりしていました。事務所が用意したオリジナル曲のオケを流しながら自分が書いた歌詞をハンドマイクで歌ってましたね。

──じゃあ、人生で初めて歌詞を書いたのはそのとき?

本格的な歌詞を初めて書いたのはそのときだったと思います。小さい頃はずっと鼻歌で適当に歌ってただけなんで(笑)。

HKR

──ストリートライブを経て得たものや感じたことってなんでしたか?

最初は恥ずかしかったんですけど、何度も歌っていくうちに声量が上がったと思うし、度胸もつきましたね。あと……ストリートをやってなかったら、私はもうちょっと生意気になっていたかもしれません。

──生意気に、というのは?

ストリートが出発点だったことで、ライブハウスにお金を払って観に来てくれる人への感謝の気持ちが生まれたんです。言ってみればストリートって聴くのはタダじゃないですか。でもみんなライブハウスのほうにもわざわざチケットを買って来てくれるんだなあって。

──わざわざチケットを買って来てくれることもそうですけど、聴いてくれることが当たり前じゃないっていう謙虚な気持ちも生まれそうですよね。

本当にその通りで。ストリートは当たり前のように素通りされるし、なんなら私は空気のような存在(笑)。最初は嫌でしたけど、だんだん開き直って「聴いてもらえなくても、お金もらってるわけじゃないから好きにやっていいやー」とか思ってました(笑)。

──注目を引くために工夫したことってありましたか?

手作りのフライヤーを配ったり、前に看板を置いたり。看板に「今日の一言」を添えたら、それにツッコんでくれる人もいましたよ(笑)。あとは私、鬼束ちひろさんの「月光」のカバーというかモノマネが得意で。それを歌ったらワーって人が集まってくるんですよ。「似てる! あ、でも違った……」みたいにすぐ去っていく人もいるんですけど(笑)。人集めには効果的でしたね。

配信シングル「キラリヒカリ / will」 / 2014年3月19日配信開始 / 500円
「キラリヒカリ / will」
下記サイトにて配信中!
iTunes Store
music.jp
dwango
ミュウモ
レコチョク
収録曲
  1. キラリヒカリ
  2. will
HKR(ヒカリ)
HKR

2007年に開催されたオーディションで6325人の中からファイナリストに選ばれ、学生の頃より都内のストリートやライブハウスで数々のライブを行ってきたシンガー。独自の感性による「積極的な女の子の恋愛」「肉食女子」をテーマにすべての曲の歌詞を制作する。2014年3月19日にアニメ「頭文字D Fifth Stage」挿入歌「CODE:D」など発表している雑食系EDMアーティスト・IGODAのプロデュースによる1stデジタルシングル「キラリヒカリ / will」をリリースした。