ナタリー PowerPush - 平野綾
音楽活動第2章の幕開け!「FRAGMENTS」全曲解説
「FRAGMENTS」全曲解説
──ここからはアルバムの1曲1曲について、じっくりお訊きします。今作は曲ごとに異なるクリエイターとコラボレーションした作品で、“COLLECTIVE ALBUM”と銘打たれているとおり、まさに個性もバラバラな楽曲が集まったアルバムになっていますね。曲のテイストに関しては丸投げとおっしゃってましたが、参加アーティストの人選については?
人選は全部、アートワークを担当してくださったクリエイティブチーム「ANSWR」さんのアイデアなんですよ。
──ANSWRはデザインのみならず、コンセプト面まで含めてトータルで担当されてるんですね。
そうなんです。最初に上がってきた曲が「スターゲイズ・ラブ」で、その次が「PizzzzzzzA!!!!!!!」。スタッフさんとか、ANSWRさんですら初めは「……このアルバム、大丈夫か?」みたいな話になってたみたいで(笑)。確かに今までのイメージがあって、次の一手がこの2曲だったらびっくりするかもしれませんけど(笑)、私はわりと楽観視していて。大丈夫でしょっていう変な自信があって、いざ完成したアルバムを聴いてみたら、予期してないところでうまくまとまったなーと。最後は「やっぱ正解だったんだな」って話してました。
01. DIFFUSION(To the Other Side)[作詞・作曲・編曲:kz(livetune)]
──まずはアルバムの冒頭を飾るこの曲から。
実はこの曲、アルバム制作の中で最後の最後にできた曲なんですよ。ちょうどご自身のアルバム制作時期とドッかぶりで。ホントにお忙しい中で作ってくださったんです。
──制作順序としては最後ながら、まさにアルバムのオープニングナンバーにふさわしいサウンドですよね。
デモを聴いた段階で「これほど1曲目にふさわしい曲はない!」と思って。ここから何かがスタートするような、朝日が昇ってくるようなイメージで歌詞をお願いしました。
02. 無防備なリフレイン[作詞・作曲・編曲:矢野博康]
──力強いピアノロックながら、女の子らしい優しさもある、平野さんの音楽に意外となかったタイプの楽曲ですね。
矢野さんの楽曲の特徴である少女性というか、あどけない年齢から少し大人に差しかかった時期の少女っぽさは、今までの私の作品にはなかったんです。ずっと歌ってみたかった世界だったので、この曲をいただいたときはうれしかったですね。矢野さんはこの曲を完成させたとき「今まで作った曲の中で、ひょっとしたら一番思いどおりに行ったかもしれない」とおっしゃっていて。作家さんが満足できるものを作ることはすごく大事だと思うので、それを聞いたときは安心しました。
──個人的な好みを言うと、僕はこの曲が一番好きです。
ああ、うれしいです。私も「おすすめはどれですか?」って訊かれると、この曲を挙げますね。私の中では勝手に、ポスト「冒険でしょでしょ?」だと思ってるんですよ。カテゴリとしては一緒なんだけど、また全然違う味があって。両方の曲をやんないと成立しないなって思ってます。
03. FRAGMENTS[作詞:平野綾 / 作曲・編曲:fu_mou]
──この曲は作詞も唯一平野さん自身ですし、アルバムのタイトル曲でもあるから、少しほかの曲とは立ち位置が違うのかなと思ったのですが。
元々は全然違う歌詞が当てられてたんですけど、私が初めに曲を聴いたときの印象と全く違っていたんです。それで話し合っていくうちに「ちょっと書かせてもらってもいいですか」っていう流れになって。この曲が一番今までの流れを継承している曲かなと思ったんです。これまでの私をそのまま進化させてくれた感じがしたので、全部の曲をまとめる意味でも重要な曲だなって。
──元々アルバムのコンセプトと言える「FRAGMENTS」というワードがあって、それをストレートに表現したのがこの歌詞ということでしょうか。
そうですね。いろんな曲が散りばめられている感覚を、ガラスの破片みたいな自分のかけらが粉々に散っている様子とリンクさせて、「自分のかけらを探す旅に出よう」というテーマで書きました。
04. PizzzzzzzA!!!!!!![作詞・作曲・編曲:前山田健一]
──そして問題の「PizzzzzzzA!!!!!!!」です。先日ラジオで前山田さんと共演されていたのを聴きましたが、すっかり意気投合されているようで。
そうなんですよ。ヒャダインさんとは初めて会った気がしなくて。以前からキャラソンでご一緒させていただいたりはしたんですけど、お会いするのは今回が初めてで。すごいすごいとは聞いていたんですが、実際会ってみたらホントにオーラが異質なんですよね。意気投合していいのかなって気持ちも若干あったんですけど(笑)。この曲は……やわらかく言うと「ソフトにクレイジーな曲」という発注だったんですが(笑)、それを見事に表現してくださって。あれはホントにヒャダインさんにしかできない曲だなと。
──確かにかなりのバカ曲ではありますが(笑)、前山田さんは平野さんの歌のポテンシャルを高く評価しているからこそ、無茶な要素も多く入れたとラジオでもおっしゃってましたね。
そう言われたら期待に応えないわけにはいかないので(笑)、すっごいがんばりました。レコーディングでは、ヒャダインさんがヒザ抱えて爆笑してるのがこっちからも見えていて「大丈夫かなあ?」と思いながら歌ってました(笑)。そんなに喜んでいただけたなら、いろいろやった甲斐もあったなと。
──彼はどんな場面でも“陽”の部分しか見せない、不思議なパワーがありますよね。きっと見えないところで暗い影もあるとは思うんですけど。
多分すごく根は暗いと思うんです。だからこそ私も意気投合できるというか。マイナスの言葉も彼が口に出すとプラスに転化されるみたいな、そこがヒャダインさんの魅力ですね。みんなを幸せにしてくれるんですよ。この曲はみんなにハッピーになってもらうためのおバカソングです(笑)。
05. LOOP[作詞・作曲:岩田アッチュ&稲寺佑紀 / 編曲:ニルギリス]
──これもまた「PizzzzzzzA!!!!!!!」とは違った方向で面白い曲ですね。
「ニルさんと言えばマッシュアップだよね」と思っていて。今回のアルバムではマッシュアップ要素を入れないっていう話もあったんですけど、やっぱりニルさんらしさを入れていただいたほうが一番良いので、この曲では「むすんでひらいて」が入りました。
──ライブですごく盛り上がりそう。
これはライブを意識して作られた曲になんですよ。実はタイトルも歌詞も2種類用意してくださっていて、これとは別に「よりライブバージョン」なタイトルと歌詞があったんです(笑)。でも「LOOP」のキャッチーさに惹かれてこっちを選びました。
ニューアルバム「FRAGMENTS」 / 2012年5月23日発売 / UNIVERSAL SIGMA
CD収録曲
- DIFFUSION(To the Other Side)
- 無防備なリフレイン
- FRAGMENTS
- PizzzzzzzA!!!!!!!
- LOOP
- BRIGHT SCORE
- Sunday
- スターゲイズ・ラブ
初回限定盤ボーナストラック
- 君を守るために僕は夢を見る
AYA HIRANO FRAGMENTS LIVE TOUR 2012
- 2012年6月16日(土)
- 静岡県 静岡Sunash
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2012年6月17日(日)
- 愛知県 名古屋E.L.L.
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2012年6月22日(金)
- 東京都 赤坂BLITZ
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2012年6月23日(土)
- 宮城県 仙台darwin
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2012年7月7日(土)
- 福岡県 福岡DRUM Be-1
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2012年7月8日(日)
- 大阪府 umeda AKASO
OPEN 16:30 / START 17:00
料金:前売 5000円(ドリンク代別)/ 赤坂BLITZ公演のみ 6000円(ドリンク代別)
※整理番号付 / 中学生未満入場不可
平野綾(ひらのあや)
1987年生まれ愛知出身の声優/歌手。1998年に児童劇団に入団し、ドラマやCMに出演。2006年に話題アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の主役・涼宮ハルヒを演じ、大ブレイクを果たす。その後も「DEATH NOTE」「らき☆すた」「NANA」といった話題作に出演し、アニメ界を代表する存在に。幼い子供から艶っぽい大人の女性の声まで、さらに少年の演技も可能とその声は変幻自在。近年はソロシンガーとしてのCDリリースなど、声を生かしさまざまなシーンで活動を展開しており、今後もさらなる飛躍が期待される気鋭のアーティストの1人である。