ナタリー PowerPush - 平野綾

音楽活動第2章の幕開け!「FRAGMENTS」全曲解説

平野綾と涼宮ハルヒ

──「思い出を振り返らない」のは、僕はどちらかというと女性的な行為だと思っていて。逆に過去を自分の中で活かし続けるのは男性的だと思うんですよ。そういう意味では……ヘンな言い方ですけど、平野さんって男っぷりがいいなと(笑)。今回のインタビューでも言葉の端々にそれを感じましたけど、思い切りのいい決断ぶりとか、頻繁に「ひとりメシ」に行くというエピソードとか(笑)、いつもサバサバして男っぽいなーと。

インタビュー写真

あははは(笑)。そうなんですよ。身近な人には言われるんですけど、お仕事の場で言われたのは初めてかも。自分の過去を振り返るのは、単純に今見て面白いんですよ。緊張しすぎてテンパッてるなーとか(笑)。思い返すとこれもためになったなーって気付くこともたくさんあるし、すごく素敵だなと思うんです。

──それにしても、密度の濃い人生ですよね。「涼宮ハルヒの憂鬱」だってほんの少し前という印象ですが、テレビ放送第1期の頃は平野さん、まだ10代ですし。

ねー。最初が2006年だから、もう6年前ですよ。ハルヒをやってた頃は忙しすぎて、正直覚えていないことがいっぱいあるんです。1年で経験したことが、人の5~10年分あったんじゃないかと思うぐらいで。

──平野さん自身にとって、今、ハルヒはどういう存在ですか?

最近は声優以外の仕事もたくさんいただけるようになって、テレビに出たりするたびに「あれ、もうアニメの人じゃなくなっちゃうのね」ってよく言われるんですけど、まーったくそんなことはなくて。今まで演じてきたキャラクターが支えてくれているからこそ今の私があるんですよ。中でもハルヒは絶対に平野綾の歴史に欠かすことのできないキャラクターで。最初に話しましたけど、それこそ音楽までハルヒと直結しているし、ホントに大事な存在です。逆に「いつまでそこにこだわってんの?」って見られ方もあるでしょうけど、「だってそこが大事なんじゃん!」って思いますね。

──おそらく平野さんには「ハルヒ」の名前が一生付いてくると思うんですね。「当たり役」を持つ人の宿命でしょうけど、そこまで1つのものに縛られてしまうことをうとましく思う気持ちも、人によってはあるんじゃないかと。平野さんとハルヒはなんというか、良好な関係ですね。

そうですね。「涼宮ハルヒの憂鬱」第1期が放送された頃、私はまだ18歳ぐらいで、そんな早いうちに自分の代表作と言える作品に出会わせていただけただけでもホントにありがたいことです。それが今や海外にまで広がるものになって。きっと誰も予測してなかったと思うんですよ。ここまで大きな作品になるなんて。その波に乗せてもらえたことは、全ての仕事をやる上での誇りにもなりますし。ハルヒとハルヒを作ってくれた皆さんに感謝したいですね。

──それはハルヒファンにとってもうれしい言葉ですね。

というか、私自身がハルヒのファンなんです(笑)。自分がハルヒ役を演じてるのに、キョン目線で観てしまうんですよね(笑)。今は映画(2010年2月公開「涼宮ハルヒの消失」)でひと区切り付いてますけど、みんなと同じように続きを楽しみにしているし、いつまでもあの子たちが存在している感じがしますね。

自己プロデュースは苦手なんです

──今回のアルバムでは、あえて他者に身を委ねることによる新たな発見があったと思いますが、今回の経験を経た次のステップについては、今の段階で何か考えていますか?

このアルバムを作りながら、実はもう次のことも一緒に考えていて。「次はこんな作品を、この流れでやれたらいいよね」って話してたことが、今もうアイデアとなってさらに膨らんだ形でみなさんから出てくるんですよ。そこは今までひとりでやってたので、いろんな方から素敵なアイデアが出してもらえるのがホントに幸せで。それに、これだけ楽しんでくれる人たちがたくさんいるのがすごくうれしい。私としては、大きく方向性を決めなきゃっていう気持ちが実はなくて。だって、こうやって一緒に楽しんで作ってるから、どっちに進んでも絶対いいものができるよねって確信があるんです。

──これまでは「自分で考える」ことを重視していたのかもしれないけど、今は一緒に作る楽しみのほうが勝っている?

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そうですね。実際は私、自分を表現する仕事のくせに自己プロデュースは苦手なんですよ。やらなきゃいけないからやってた部分が大きいので、先陣切って走ってくタイプだと思われてるかもしれないですけど(笑)。むしろ今こうやって、手を引っ張ってくれる仲間がたくさんいることがありがたいです。

──ああ、それはきっと誤解されているほうが多いと思います。そうじゃないという宣言をこの場でしてもらえただけでも、このインタビューをやった意義はあります(笑)。

あははは(笑)。いやホント、私O型ですし(笑)、家では超のんびりしてますし、テキパキするのは仕事だとスイッチ入れてやれるんですけど、ホントは超のんびり人間なので。

──それってやっぱりハルヒの印象からくる誤解なんでしょうか。

だと思います。ハルヒとは似てる部分もありますけど、一番真逆なのはそこなんですよ。彼女みたいにみんなを引っ張っていけない。うらやましいなーと思いながら演じてました。

ツアーに向けて

──アルバムリリース後にはツアーが控えていますが、準備は順調に進んでいますか?

セットリストも何パターンかは決まったんですけど、リハがなかなかできなくて超心配です(笑)。

──今作は生あり打ち込みありですけど、演奏はどのように?

新曲についてはなるべく世界観を壊さないよう忠実に再現しつつ、やっぱりライブならではの要素はちょいちょい入れていきたいですね。

──ちなみに、過去の曲はこのツアーでも歌うのでしょうか。

今までの曲もたくさんやります。やっぱり結構「今までの曲はもう歌わないのかな」って心配されるんですけど、全然そんなことなくて。ツアーでは新曲とのバランスも考えて選びつつ、新しい姿をお見せできるよう考えています。

──第2章でどんな姿を見せてくれるのか、ファンのハードルはすごく高く設定されてると思います(笑)。

そうですねー(笑)。がんばらないと。あと、今までのツアーでは東名阪と神奈川だけだったんですけど、今回は初めての仙台、福岡、静岡があって、さらに韓国もきまったので、どんなライブになるか楽しみですね。

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CD収録曲
  1. DIFFUSION(To the Other Side)
  2. 無防備なリフレイン
  3. FRAGMENTS
  4. PizzzzzzzA!!!!!!!
  5. LOOP
  6. BRIGHT SCORE
  7. Sunday
  8. スターゲイズ・ラブ
初回限定盤ボーナストラック
  1. 君を守るために僕は夢を見る
AYA HIRANO FRAGMENTS LIVE TOUR 2012
2012年6月16日(土)
静岡県 静岡Sunash
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年6月17日(日)
愛知県 名古屋E.L.L.
OPEN 16:30 / START 17:00
2012年6月22日(金)
東京都 赤坂BLITZ
OPEN 18:00 / START 19:00
2012年6月23日(土)
宮城県 仙台darwin
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年7月7日(土)
福岡県 福岡DRUM Be-1
OPEN 17:30 / START 18:00
2012年7月8日(日)
大阪府 umeda AKASO
OPEN 16:30 / START 17:00

料金:前売 5000円(ドリンク代別)/ 赤坂BLITZ公演のみ 6000円(ドリンク代別)
※整理番号付 / 中学生未満入場不可

平野綾(ひらのあや)

1987年生まれ愛知出身の声優/歌手。1998年に児童劇団に入団し、ドラマやCMに出演。2006年に話題アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の主役・涼宮ハルヒを演じ、大ブレイクを果たす。その後も「DEATH NOTE」「らき☆すた」「NANA」といった話題作に出演し、アニメ界を代表する存在に。幼い子供から艶っぽい大人の女性の声まで、さらに少年の演技も可能とその声は変幻自在。近年はソロシンガーとしてのCDリリースなど、声を生かしさまざまなシーンで活動を展開しており、今後もさらなる飛躍が期待される気鋭のアーティストの1人である。