ナタリー PowerPush - 平野綾
音楽活動第2章の幕開け!「FRAGMENTS」全曲解説
平野綾のユニバーサルシグマ移籍第1弾アルバム「FRAGMENTS」がリリースされた。各楽曲ごとに異なるサウンドクリエイターを配し、さまざまなサウンドにチャレンジした本作。「FRAGMENTS=かけら」のタイトルどおり、色とりどりな音のかけらを集めて作られた、平野の音楽活動における“第2章”の幕開けにふさわしい作品となった。
ナタリーではアルバム完成を記念して、平野にロングインタビューを敢行。今回のプロジェクトが始動した経緯や、音楽活動への情熱、声優としての代表作と言える「涼宮ハルヒの憂鬱」への思いなどについて幅広く訊いた。また、アルバム「FRAGMENTS」の収録曲についても、本人に1曲ずつじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 インタビュー撮影 / 井出眞諭
早くみんなに安心を届けたかった
──今回のアルバムに関する第一報が出た後、テレビやラジオ、ブログやTwitterなどで平野さんの様子を追っていると、なんだか毎日楽しそうですよね。
はい(笑)。やっぱり歌を歌うって楽しいなーって。私はまだまだ未熟なところも多いんですけど、アルバムを出す発表をしたら喜んでくださる方がホントに多くて。協力してくださる方もたくさんいて、感謝の気持ちでいっぱいです。歌でできることは全部伝えたいし、皆さんの力になるのであれば歌っていきたいなって。
──平野さんは声優を軸としながらも音楽活動にも積極的だったし、歌っているときはすごく楽しそうに見えてたんですね。だからここ最近、音楽の仕事がストップしていたのがファンにとっては非常に残念だったんじゃないかと。でもこうして、アルバムの情報や最新のビジュアルがオフィシャルサイト上で徐々に明されて、ついにリリースということで、ご本人としても感慨深いものがあるのではないでしょうか。
そうですね。だいぶ寝かせてたので(笑)。プロジェクト自体は結構前から動いてたんですよ。だからホント、早く言いたくて仕方なかった。去年は日本的にも世界的にもそうだと思うんですけど、私自身にとっても激動の1年で。早くみんなに安心を届けたかったからノドまで出かかって超言いたかったんですけど、全部揃ったタイミングで一気にお伝えできたのはそれはそれで気持ちよくて、スッキリしました。
──シングルや配信ではなく、最初からアルバムをリリースする予定だったんですか?
実はギリギリまで「シングルで行こう」って話もあったんですよ。でも、これだけ長い間待ってくれている方にシングルサイズじゃ申し訳ないと思って。ほかの仕事がすごく忙しくなってきた時期だったから、10何曲も入ったフルアルバムはむずかしいとしても、自分の方向性が示せるミニアルバムならいけるかもしれない。そういう話から、どうにか今回のアルバムにたどり着きました。今の私を提示しつつも、それが決めつけにならないように。ここからどうなるんだろうという余地を皆さんに持っていただきつつ、自分らしさが出せたらいいなって。
皆さんから見た“平野綾像”を作ってもらいたくて
──今回のレーベル移籍&アルバムリリースを“第2期”のスタートとするならば、第1期はライブを重ねることで徐々にロック的なスタイルを確立した時期という印象がありました。そして第2期ではどんな方向性を示してくれるのかなと興味を持っていたのですが、今作は全曲それぞれ異なるアプローチという大胆な仕上がりになりましたね。
ロックに近付いていった経緯は、やっぱり「涼宮ハルヒの憂鬱」が大きいんですよ。ハルヒあってこそなんです。ハルヒの劇中で歌った「God knows...」と「Lost my music」が、あのスタイルに結び付いてるんですよね。ただ、私がロックをそのままやるのは違うし、もっとジャンルの幅を広げたくて。ライブでいろんな展開ができるようになったら、ようやく次のステージに進めるのかなと思ってました。今回はとにかく「今までと同じことは絶対にやっちゃいけないな」と考えていて。
──基本的に「こういう音楽をやりたい」というアイデアは、平野さん自身が提案するんですか?
はい。でも今まで私が提案してきたものは、ある意味すごく流れに沿ったものだったんですよ。アニメを観てくださってる方やファンの方はこういうふうに望んでいるだろうな、というのを自分なりにやってきたものだったから。だから今回はあえて私から提案するんじゃなく、作家さんたちから「今こういうものを平野綾にやってほしい」というのを募集してみたんです。皆さんから見た“平野綾像”を作ってもらいたくて。
──なるほど。楽曲については今回、ある意味完全に丸投げで?
そうです。ホントに。丸投げって無責任に思われるかもしれないけど、私はそうは思っていなくて。完全に任せていられる関係だからこそできたことなので、今回はイチかバチか、全てを作家さんに委ねてみました。
──結論から言うと、大成功だったんじゃないでしょうか。
ですね。事務所とレーベルを移籍して1発目でそれができるって、ホントに幸せなことだなって思います。
ニューアルバム「FRAGMENTS」 / 2012年5月23日発売 / UNIVERSAL SIGMA
CD収録曲
- DIFFUSION(To the Other Side)
- 無防備なリフレイン
- FRAGMENTS
- PizzzzzzzA!!!!!!!
- LOOP
- BRIGHT SCORE
- Sunday
- スターゲイズ・ラブ
初回限定盤ボーナストラック
- 君を守るために僕は夢を見る
AYA HIRANO FRAGMENTS LIVE TOUR 2012
- 2012年6月16日(土)
- 静岡県 静岡Sunash
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2012年6月17日(日)
- 愛知県 名古屋E.L.L.
OPEN 16:30 / START 17:00 - 2012年6月22日(金)
- 東京都 赤坂BLITZ
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2012年6月23日(土)
- 宮城県 仙台darwin
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2012年7月7日(土)
- 福岡県 福岡DRUM Be-1
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2012年7月8日(日)
- 大阪府 umeda AKASO
OPEN 16:30 / START 17:00
料金:前売 5000円(ドリンク代別)/ 赤坂BLITZ公演のみ 6000円(ドリンク代別)
※整理番号付 / 中学生未満入場不可
平野綾(ひらのあや)
1987年生まれ愛知出身の声優/歌手。1998年に児童劇団に入団し、ドラマやCMに出演。2006年に話題アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の主役・涼宮ハルヒを演じ、大ブレイクを果たす。その後も「DEATH NOTE」「らき☆すた」「NANA」といった話題作に出演し、アニメ界を代表する存在に。幼い子供から艶っぽい大人の女性の声まで、さらに少年の演技も可能とその声は変幻自在。近年はソロシンガーとしてのCDリリースなど、声を生かしさまざまなシーンで活動を展開しており、今後もさらなる飛躍が期待される気鋭のアーティストの1人である。