日向坂46 上村ひなの×宮地すみれインタビュー|初の選抜制導入、11thシングルが放つフレッシュな変化 (2/3)

正源司センターで表現できることに大きな意味がある

──「君はハニーデュー」は明るくて爽快で、非常に日向坂46らしい楽曲だなと思いました。お二人はこの曲をどのように感じていますか?

上村 日向坂46の初期の楽曲は「キュン」だったり「ドレミソラシド」だったり、とてもキャッチーでかわいらしい印象の曲が多くて、それが日向坂46というグループの印象にもなっていたと思うんですけど、ここにきて「君はハニーデュー」はそういう初期の曲に近い雰囲気というか。

──パブリックイメージの日向坂46を感じさせる、原点回帰とも言えるような。

上村 はい。それを四期生の正源司がセンターになって表現できることに、大きな意味があるなあと。歌詞の要所要所に気になるフレーズがあって、例えば1番のサビの前の「マジなんだよ」とか、2番でフルーツの名前を連呼したりとか。ちょっと引っかかりがあって耳に残る曲だなという印象です。振付も今回は楽しく明るくというイメージで付けていただいていて。パフォーマンスをしている私たちも楽しいですし、聴いてくださる皆さんにもその楽しさが伝わったらいいなと思っています。

宮地 「君はハニーデュー」というタイトルを最初に聞いたときは、「君はハニー。うんうん。……デュー?」みたいな(笑)。「ドレミソラシド」も「ドレミ……ソラシド? 何それ?」って気になる要素があったじゃないですか。この曲も入り口を含めて気になるところがたくさんあって、「えっ? メロンのことを歌った曲だったの?」って驚く方もいると思いますけど(笑)、イントロもすごくかわいらしいし、サビにはピューンという音や「イエーイ!」という掛け声が入っていたりして。ピースをする振付は陽子がよくやるギャルピースがモチーフになっているんですよ。明るいイメージがギュッと詰まっていて、かつかわいいんだけど面白い。それが皆さんの想像する日向坂46のイメージと合っているんじゃないかなと思います。

──MVは学校がモチーフになっていて、四期生も加わったフレッシュ感を表現したようなさわやかさがありますね。

宮地 MVは陽子が新しい世界を知っていくというテーマがあって。制服姿が青春っぽくていいなと思いますし、鏡を使ったトリックのような映像とか、制作チームの皆さんがいろんな技を駆使してくださっていて見どころが多いです。私はラストの屋上のシーンが大好きで。これは「期待していない自分」(2018年6月に発売された、けやき坂46時代のアルバム「走り出す瞬間」収録曲)のMVと同じ屋上で撮影しているんです。歴史を積み重ねて今の日向坂46があるんだよ、というのがMVで明るくハッピーに伝えられるのがうれしいです。最後のアベンジャーズみたいなシーンも(笑)、青空いっぱい、ハッピーオーラいっぱいな感じが「うわーこれ日向坂46だなー」って。

上村 四期生だけのダンスシーンがあるんですけど、ちゃんと1人ひとりにスポットライトが当たっていて、本当に1人ひとり個性があって。四期生11人を代表しての5人ですけど、1年間地道にやってきたことが伝わってきますし、「君はハニーデュー」という曲を的確にフレッシュに表現していると思います。

宮地 歴代のセンターの方がポーズを決めて前に出てくるところも大好きで。今までのファンの方にも楽しんでもらいたいですし、新しく私たちのことを知ってくださった方にも「あれはこの曲の振付だったんだ」とあとで発見して楽しんでほしいです。

気迫や勢いが伝わるアンダー曲「錆つかない剣を持て!」

──アンダーメンバー・ひなた坂46によるカップリング曲「錆つかない剣を持て!」は明るくキャッチーな表題曲とは違って、カッコよく聴かせる曲ですよね。上村さんと同期である三期メンバーの髙橋未来虹さんがセンターで、カンフー映画風のMVではクールに殺陣を決めています。

上村 MVは最初に同じ三期の山口陽世と一緒に観たんですけど、しなやかなダンスだったり歌声だったり、未来虹のよさが全部出ている曲だなと思いました。メンバーみんな普段一緒にいるときのふんわりした感じとはまた違う雰囲気で殺陣の姿を見せていて、カッコよさも美しさも出ているなって。

──選抜メンバーは表題曲を歌える喜びがあると思いますけど、なんだったら選抜メンバーの中にも「この曲に参加したかった!」と思う人もいるのではないかと。

宮地 いやー、確かに。妖艶な感じが表題曲とは真逆だけど、日向坂46だからこそ出せる色だなと思っていて。「かわいいだけじゃないんだよ」というのを、ひなた坂のみんなが表現してくれています。四期は今までの期別の曲だとかわいいポップな曲が多かったので、この曲でカッコいい同期の姿を見ていると不思議な気持ちになります。殺陣のアクションも、忙しい中で練習している姿を見ていたので、完成したMVを観たときは感動しましたし、気迫や勢いが伝わってきました。大好きな曲なので、ホントに私もパフォーマンスしたかったです。

──選抜とアンダー、というより2つのユニットに分かれたような印象もあります。

上村 ホントにそうですね。衣装も今までになかった感じだし、いいなあって思います。

上村ひなの

上村ひなの

宮地すみれ

宮地すみれ

カップリング曲にも変化が

──カップリング曲はこれまで期別の楽曲が収められることが恒例でしたが、今作では期をまたいだ4人ずつのユニット曲が3曲で、期別曲は四期生のみとなっています。選抜制と並んで大きい変化ですよね。ユニットメンバーはどういう基準で選ばれたんでしょうね。

宮地 なんでしょうね?

上村 確かに、私が参加している「夜明けのスピード」は小坂菜緒さんと正源司、山下葉留花とのユニットで、一見どういう組み合わせなんだろう?という感じですけど、私が思うに、この曲のテーマにぴったり合う4人なんじゃないかなって。

──日向坂46の楽曲はどの曲も、楽曲イメージに合った人がセンターに選ばれているのかな?という印象があるので、ユニット曲のメンバーもそうやって選ばれているのかもしれないですね。それで言うと河田陽菜さん、森本茉莉さん、平尾帆夏さん、藤嶌果歩さんの「恋とあんバター」はタイトルや曲のイメージから三期生の曲だと思っていたら違いました。食べ物シリーズと言えば三期なので。

上村 そこは森本に担っていただいて(笑)。

──上村さんは「夜明けのスピード」が自分に合うと感じる?

上村 はい。「夜明けのスピード」はタイトルの通り、夜明けに聴いていると涙が出てきてしまうような楽曲で。自分自身もよく夜に悩みを抱えて暗い気持ちになってしまうことが多いんです。なので最初に曲をいただいたときは、めちゃくちゃ共感できて。聴いてくださる皆さんの心に寄り添うような曲になっていると思います。歌声の雰囲気も違う4人の声が、ユニゾンで合わさることによって優しく聞こえる感じもあって。そこにもこの4人が歌う意味があるのかなと思います。

左から上村ひなの、宮地すみれ。

左から上村ひなの、宮地すみれ。

──四期生の楽曲「雨が降ったって」はタイトルの第一印象で、四期生らしい青春感のあるさわやかな楽曲をイメージしていたら、意外やご陽気でアッパーなダンスナンバーだったので驚きました。

宮地 センターが小西夏菜実で、両サイドが年長の平岡海月としっかり者の渡辺莉奈なので、大人っぽいカッコいい曲なのかな?と想像していたんです。先にフォーメーションが発表されたとき「絶対今までと違うカッコいい曲だよ!」って盛り上がっていたんですけど、音源が来たらびっくりで。さわやかで青春っぽいポップな曲は今までもあったけど、「雨が降ったって」はおかしすぎるくらいはっちゃけていて(笑)、歌詞も面白いんです。繰り返し出てくる「いいじゃん」が私は大好きなんですけど、きっとおひさまの皆さんもライブで一緒になって盛り上がれると思います。MVも今までは学校シチュエーションだったけど、今回は初めて演劇っぽい、ミュージカルみたいな雰囲気で、それぞれの特徴を生かした配役になっていて。今までの四期生の明るさとは違った明るさになっているのでそこを楽しんでもらいたいですし、こんなに明るい曲のセンターをクールな小西が務めているという意外性にも注目してほしいです。

──小西さんは普段からクールなんですか?

宮地 クールクールって言われちゃうけど、意外とこの曲の「いいじゃん」みたいな楽観的なところとか、はっちゃけちゃうような要素も持っているなと私は感じているので、聴けば聴くほどこの曲のセンターにぴったりだなと思います。

2024年5月21日更新