ナタリー PowerPush - Hemenway
新曲は「エウレカセブンAO」OPテーマ“夢に向けての脱出”を描く
完成させるのが難しかった「Shifting」
──カップリング曲のことも聞かせてください。「Shifting」も作詞作曲はIsaacさんですね。
Isaac はい。歌詞のテーマは「Escape」と似てるんですが、もっと人間の裏表を描いていて、「Escape」よりも尖った内容になっています。かなり展開やアレンジが複雑な曲なんですが、デモの段階ではここまで複雑ではなかったんです。カップリング曲として収録するということが決まって、「だったら、もっと面白いことをやってみたい」って思って、みんなで考えながら作っていきました。
Ogaching みんなで音のイメージを膨らませていって、その後余分なものを削ぎ落して今の形になりました。
Toshi 曲の中で、リズムパターンやグルーヴのパターンがちょっとずつ変わっていってるんです。まさにタイトルどおり、リズムもシフトしていくんですが、勢いを失わずにつなげていくところが結構大変でした。これまでの曲の中で完成させるのが一番難しかったかもしれません。
Charm Isaacが作る曲は「Escape」もそうですけど、パッと世界観が変わる曲が多いんです。それが自然な流れで表現できると面白い曲になるんですが、これもIsaacらしさがちゃんと出ている曲になりましたね。
アコギを6本重ねた「ここにいない君へ」
──そしてもうひとつのカップリング曲「ここにいない君へ」。アコースティックサウンドというのが、これまでのHemenwayの楽曲とは違っていて、また新しい一面を感じられる曲になっています。
Charm これは僕が作りました。日本に来て、そんなに経ってない時期に作ったんですけど、まだ実家から機材が届いてなくて。その頃にアコギだけで作ったデモが何曲かあって、これはその中の1曲です。アコースティックの曲を収録したのは、バンドとしての幅広さを見せたかったというのもあります。アコギは6本重ねました。
──この曲はどういうイメージで歌いましたか?
Isaac これまでリリースした中でバラードはあまりなかったんですけど、僕はバラードを歌うのも好きで。Charmは“君”を特定の誰かではなく、英語の“You”をイメージして書いたみたいですけど、僕は「別れた彼女に歌う」という設定で歌いました。ロックな曲を歌う時は声を張るんですが、バラードなのでささやくようにソフトなイメージを心がけました。
──そしてもう1曲。これも恒例になりましたが、タイトル曲をCharmさんがギターで歌うバージョン(「Escape(Lightning Guitar Ver.)」)が入ってますよね。
Charm 「Escape」のビデオクリップを見てもらえればわかるんですが、雷が光ってる部分があるんです。そのイメージで今回は弾いたので“Lightning”です(笑)。
──このシリーズ、ぜひ続けてほしいです。
Isaac Charmのギターでのバージョンを聴くと、いつもF1のイメージが浮かぶんですよ。いつかF1の番組のテーマソングになったらいいのになあって(笑)。
Hemenway(へめんうぇい)
アメリカ・バークリー音楽大学を卒業した韓国系アメリカ人のIsaac(Vo, G)、Charm(G)、日本人のOgaching(B)、Toshi(Dr)の4人からなるロックバンド。2010年にIsaacとCharmが来日し、日本に帰国していたOgachingとToshiとともにバンドを結成した。楽曲制作やライブ活動を行いつつレコード会社にデモテープを送り、Ki/oon Musicからのメジャーデビューが決定。2011年11月にメジャーデビューシングル「Listen」を発売した。アメリカで学んだ音楽理論や技術を反映したハイクオリティなサウンド、美しいメロディ、日本語と英語を柔軟に交えた情感豊かな歌詞で注目を集め、2012年1月リリースのシングル「バイマイサイド」はテレビ東京系アニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマに起用された。同年5月、TVアニメ「エウレカセブンAO」のオープニングテーマであるニューシングル「Escape」を発売。