ナタリー PowerPush - Hello Sleepwalkers
次回作の序章となる新曲「円盤飛来」秘話
歌詞の中に潜む曲作りのセオリーと考え方
──この曲は、歌詞の主人公がマッドサイエンティストみたいですよね。
まさにそうなんですよ。この曲は次のアルバムにも入れたいと思っているんですけど、次のアルバムは1つのストーリーに沿って、たくさんの人の視点を書くことをしたくて。この曲はその1人の登場人物の視点の曲なんです。それが、今おっしゃったマッドサイエンティストなんですね。
──なるほど。だから「UFOをペイントしている」とか「X-rated Musicを作っている」というような言葉が出てくるんですね。ぶっ飛んだ発想を示すような言葉が。
そうです。それと、僕の曲作りの考え方とかセオリーみたいなものも、歌詞の中に入っていると思います。
──今回の「円盤飛来」という曲名もそうだし、前のアルバムにも宇宙をイメージさせるタイトルが多くありますよね。そういう宇宙にまつわるモチーフが生まれてきたのはどういうきっかけだったんでしょう?
前のアルバムの「惑星Qのランドマーク」という曲がきっかけですね。あの曲ができる前は、宇宙に関連したことは書いてなかったんです。でも、あの曲によって宇宙というキーワードによる歌詞の広がりとか、展開の面白さに気付いて。広大なものにどっぷり漬かった感じがあって。
──そこで手応えを得たんですね。
そうですね。そこから尾を引いて続いている感じです。
なるべく周りの言うことを聞かない
──今年1月にデビューアルバムをリリースしてから、自分たちのアイデンティティを客観視する機会もあったんじゃないかと思うんです。そこについてはどうでしょう?
周りの反応から自分たちらしさを知るっていうことですよね? それはあると思います。でも、僕はわりと周りの反応を見たくないほうなんですよ。なるべく周りの言うことを聞かないようにしてます。周囲に影響されてしまうより、好きなことをやり続けるというスタンスでやってます。
──なるほど。例えばシュンタロウさんの音楽の好みって、作る音楽にも反映されます?
それはモロに出ます。
──じゃあ、思春期から今に至るまでずっと好きな音楽はありますか?
そうだなあ……。ないっすね(笑)。
──好みはどんどん変わっていくほう?
どうなんだろう。音楽にしても最初はメロコアが好きで、英語の曲ばかり聴いていたんです。そこからJ-ROCKが好きになって……。それぞれの期間が長いんですよ。たまに転機があって、好みがコロっと変わるんです。
──ちなみに、メロコアとの出会いはいつ頃だったんでしょう?
小6の頃でした。姉ちゃんがベースを持っていて、MARILYN MANSONとかのコピーバンドをやってたんですよ。で、あるとき姉が使わなくなったベースを僕が買わされて。それで、Hi-STANDARDのスコアがあったんで、弾き始めたんです。それまで音楽を聴くこともほとんどなくて、その頃はルートが弾けてれば楽しかった。それくらいの感覚でした。
──なるほど。最近は東京でライブをすることが増えてきたと思うんですけれども、慣れてきましたか?
それは……いつまで経っても慣れないですね(笑)。緊張します。
──音源のトリッキーな展開をそのままステージで再現するのって、なかなか難しいと思うんです。そのあたりはどうですか?
ライブはもう、何も考えないことにしてます(笑)。突き抜けるというか、吹っ切れないとつまんないと思って。練習はキッチリと曲を再現する方向でやって、ライブは何も考えずに暴れるという。でも、こういう曲をやると、冷静になるのと感情的になるのと、バランスが難しいんですよ。
──ちなみに、メンバーの皆さんとはどういう関係性なんでしょう? 曲や歌詞を書くのはシュンタロウさんで、それを5人でアレンジしながら完成させていくんですよね。
とりあえず、最初にベース以外のフレーズは僕が形にするんですよ。それで、ベースは後からマコトが考える。で、ほかのメンバーは僕が作った3つのギターのフレーズを弾くことから始めて、各々がやりたい方向に持っていく。僕1人だけの視点だとつまらないところもあるんで、「ここはこうしたほうがいい」というアイデアや音色をメンバーが持ってくる。それで曲を作っていきます。
──3本のギターの割り振りを考えるのって大変じゃないですか?
わりと大変です(笑)。でも、3本ないとできないことがあるし、そこがやってて面白いところなんで。作り上げたときに楽しさが味わえるというのはありますね。
やってみたいからやるだけ
──先程、この曲は次のアルバムのストーリーの1つになると言っていましたけれども、次回作に向けての構想も今まさに膨らんでいるところでしょうか?
はい。曲も今月中に仕上げたいなって思ってます。
──ちなみに「円盤飛来」がマッドサイエンティストが主人公の曲だとすると、この先に控えているアルバムは、いろんな登場人物の視点からの群像劇のような形を思い描いているんでしょうか?
それを目指してやってます。主人公は決まってないですね。
──そういう意味でも、この曲はまさに幕開けの1曲なんですね。
そうですね。
──次回作の多角的なコンセプトにもつながりますが、Hello Sleepwalkersは自分の生活感やリアルな感情を歌うんじゃなくて、壮大なストーリーを描くようなロックバンドを目指してるんでしょうか。
いや、それはないですね。だいたい全部思いつきなんですよ。やってみたいから、やる。結果まで見通していないんです。
──オモチャを与えられた子供みたいな感じというか、無邪気さと好奇心が根っこにあるんですね。
そうですね。楽しいから遊ぶという、それだけです。僕自身が楽しいと感じるものを作るというのが、一番大きいです。その楽しい感じをリスナーの皆さんに伝えたいという感覚ですね。だから次の構想はあるんですけど、それにとらわれずに自分が面白いことをやり続けたいと思ってます。
Hello Sleepwalkers「円盤飛来」
Hello Sleepwalkers
ライブスケジュール
- LACHIC presents SAKAE SP-RING 2012
2012年6月3日(日)
愛知県 名古屋・栄地区主要ライブハウス - ONE OK ROCK 2012 "Start Walking The World Tour"
2012年6月4日(月)
大阪府 なんばHatch
※オープニングアクト - SOUNDBOND vol.2
2012年6月8日(金)
東京都 下北沢GARDEN - サロン・ド・キノコ~水も滴る好いおんな最終日
2012年6月30日(土)
沖縄県 桜坂セントラル - 第30回ピースフルラブ・ロックフェスティバル2012
2012年7月7日(土)
沖縄県 沖縄市野外ステージ - JOIN ALIVE
2012年7月21日(土)
北海道 いわみざわ公園 - ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2012
2012年8月5日(日)
茨城県 国営ひたち海浜公園
Hello Sleepwalkers
(はろーすりーぷうおーかーず)
シュンタロウ(Vo, G)、マコト(B)、ナルミ(G, Vo)、タソコ(G)、ユウキ(Dr)からなる5人組ロックバンド。2011年10月にタワーレコード限定シングル「センチメンタル症候群」をリリースし、2012年1月にはA-Sketchよりデビューアルバム「マジルヨル:ネムラナイワクセイ」を発表。複雑な構成のサウンドと独創的な歌詞世界、エモーショナルなライブパフォーマンスで注目を集めている。