2021年1月22日から3月1日まで開催中の「ハロー!プロジェクト『Juice=Juice』『つばきファクトリー』合同新メンバーオーディション」。今回はJuice=Juiceとつばきファクトリーにとって初めて一般応募を受け付ける新メンバーオーディションで、合同開催という形式もハロプロ史上初となる。
オーディションの開催を記念して、音楽ナタリーでは過去にオーディションを経てハロプロに加入した現役メンバーによる座談会を実施。モーニング娘。'21の野中美希、アンジュルムの上國料萌衣、BEYOOOOONDSの平井美葉という同い年かつ個性を生かしそれぞれの得意分野で輝く3名に、自らがオーディションを受けた経緯やグループ加入後のストーリー、ハロプロという場所への思いなどについて語ってもらった。
特集後半ではJuice=Juiceリーダーの金澤朋子、つばきファクトリーリーダーの山岸理子が両グループのカラーや魅力を紹介。未来の新メンバーに贈る、心のこもったメッセージを掲載している。
取材・文 / 小沢あや 構成 / 瀬下裕理 撮影 / 猪原悠(TRON)
座談会参加メンバー
モーニング娘。'21野中美希
- ニックネーム
- のなかちゃん、チェル
- 生年月日
- 1999年10月7日
- 出身地
- 静岡県
- 特技
- 英語、ピアノ
- 2014年に開催された「モーニング娘。'14<黄金(ゴールデン)>オーディション」を経て12期メンバーとしてモーニング娘。に加入。2歳から10歳までアメリカで暮らしていた帰国子女で、グループの“グローバル担当”として活躍している。2018年12月から2019年2月までさらなる英語力向上のため活動を休止し短期留学へ。2020年4月より早稲田大学eスクールに在籍。
アンジュルム上國料萌衣
- ニックネーム
- かみこ
- 生年月日
- 1999年10月24日
- 出身地
- 熊本県
- 趣味
- DVD鑑賞、1人カラオケ
- 2015年に開催された「2015アンジュルム新メンバーオーディション」を経て唯一の4期メンバーとしてアンジュルムに加入。伸びやかで透明感のある歌声がファンの間で“クリスタルボイス”と評されている。グループ活動の傍ら2019年より雑誌「bis」でレギュラーモデルを務めるなどファッションやビューティー分野で活躍。テレビやCMにも多数出演し活動の幅を広げている。
BEYOOOOONDS平井美葉
- ニックネーム
- みよ、みよりん
- 生年月日
- 1999年12月11日
- 出身地
- 東京都
- 特技
- クラシックバレエ、ダンス
- 2018年に開催された「“ONLY YOU”オーディション」を経てBEYOOOOONDSに加入。同オーディション合格者である小林萌花、里吉うたのとのグループ内ユニット・SeasoningSのリーダーを務める。4歳から14年間クラシックバレエに親しみ、大学に進学後はヒップホップダンスのミドルスクールを独学で勉強中。SNSなどでダンス動画を多数公開している。
普通の女の子がハロプロ入りするまで
──皆さん3人ともオーディションを経てグループに加入されたわけですが、数多あるアイドルの中でもなぜハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)を志望されたんでしょうか? 改めて加入までの流れを教えてください。
野中美希 私は小さい頃からアメリカでモーニング娘。のDVDを見て育って、モーニング娘。が大好きだったんです。「自分はただのファン」と思っていたんですが、14歳のとき、モーニング娘。'14のシングル曲「笑顔の君は太陽さ」を聴いて。「今しか出来ない 君がしたい事をしなよ」という歌詞があって、「もしかしたら私もモーニング娘。になれるかもしれない。やってみよう!」と応募しました。しかも、オーディションの募集要項に「英語ができる人大歓迎」と書いてあって、「私が呼ばれてる!」と思って(笑)。
平井美葉 すごいです! 私はもともとアイドル志望というよりパフォーマンスする人になりたいという気持ちが強くて、高校1年生までは宝塚音楽学校を志望していたんです。でも姉の影響でハロプロを好きになって、深く知っていくうちに、歌もダンスもクオリティが高いと感じて。「ここでがんばりたい」という気持ちが芽生えました。
──なるほど。
平井 それで、モーニング娘。13期さんのオーディション(「モーニング娘。'16 新世紀メンバーオーディション」)と20周年(「ハロー!プロジェクト20周年オーディション」)のオーディションを受けて、落ちて。年齢的にあきらめて普通の大学に進学したんですけど、「“ONLY YOU”オーディション」(2018年開催)の募集要項を見てみたら、22歳まで参加できるとあったので、「チャレンジしないと絶対損する!」と、すぐに応募しました。
──上國料さんも、1度の落選を経てつかんだ合格でしたね。
上國料萌衣 はい。最初は野中美希ちゃんと同じ「モーニング娘。'14<黄金(ゴールデン)>オーディション!」を受けました。私もアイドルになりたいというより、ハロプロに入りたかったんです。でも、落ちてからはショックでちょっと気持ちが離れてしまって(笑)。しばらくしてふと聴いたアンジュルムの「大器晩成」に励まされて、またオーディションを受けました。
──オーディションのとき、印象的だった質問や審査はありますか?
上國料 緊張しすぎて全然覚えてないんですけど、大喜利の審査がありましたね。でも回答したとき、周りの反応が静かだったので、「ああ、落ちたな……」って自信をなくして(笑)。
野中 あー、大喜利あったー!(笑) 私たちのオーディションのときの審査は、歌、ダンス、大喜利(笑)。合宿でも大喜利のトレーニングがあったんです。今はMCの練習でお世話になっている先生が、しっかり教えてくれます。
平井 大喜利、私のときはなかったです(笑)。オーディションの思い出……私はずっとダンスで勝負していたんですけど、4次審査では歌だけを披露したんです。そしたら、「あれ? 今日はダンスやらないの?」と言われて。不安だらけだったけど、「覚えていてくださったんだ!」と自信を持つことができました。
──すでにデビューしているメンバーで「この子はオーディションのときに光っていたな」と印象に残っている方はいますか?
上國料 浅倉樹々ちゃんと小野田紗栞ちゃん(ともにつばきファクトリー)! 2人とも仲よしだけど、バチバチと切磋琢磨している感じで。「この2人は受かるんだろうな」と思っていました。
野中 確かに。みんなすごかったけど、特に目立ってたのは樹々ちゃんかな。歌って踊れるし、ダンスを覚えるのも1人だけすごく早くて、「この子、受かるな」と思いました。
上國料 ね、思ったよね!
「それなら大丈夫」と笑ってくれた先輩
──皆さんはそれぞれ歌やダンスの基礎はありつつも、一般枠からグループの活動に参加されました。加入当時に印象的だった出来事はありますか?
野中 私は加入してすぐ、モーニング娘。として本格的な活動を始める前に誕生日を迎えたんですが、先輩方が突然お祝いしてくださったんです。誕生日を自分から知らせていたわけではないのに、私のプロフィールを見て用意してくれたみたいで、不安や緊張をほぐしてくださいました。卒業直前だった道重(さゆみ)さんからもプレゼントをいただき、当時はまだ半分ファンみたいな感じだったので、大興奮でした!(笑)
上國料 私は歌もダンスもまったくの未経験で、しかも1人だけでアンジュルムに加入しました。最初は本当に何もわからないし、パフォーマンスも全然付いていけなくて……。でも初ステージのとき、当日楽屋の外で先輩たち全員がずっと練習に付き合ってくれたんです。「できるまでやろう!」って。
野中・平井 いい話!
上國料 結局本番では失敗してしまったんですけど、すぐ先輩方に謝りに行ったら、「かみちゃんは楽しかった?」って聞かれて。「はい、楽しかったです!」と返したら、田村芽実さん(ex. アンジュルム)が「それなら大丈夫!」と笑ってくれたんです。田村さんはレッスンで一番厳しく指導してくれた先輩だったので、そのひと言が温かくて……すごく泣きました。現在のリーダーの竹内(朱莉)さんも、本当によくしてくださって。パフォーマンスについての指導のあと、積極的に明るく話しかけてくださるし、後輩が萎縮しないようにおどけてくれたりもする。オンオフをすごくしっかりしてくださるので、私も含めみんなすごく助けられています。
平井 BEYOOOOONDSの場合は、私を含む3人がオーディション合格者で、それ以外のメンバーは全員ハロプロ研修生出身だったので、私より年下だけどハロプロでは先輩という状態でした。だからほかのメンバーも、きっと最初は私たちにどう接するべきか戸惑ったと思います。でも研修生歴が長い前田こころちゃんが、私たちが失敗する前に率先して注意点を伝えてくれたり、失敗してしまったときは「ごめんね、事前に言ってなかったよね」と声をかけてくれたこともあって。「なんて優しいんだ……!」と。そういうことの積み重ねで、グループ全体が自然と「研修生組とオーディション組は、それぞれ知っていることや知らないことを持ち寄って、お互いに理解していこう」という気持ちになっていきました。
──加入直後からメンバーが支えてくれていたんですね。パフォーマンス面のレッスンなどはいかがでしたか?
野中 新メンバーのためのレッスンもすごく充実していましたよ。ダンスやボイストレーニングの先生から、それぞれの基礎を教えてもらえる機会がたくさんありましたし、意外なところだとメイクのレッスンもあったり。
上國料 私はボイトレとは別に、たいせいさん(シャ乱Q)にリズムのレッスンをしてもらいましたね。たいせいさんは普段、制作ディレクターとして楽曲に携わられているんですけど、リズムの基礎をしっかり教えていただいて「こういうこともやってくれるんだ!」と思いました。
平井 BEYOOOOONDSは寸劇パートが多いので、加入したての頃から滑舌の練習や演技指導がありました。今でも新曲が出るたびにリハーサルという名の演技指導の時間が設けられていて(笑)。台詞の言い方や間のとり方を何回も練習しています。
あきらめていたはずの人生が巡ってきた
──現在はそれぞれの個性を発揮して活躍している皆さんですが、これまで「ハロプロやグループに加入してよかったな」と感じたエピソードはありますか?
野中 私はドラマや舞台「演劇女子部」(ハロプロに所属するアーティストが出演する舞台作品シリーズ)で演技にも挑戦させてもらったんですが、そこで自分の新たな一面を引き出してもらえたりして、すごくうれしかったです。それに、いろいろなジャンルのお仕事を経験させてもらえた分、「やっぱり自分は歌うことが一番好きで、ハロプロの音楽がすごく好きだな」ということも実感できましたし。
平井 私も「演劇女子部」でお芝居をさせていただく機会があったんですが、そもそも私は「宝塚に入ってステージの上でお芝居したい」という夢をあきらめてハロプロに入っていたので、1回絶たれたはずの夢が叶ったというか。「演劇女子部」で男役をもらってから、宝塚の男役さんの動きや台詞の言い方を研究したりする中で、意外なところであきらめていたはずの人生がまた巡ってきたと感じて、運命的だなと思いましたね。
上國料 素敵! 私は今よく雑誌のお仕事をやらせてもらっているんですが、表現の面白さに気付くきっかけになりました。最初の頃は表現というものをあまり理解できていなかったけど、雑誌によってカラーの違う表情や表現を求められたりして、それってアンジュルムの楽曲でも同じことなんだと気付いて。表現の奥深さを知ることができたと思います。
平井 あと、BEYOOOOONDSはメンバー同士で「さっきのパフォーマンス、すごかったね!」「カッコよかったよ!」「大好きだよ!」とか、そういうことを言葉にして伝え合うんです。私はこれまで自分の気持ちをあまり表に出せないタイプだったんですが、メンバーと一緒に過ごす中で私も少しずつ話せるようになってきて。メンバーのことを本当に尊敬していますし、自分でも変わったな、よかったなって思います。
野中 それでいうと、どのグループもパフォーマンスに対する熱がすごく高いので、ハロプロはメンバーがお互いに刺激し合える場所だなと思います。自分もほかのメンバーのパフォーマンスに刺激されますし、「さっきのここ、めちゃめちゃよかったな」と感じたら本人に素直に言いますね。ハロプロ全体に、お互いを素直に褒め合う文化があるのかな。
上國料 確かに。いいと思ったらしっかり褒めてくれる人が多いです! それもストレートに心から気持ちを伝えてくれるので、自分としてもうれしくて「もっとがんばろう」という気持ちにもなりますね。
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