Guilty Kiss×Kanata Okajima(作曲家)×MEG(作曲家)|愛を貫く個性派ユニット・ギルキスの強さの理由

Guilty Kissが1stフルアルバム「Shooting Star Warrior」を7月28日にリリースした。

Guilty Kissはスクールアイドルグループ・Aqoursのメンバーの桜内梨子(CV:逢田梨香子)、津島善子(CV:小林愛香)、小原鞠莉(CV:鈴木愛奈)の3名で構成されたユニット。ロックやメタルを基軸とした激しいナンバーやパワフルなパフォーマンスで強い存在感を放ってきた。

満を持して放たれる1stフルアルバムには「Strawberry Trapper」「コワレヤスキ」「New Romantic Sailors」といったシングル曲のほか、Aqoursの最新曲「DREAMY COLOR」の作曲も担当しているKanata OkajimaとMEGが作編曲を手がけた新曲「Shooting Star Warrior」「Deep Sea Cocoon」「Nameless Love Song」が収録される。音楽ナタリーではGuilty Kissと、Kanata Okajima、MEGにユニットの魅力や新曲の世界観について語り合ってもらった。

取材・文 / 須藤輝

一番カッコいいのは私たち

──AqoursのメンバーはそれぞれCYaRon!、AZALEA、Guilty Kissという3つのユニットでも活動していますが、皆さんにとってGuilty Kissはどういうユニットですか?

小林愛香 ラスボス。

一同 (笑)。

逢田梨香子 私たちは、3つのユニットの中でGuilty Kissが一番カッコいいと思ってやってきました。もちろん各ユニットそれぞれいい部分はあるんですけど、一番カッコいいのは私たち。

鈴木愛奈 Aqoursでは見せない小悪魔的なダークな部分とかが、すごく出せているユニットじゃないかなって思います。

逢田 うん。本当にAqoursではできないことをやれているので、楽しいですね。

──この間、AZALEAと畑亜貴さんの対談の進行を担当したのですが、小宮有紗さんが「ライブでギルキスが最後に出てくると全部持っていかれちゃう」とおっしゃっていて(参照:AZALEA「We'll get the next dream!!!」特集)。

鈴木小林逢田 いえーい!(笑)

──実際、「持っていってやろう」と思っているんですか?

「Guilty Kiss First LOVELIVE! 〜New Romantic Sailors〜」の様子。

小林 Guilty Kissの出番は最初か最後になることが多くて。最初のときは「ぶちかましてやろう」とか「どのユニットよりも目立ってやる」と思っているんですけど、ラスボスとして登場するときはもはや余裕すら感じさせるような……。

逢田 こんなこと言うのはギルキス(Guilty Kissの略称)のときだけなんですけどね(笑)。

鈴木 楽曲が強いからね、自分たちも強い気持ちに。

MEG ギルキスは3つのユニットの中で一番ロック色が強いですし、それが強烈な個性になっているという印象があります。

Kanata Okajima なおかつ、挑戦的なユニットですよね。ロックも含めて、声優さんやアニメのプロジェクトだとなかなか手を出さないようなジャンルにも挑戦していて。そして、みんな歌がすごくうまい! 初めてライブを拝見したときも、声が突き抜ける感じが清々しかったです。

小林 歌に関しては、私は高校生のときに歌手デビューしているんですけど、そこから「ラブライブ!サンシャイン!!」でヨハネ(津島善子)と出会って、自分の歌にいろんな色があるということに気付けたんです。だからAqoursからもGuilty Kissからもたくさん可能性をもらっているし、これからもヨハネとなら、一緒に楽しみながらいろんなことができるんじゃないかなと思っています。

逢田 ヨハネはGuilty KissとAqoursで歌い方が違うもんね。

小林 Guilty Kissのときは、2人が2年生(逢田が演じる桜内梨子)と3年生(鈴木が演じる小原鞠莉)というのもあって、1年生のヨハネはのびのびとさせてもらっているというか。そういう関係を思い描きながら楽しく歌わせてもらっています。

──逢田さんと鈴木さんも、それぞれ2年生と3年生のポジションを意識されているんですか?

逢田 それは全然していなかったですね。

鈴木 先輩としてというよりは、例えば鞠莉の特技は歌を歌うことなので「鞠莉だったらこんなふうに気持ちよく歌うのかな?」と想像したりですとか。Guilty Kissでは一番大人というよりは……まあ、セクシー担当?(笑)

逢田小林 (笑)。

鈴木 ちょっと色っぽい余韻を残してみたり、そういう表現は意識しています。

「Guilty Kiss First LOVELIVE! 〜New Romantic Sailors〜」の様子。

逢田 私も、歌唱表現という意味での役割については常日頃考えていて。本来だったら、梨子ちゃんはGuilty Kissで大胆にパフォーマンスする子ではないと思うんですね。引っ込み思案で、自分でも「地味」と言っているぐらいなので。そんな梨子ちゃんを思い浮かべつつ、カッコよくも歌いたいけど、でも清楚でかわいらしい感じも残したいという気持ちで、2人とは違ったアプローチで梨子ちゃんとして存在できたらいいなと思っています。

小林 Guilty Kissはハーモニーも武器かもしれない。めちゃめちゃキラキラしていて、カッコよくもさわやかな感じにもなれるし、セクシーなかわいらしさもあったりするから。

ギルキスを知らない人にレーザービーム

──この5年間の活動の中で印象に残っている曲、あるいはターニングポイントになった曲などはありますか?

逢田 私は「New Romantic Sailors」(2019年11月発売の3rdシングル表題曲)。すごくキャッチーで、1回聴いたらずっと頭の中でぐるぐる回っているような曲なんですけど、楽曲がリリースされる直前に、東京ドームで開催された「バンナムフェス(バンダイナムコエンターテインメントフェスティバル)」と、ニューヨークのアニメコンベンション(「Lantis Matsuri at Anime NYC」)にGuilty Kissが出演したんです。

鈴木 そこで「New Romantic Sailors」をお披露目してね。

逢田 どちらのステージも、「ラブライブ!」シリーズや私たちのことを知らない人にもギルキスを聴いてもらうきっかけになってくれて。そこから私たちもギルキスとしてもっとがんばりたい、もっといろんな人に知ってもらいたいという気持ちが強くなったんです。

──「New Romantic Sailors」で、逢田さんはレーザービームを撃っていらっしゃいますね。

逢田 あれは、思いつきです(笑)。歌詞に「レーザービーム」という言葉があるんですけど、そこから「梨子ちゃんレーザービーム」を撃ってみたらどうかという話になり。もともとアニメの中で「梨子ちゃんビーム」という台詞があって、それもアドリブだったんですけど、ついに曲の中に登場してしまったという。たぶん、ギルキスを知らない人が初めて「New Romantic Sailors」を聴いたら「なんだこの曲は!?」と思うでしょうし、あのタイミングでこの曲と出会えてすごくよかったなって。

小林 東京ドームで、AqoursもGuilty Kissも知らないお客さんがいる中で「梨子ちゃんレーザービーム」撃ったからね。しかも、3人で組体操のピラミッドを作ってね。

鈴木 まさに“挑戦”(笑)。

逢田 2人が四つん這いになってくれて、その上に私が乗って。

小林 私たちも踏ん張りながら「まさかステージに手を付くことになるとは!」って(笑)。

──鈴木さんと小林さんは、特に思い入れの強い曲を挙げるとすれば?

鈴木 ターニングポイントでもなんでもないんですけど、「New Romantic Sailors」のカップリングの「Love Pulsar」をレコーディングしたときのことが印象に残っています。この曲はイントロや間奏に笑い声が入っているんですけど、1本のマイクを3人で囲んで「くーっくっくっく」「あーっはっはっは」とめっちゃ笑っていたのが今思い出してもおかしくて(笑)。

小林 そういう意味では「New Romantic Sailors」と「Love Pulsar」と「Phantom Rocket Adventure」が入っているシングルは、新しいギルキス像を見せられた1枚なのかな。

鈴木 うんうん。それまでと色が違ったし「こっちも行けるんだ」と思いました。

──「Phantom Rocket Adventure」は1990年代ぐらいのアイドルソングのようで、個人的にとても好みです。

小林 私は、やっぱり「Strawberry Trapper」(2016年6月発売の1stシングル表題)はすごく印象に残るし「Guilty Kissといえばこれ!」みたいな曲なんですけど、カップリングの「Guilty Night, Guilty Kiss!」も、Guilty Kissのおしゃれ感とセクシーさとかわいさが詰まった曲だと思っていて。しかもみんながサビで「Guilty Kiss!」ってコールをしてくれるので、ライブですごく盛り上がる曲になったんですよね。こんなにも「Guilty Kiss!」と叫んでもらえることは想像していなかったので、めちゃくちゃうれしかったです。

とにかくカッコいいものを

──ここからは新曲について伺います。まずタイトルトラックの「Shooting Star Warrior」はマリリン・マンソン的なシャッフルビートでゴリゴリ攻める、極めてヘビーでラウドなロックナンバーですね。

MEG まさに、僕もマンソンは大好きで。筆が進んでしょうがなかったです。

小林 楽曲を聴いて、震えました。めちゃめちゃカッコよくて。

鈴木 ね! 曲に魂がこもっているのを感じました。

逢田 「本気だ」って思いました。

──MEGさんはかつてARTEMAというメタルコアバンドをやっていましたし、ギルキスの楽曲制作は適任だと思います。

MEG うれしいです。でも、実は制作中はそこまでGuilty Kissのことを意識していなかったんですよ。もちろん、やるからには今までのギルキスとは一線を画す曲を作りたいという気持ちは強かったんですけど、なんの抵抗もなく、自然に出てきたというか。「とにかくカッコいいものを」という一点に集中していた感じです。

──ちなみに、OkajimaさんとMEGさんはAqoursの「Fantastic Departure!」(2020年7月発売)と「DREAMY COLOR」(2021年6月発売)も共作なさっていますが、どういう役割分担なんですか?

Okajima ざっくり言うと、MEGさんが作ってきたトラックに、私がメロディを乗せるイメージです。メロディを乗せるときは一緒に作業するので、私が何本もアイデアを出して「どれがいいですか?」と相談したりして。

MEG 今回の新曲は3曲とも特に行き詰まることなく、スムーズに進みましたね。

Okajima とはいえ、私はゴリゴリのラウドロックはそんなに通っていなくて。だから「Shooting Star Warrior」は手探りでもあったんですけど、ラウドロックのトラックにラウドロックなメロディを乗せたらシンプルにラウドロックになっちゃうじゃないですか。なので、そこは意識しすぎず、自分にとっての一番キャッチーで強いメロディを乗せることに集中しました。それがポップフィールドの私の役割かなって。

MEG 逆にいうと、仮に僕がブルータルデスメタルとかのトラックを持っていったとしても、Kanataさんならちゃんとポップフィールドで成立させてくれるという信頼があるんですよね。

Okajima お互いの得意技を遠慮なくぶつけ合う!みたいな。私もMEGさんも「自分の役割を果たせばいい曲ができる」という確信だけはあったと思います。

隠しテーマは「Guilty Kiss is Back」

鈴木 今回のアルバムは、ジャケットで鞠莉が初めてセンターにいるんです。そして鞠莉はハードロックが大好きなんですよ。「Shooting Star Warrior」も鞠莉がセンターの曲なので、鞠莉がギルキスを引っ張っていく感じかなと。

逢田 たぶん、ファンの皆さんもこういう曲を待っていたんじゃないかな。

Okajima 実は、「アルバムを作るにあたり原点に立ち返って、サービス精神ゼロで純粋にロックを突き詰めたい」というお話を伺っていて。

MEG 隠しテーマは「Guilty Kiss is Back」だともおっしゃっていましたね。

鈴木逢田 おおー。

小林 今回も、新曲のどこかで「梨子ちゃんレーザービーム」とか、「Strawberry Trapper」の「ヨハネ、召喚」みたいなサービス要素が入るんじゃないかと思ったんですけど、どうやらその隙がなかったようで(笑)。

逢田 そういうのがなくても戦える3曲だと思います。

鈴木 レコーディングは鞠莉が一番手だったんですけど、本当に、ブースでこんなにも暴れたのは初めてでした。もう、ヘドバンするかのように、マイクがあるのもお構いなしで。私も全力で、1音1音に魂を込めるように歌ったので、レコーディングが終わったときは抜け殻のようになっていました。

小林逢田 (笑)。

鈴木 畑(亜貴)さんが書いてくださった歌詞も、例えば「会えて嬉しいって言っちゃえ 言っちゃえ」とか、今の状況に重なるところもあって。私たちもファンの皆さんに会いたいですし、ファンの皆さんも同じ気持ちでいてくれたらうれしいです。

逢田梨香子

逢田 私は2番目に録ったんですけど、このパンチのある楽曲に梨子ちゃんが埋もれないようにするにはどう歌えばいいか、すごく考えたんですね。でも、最初に鞠莉がガツンと道筋を作ってくれたというか、曲に鞠莉の色を足してくれたので挑みやすかったです。とはいえ、いい曲だけあってその分難しかったので「二度はできないな」っていうぐらい消耗しました。

OkajimaMEG ごめんなさい(笑)。

逢田 出し切ったぶん、すっきり感も同時にありました(笑)。でも、実は3人とも録り終わったあとで、梨子ちゃんのラップパートだけ録り直したんです。そこは高めでラップしていたんですけど、3人重なったときにぶつかちゃって。なので、上は鞠莉とヨハネに預けて、梨子ちゃんは下に行きました。あと、最初は声を強くぶつけるようなラップだったんですけど「清楚な梨子ラップでいいよ」と言われたので、梨子ちゃんらしく慎ましいラップに。

小林 慎ましいラップ(笑)。

Okajima かわいい(笑)。

小林 私は、2人の歌い方がまったく違ったので、どうやってバランスを取ろうかちょっと迷いましたね。ヨハネは3人の中で唯一、明るくも暗くにも振り切れる子だと思うし、正直「この曲はヨハネで決まるな」と。結果、やっぱりGuilty Kissは絶対にカッコよく、ロックでありたいので、堕天使のヨハネ感をめちゃめちゃ出して、ロックシンガーのヨハネをイメージしながら歌いました。

MEG めっちゃカッコいいです。

Okajima よくぞやってくれた!って思いました。やっぱり歌が入るまでわからないところもあったんですけど、こんなふうに3人の声が折り重なって、表現として完成するんだという感動がありましたね。そして、これが世に出るという喜びも。私たちだけじゃなくて、きっと皆さんもこの曲を楽しんでくれる、というのが楽しみで仕方がない曲になりました。