音楽事務所WACK所属グループのGO TO THE BEDSとPARADISESは、2020年にGANG PARADEのメンバーが分裂して生まれたグループ。コロナ禍の影響で足踏みせざるを得ない状況を乗り越えながら、活動を続けている。今年3月に行われた「WACK合同オーディション2021」の結果、新メンバーとしてGO TO THE BEDSにチャンベイビー、PARADISESにキャ・ノンが加入。それぞれのグループに新しい風を吹かせている。
音楽ナタリーでは、GO TO THE BEDSが7月21日に2nd EP「BLOOD COMPACT」、PARADISESが7月28日に1stシングル「大事な歌」をリリースするタイミングで、新メンバーの2人にインタビュー。加入から約4カ月、なぜWACKを選んだのか? そしてグループでの活動を実際に経験して感じたことなどを改めて率直に語ってもらった。またサウンドプロデューサー松隈ケンタによるチャンベイビーとキャ・ノンに向けたコメントも掲載する。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 前田立
なぜWACKオーディションを受けたのか
──まず自己紹介をお願いします。
キャ・ノン(PARADISES) PARADISESのキャ・ノンです。東京都出身で、今年の「WACK合同合宿オーディション」に合格してPARADISESに加入しました。4月29日からライブ活動をしています。
チャンベイビー(GO TO THE BEDS) GO TO THE BEDSの新メンバー・チャンベイビーです。私もキャ・ノンさんと同じく合宿オーディションで合格して入りました。大阪で生まれて、0歳で東京に引っ越してきました。
──お二人はなぜWACKのオーディションを受けたんですか?
チャンベイビー 私はもともとWACKを知らなかったんですけど、「Project WACKちん」(「コロナ後でしか合格にならないアイドルオーディション」として基本的にオンラインでのみ実施されているオーディション)を受けて知りました。
──「WACKちん」はどうやって知ったんですか?
チャンベイビー Twitterのタイムラインに誰かが「いいね」した投稿が表示されますよね。誰かがいいねしたそのオーディション情報を見たんです。BiSHさんはもともと知ってたんですけど、「WACKちん」までWACKについては全然知らなくて、オーディションを受けている間に知った感じです。いろんな映像を観て、「ああ過激で過酷なことをしてるんだな」って。
──チャンベイビーさんは「WACKちん」に参加したことをきっかけに今年の合宿オーディションに参加したんですよね。
チャンベイビー 私は「WACKちん」の審査に勝ち進んでたんですけど、渡辺(淳之介 / WACK代表)さんから合宿にも呼んでいただいて。参加するからには絶対に受かりたいと思ってましたし、「WACKちん」を受けながらWACKに入りたい気持ちがどんどん高まっていきました。
──キャ・ノンさんも「WACKちん」を経て、合宿に参加しました。なぜWACKのオーディションを受けたんですか?
キャ・ノン WACKを知ったのが、2017年に横浜の赤レンガ倉庫でやっていた「WACK EXHiBiTiON」(「WACK合同オーディション2017」の合格者発表イベントとして行われたフリーライブ)で。友達に誘われて初めてWACKアイドルのライブを観ました。WACKのアイドルは歌詞や振り付けをメンバーがやっていますよね、そういうふうに自分たちがやりたいことをやってお客さんの前に立ってるという雰囲気が伝わってきて、純粋にカッコいいなと思って。その日を境にずっとWACKに憧れていて、私は「WACKちん」で不合格だったんですけど、合宿には呼んでいただけたので、死ぬ気でがんばりました。
意外にも共通点の多かった2人
──合宿の初日を迎えたときはどんな気持ちだったか覚えてますか?
チャンベイビー 雨が降ってて、すごくどんよりした感じでした。
キャ・ノン 怖かったよね……。バスで寝たら終わるって思ってました(笑)。
チャンベイビー 前日にドキドキしすぎて眠れなくて、バスで寝たらやばいって思いながらウトウトしちゃいました(笑)。
──お互いのことはどう見ていたんですか?
チャンベイビー ノンちゃんは「WACKちん」で知ってたので、「すげえ強敵!」と思ってました。最初からTwitterのフォロワー数も多かったし、かわいいし。
キャ・ノン ベビちゃんは「WACKちん」の15分面談のとき、「韓国で練習生として過ごした経験があるから、日本の合宿オーディションにも耐えてみせます!」という感じで、渡辺さんに対して強気な姿勢を見せていたから、「すごいな、この子」と思ってました(笑)。実際に会って話すまでは。
チャンベイビー もともと気持ちが弱いので、強気なことを言わないとダメだって思って言葉だけは強気でした(笑)。合宿中はノンちゃん含めて3人でチームになったときに「けっこう共通点があるね」って話をしました。
キャ・ノン 合宿の中盤、一緒のチームになったときに2人で話す時間があって、「殻を破らないといけない」とか「きっと言われてることは一緒だよね」みたいな話をしてました。2人とも経験者だったので「できて当たり前の人」として見られているから、それをどうやったらいい方向に持っていけるんだろうとか、越えなきゃいけないものが一緒だったっていうのも思うし。そういう同じ悩みを持ってた。
チャンベイビー お互い自信がないという悩みは一緒だったからね。でもノンちゃんはなんで自信がないんだろうと思ってたんですけど、話していくうちに境遇とかが似ていることを知って、なんでそう思うのかがわかった。
──「WACKちん」のオーディションでネット上では顔を合わせていた2人ですが、実際に合宿で会ったときに印象の違いはありましたか?
チャンベイビー 全然違いました。ノンちゃんのことをすごい人だと思ってたから、合宿で「自信がない」なんて言っていて、嘘でしょって。
キャ・ノン ベビちゃんはわりと髪型が奇抜でしたよね。合宿中だと前髪だけ金髪の子はほかにいなかったし、ジャージ姿を見て、強そうで怖い!なんて思ってました(笑)。
──合宿では合格に向けて感情をさらけ出してがんばっていましたが、お互いの好きなところと嫌いなところは見えましたか?
チャンベイビー 連絡は取ってるけど、活動が始まって1回だけ会えたくらい。まだあんまり関われてないから、嫌いなところまで見つけられてないです(笑)。
キャ・ノン 合宿を振り返ると、候補生同士ってすごく深いところでしか関わらないんですよね。仲よくなってからじゃないと話さないような悩みとか感情の深いところしか話してないなって。
チャンベイビー 逆に趣味とか知らない(笑)。あ、ノンちゃんが靴好きなことは知ってます。
キャ・ノン 私はベビちゃんがじゃがりこ好きなことは知っています(笑)。ファンの方が知っている情報くらいしか知らないので、これからですね。
──どのグループに入りたいかは具体的にあった?
キャ・ノン 合宿の途中から先輩の現役メンバーが来てくれて、直接関わっていくうちに本当にどこのグループでも入れたらいいなと思うようになりました。過去の合宿でも「どこのグループでもいいです」って言ってる人が多くて、なんでそんなこと言ってるんだろう?と思ってたけど、理由がわかりました。自分がいざ候補生の立場になったら、どの先輩も自分の意志を持っていて、すごく素敵な人たちだと思ったから。
チャンベイビー どこかに入りたいというよりかはWACKにいたいなって思ってました。
──と言いつつも、合宿中にチャンベイビーさんは「GO TO THE BEDSに入りたい」と発言する場面もありました。希望したグループにストレートで入るパターンはWACK初だそうです。
チャンベイビー やったー(笑)。そもそも「WACKちん」を受けているときには、合宿オーディションに参加する自分を想像していなかったので。WACKに入りたい気持ちは「WACKちん」のときからあったけど、どこかのグループに入る可能性までは想像もしてませんでした。「WACKちん」の時点だと「受かった人で新しいグループ作るのかな?」と思っていたので。でも合宿中の面談で希望するグループを質問されることはわかってたので、「どこに入りたいかな」と考えたときにカッコいいって思ったのが、GO TO THE BEDSだったんです。
──ちなみにキャ・ノンさんは「WACKちん」が最初の応募ですか?
キャ・ノン 去年の合宿オーディションにも応募してはいたのですが、そのタイミングでは参加できなくて。そのあとに始まった「WACKちん」のタイミングから参加できたんです。WACK以外のオーディションは受けるつもりもなくて。
──WACKのアイドルになりたかったんですね。
キャ・ノン 小さい頃から芸能事務所に入っていたこともあって、以前は周りに言われるがままというか、「何かになりたい」という思いがない状態で活動してたんですよね。そんなときに「WACK EXHiBiTiON」を観て「私はこれになりたい」と強く感じて。初めての感情で、一時的な興奮かなと思ってたんですよ。でもまったくその気持ちがなくならないし、どんどんWACKへの熱量が上がっていったので、これを諦めたらダメだと思って。
──2017年の「WACK EXHiBiTiON」にはBiSH、2期BiS、GANG PARADEの3組が出演していました。まだEMPiREが結成される前ですね。
キャ・ノン あのときはBiSが印象に残りました。そのイベントでギャンパレのカミヤ(サキ)さんと、BiSのアヤさん(・エイトプリンス)のレンタルトレードが発表されて、「すごいことする事務所だな」と思ってました(笑)。その日以降、1期BiSの横浜アリーナでの解散ライブのDVDとかWACK関連の映像もいっぱい観て。「人生を懸けてる」という雰囲気が登場人物全員から感じられて、カッコいいなあと思ってました。
次のページ »
GANG PARADEのラストライブを観た