GRANRODEO|デビューから初の日本武道館ライブ、「黒バス」との出会い、禁煙まで……濃密な15年間の10大トピック

04

2012年
16thシングル「Can Do」リリース。「黒子のバスケ」シリーズ主題歌を連作で担当5thアルバム「CRACK STAR FLASH」オリコンデイリー初の1位

──GRANRODEOがさらに飛躍を遂げたのが、2012年から始まったテレビアニメ「黒子のバスケ」の存在です。テレビアニメ「黒子のバスケ」オープニング主題歌「Can Do」に始まり、テレビシリーズ全3期全6クール、2017年公開の「劇場版 黒子のバスケ LAST GAME」まで約5年間で7曲の主題歌を担当しました。

「Can Do」ジャケット

KISHOW そもそも僕はバスケ好きだし、「スラムダンク」をバイブルにしてきた人間なので、「週刊少年ジャンプ」のバスケアニメの主題歌が歌えるのが、まず光栄でしたよね。しかもシリーズ通して、最終的には7曲も担当させてもらえて。まさかそんなに続けさせてもらえるなんて思ってなかったから、歌詞も最初の「Can Do」から「RIMFIRE」あたりは、これで書き納めくらいの感じで気合いが入ってましたしね(笑)。

e-ZUKA 曲のほうも最初の「Can Do」は、ジャンプアニメでありスポーツアニメということもあって、明るさや青春らしさをかなり意識したので、それまでの僕らにはなかった感じのさわやかでストレートなロックンロールになりましたよね。実はこの曲、ドラムを叩いてくれているのが、あのLUNA SEAの真矢さんなんですよ。

KISHOW そうそう、そうなのよ! 珍しく僕も楽器のレコーディングに立ち合わせてもらったんだけど、ブロンズ製の特注モデルをダイナミックに演奏する真矢さん、さすがでしたよね。

e-ZUKA 真矢さんのドラミング、すごく歌心があって素敵なんですよ。あのときは「Can Do」とカップリングの「Love in shelter」の2曲を演奏してもらったんですけど、「Love in shelter」のほうはLed Zeppelinばりのハードロックナンバー。それも喜んでくださったのを、思い出しますね。

「CRACK STAR FLASH」ジャケット

KISHOW その「Can Do」が入った5thアルバム「CRACK STAR FLASH」もオリコンチャートで初のデイリー1位を取って、何よりスタッフがうれしそうだった。デイリー1位を記念して緊急ハグ会なんていうのをやったら、1200人も渋谷パルコに集まってくれてね。

e-ZUKA KISHOWにハグされて泣き出す女の子がいたりね。

KISHOW 「CRACK STAR FLASH」も今思うと1曲1曲が強力な分、すごくガチャッとしたアルバムになったと思う。実は僕自身、のちに声帯結節を患っていることが発覚するんですが、この頃から喉の調子が悪くなって。歌も今に比べると不安定なんだけど、逆にそれがいい味になっていて面白いアルバムですね。「黒子のバスケ」との関係も、声優としてもGRANRODEOとしても大分深いところまで携わらせてもらったので思い入れは強い。中期GRANRODEOが皆さんに認知されたのも、作品のおかげですよ。

e-ZUKA そう。僕も地元で規模の大きな同窓会が開かれたとき、同級生の子供に「『黒子のバスケ』のファンだからサインして」と言われたり、「子供の運動会に行ったら『Can Do』が流れてたよ」なんて話を聞いて、それまでとは違う広がり方をしていったことを実感してました。

05

2012年
MUCCとの対バンライブ「MUCC SIX NINE WARS-ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode6.『ARMAGEDDON』」の日に、KISHOWの痛風人生スタート

──次なるGRANRODEOの転機といいますか……KISHOWさんに大きな転機が訪れたのは、2014年だと思います。

KISHOW(Vo)

KISHOW まさにね。まず、長年スモーカーだった僕が1月21日から禁煙を始めた。2014年は1月頭にさいたまスーパーアリーナ、2月に大阪城ホールでの「G9 ROCK☆SHOW」という大きなライブを控えていたんですけど、年末のリハーサルからいよいよ本格的に声が出づらくなっていて。病院に行ったら声帯結節だと。手術には至らないけど、毎日毎日点滴を打って休みつつ様子を見つつで。たまアリの本番当日も、点滴を打って行きましたよね。あのときはもう歌えなくなるかと思いましたよ。

e-ZUKA KISHOWの喉の調子がよくないのは、その前の年にいろんなシングルをレコーディングしていたときからあったんですね。声が出ないから今日は歌うのをやめようとか。そんな積み重ねがあったから、僕としてはごまかしながらでも「G9 ROCK☆SHOW」を無事に終えられたらいいなと、祈るような気持ちでしたよ。歌ばかりは代わってあげることもできないし。

KISHOW だから本音を言えば、「G9 ROCK☆SHOW」のことはあまり覚えてないんですよね。

──ということがあって、禁煙を決意された。

KISHOW そう。もちろん薬なんかも飲み続けていたんだけど、ちょうどスタッフの1人が禁煙すると宣言してたから「じゃあ俺も!」と。煙草を吸わなきゃ治ると思えたんだよね。暗示みたいなものだけど。でも本当に春頃には完全復活して、春の「GRANRODEO LIVE TOUR 2014 MAGICAL RODEO TOUR」はそれまで以上に調子がよくてね。ホントよかったなあと思っていたら……8月に痛風を発症するという(笑)。

──8月17日、MUCCとの対バンライブ「MUCC SIX NINE WARS-ぼくらの七ヶ月間戦争- Episode6.『ARMAGEDDON』」当日の朝、激痛に襲われたそうですね。

KISHOW そう、前乗りしてたホテルで起きたら激痛が。絶対に複雑骨折したんだと思って、痛みの中でそのままライブをやって。

e-ZUKA 打ち上げでは痛風に一番悪いとされるビールをパカパカ飲んでましたからね(笑)。

KISHOW そう! 火に油を注いじゃって。あのときの俺の頭を殴りたいくらい。で、東京に戻ってレントゲンを撮ったら……痛風ですと。意味がわからなかった(笑)。そこからは大嫌いだった野菜をたんまり食べ、タンパク質はサラダチキンで補い、ウサギのような生活ですよ。もうめったに発作は起きないし、なんだかんだ食生活には気を付けていて、今となっては豆乳青汁を片手に黒酢にんにくを毎朝キメるという生活を送るようになりました!

e-ZUKA ふふふ、いいことですよ。

KISHOW だからね、2014年はGRANRODEOのボーカルとしてはもちろん、谷山紀章の人生の転機でもありましたよね。

06

2014年
初のコラボユニットFLOW×GRANRODEO結成、「7 -seven-」リリース

──もう1つ、2014年に訪れたトピックとして挙げたいのは、FLOW×GRANRODEOの始動です。GRANRODEOにとっては、初のアーティストコラボでしたね。

「7 -seven-」ジャケット

e-ZUKA 最初にランティスにわざわざ来てくれて、コラボやりませんかと話をもらって。

KISHOW そうそう。レーベルも違うFLOWが、僕らとぜひコラボユニットをやりたいと言ってくれましてね。そういうのはやったことがなかったし、向こうは根っからのバンドマン。もちろん素晴らしいライブバンドだというのは知ってたけど、出所も違うから最初は正直ピンとこなかったんですよ。でも付き合ってみると、すごくいい人たち。仲良くしてもらえて、今では気心が知れた感じになって……彼らが“陽キャ”でホントよかった(笑)。

e-ZUKA それも「7 -seven-」1回で終わるかなと思ってたら、4年後の2018年にも「またやりませんか?」と言ってくれましてね。TAKEちゃんに飲み屋に呼び出されて。彼は熱い男だから「大人の思惑とは関係なく、クリエイティブな作業をしましょう!」と。「7 -seven-」はTAKEちゃんが作曲してくれたんだけど、今度はAメロ、Bメロ、サビを交互に作曲する「“作曲しりとり”やりたいんです!」と熱く説得されまして(笑)。

KISHOW 歌詞のほうも、「7 -seven-」でもKOHSHIくんと一緒に作詞はしたんだけど、2018年の2枚目のシングル「Howling」のほうではKEIGOくんも参加して3人で共作することになってね。実に個性が出た面白い曲になりました。三者三様だけど、やっぱり俺の歌詞って独創的だなと自覚したし(笑)。

──2018年の再始動では、初めてFLOW×GRANRODEOとしての国内ライブも行い、GRANRODEO初の海外ライブを台湾で実施しましたよね。

KISHOW そうそう。僕はそもそも飛行機が大嫌いなので、海外行きを頑なに固辞して生きていたんですよ。「もしもGRANRODEOで海外遠征なんてことになったら、もう辞めてやる!」くらいの気持ちで(笑)。でも別件でパスポートを取らされていたりもして、FLOW×GRANRODEOでやるというなら、まあしょうがないなと。そういうことでもないと自分の意思では絶対に海外に行かないから、いい経験にはなった。FLOWは海外慣れしてるし、みんなでワイワイ修学旅行みたいな感じだったから寂しくなかったし。いいタイミングだったのかもしれないですね。

e-ZUKA 台湾は楽しかったですよ。ライブの前、初日に現地のファンの人との交流会もあったんですけど、みんな日本語がわかるししゃべれる人もいる。日本の文化が浸透していることに驚きましたね。あと印象的だったのは、現地の新聞の取材を受けたこと。翌日見たらわりと大きな記事になってて、ライブの感想が書いてあるのかと思ったら「KISHOWが飛行機に乗った!」っていう見出しで。「クララが立った!」みたいな扱いで面白かったです(笑)。

──2014年、2018年と2度実現しているコラボですが、ファンはFLOW×GRANRODEOの再々始動を楽しみにしてるんじゃないですか?

e-ZUKA まあ、4年周期で来てますからね、もしあるとしたら2022年になるのかな?(笑)

KISHOW 飽きられていなければ、また新しい曲を作る機会があったら楽しいなとは思いますけど、どうなんだろうね。そこはFLOW次第じゃないのかな(笑)。

07

2018年
新潟県十日町市と山口県宇部市に凱旋

──2018年の思い出深いライブといえば、5月にe-ZUKAさんの故郷の新潟県十日町市で凱旋公演「GRANRODEO LIVE 2018 e-ZUKA 十日町凱旋 ロデオごったく ~あささささ、ごーぎだどもあちこたねぇすけこらっしゃい!~」、8月にはKISHOWさんの故郷の山口県宇部市で「GRANRODEO LIVE 2018 KISHOW 宇部凱旋 ロデオぶるとっぴん ~暑ぅてわやになりそうじゃけえ皆でぶち盛り上がろうや~」が開催されました。

e-ZUKA そう、思い出深いですね。それまでも新潟県、山口県で凱旋公演という名目でワンマンはやっていたんですが、本当に生まれ育った街ではできてなかったんですよ。特に十日町は適切な会場がないという理由でできなかったんですけど、2017年末にようやく新しいホールができて実現したんですよね。

KISHOW 十日町の凱旋公演は、街の商店街をあげてGRANRODEO大歓迎でね。

e-ZUKA 僕の実家が電器店で兄貴が商店会の会長をやってるもんで、街中のBGMもGRANRODEOが流れまくる2日間(笑)。ホールの外では商店街のお店が屋台を出して、まさにお祭り騒ぎでした。

KISHOW ステージでは僕の後ろで、感極まったe-ZUKAさんが男泣きしてたらしいです(笑)。僕のほうは、なにせ会場が宇部を象徴する格式の高いホール。ロックのライブなんてできるような場所じゃないところで、凱旋のワンマンができたというのは痛快でしたね。

e-ZUKA 宇部では僕らのファンクラブツアーも同時にやったんですよ。

KISHOW ちょうど僕の誕生日に合わせたイベントだったので、ファンの人たちに誕生日を祝ってもらえたのは印象深いですね。ライブ当日は僕の母校の軽音楽部のガールズバンドが「Go For It!」をオープニングアクトとして歌ってくれて。

e-ZUKA とてもかわいい演奏で、ファンの皆さんも温かくコール&レスポンスしてくれまして。

KISHOW とてもいい凱旋公演だったと思います、どちらも。