音楽ナタリー Power Push - GRANRODEO

10年分の感謝と祝福すべき未来

できればスガシカオみたいになりたかった

──ではなぜGRANRODEOは10年続いたんでしょう?

e-ZUKA 今言っていた、お互いのバックグラウンドっていうのがあるのかもしれないですね。当時、僕はもう20歳くらいでしたからガンズの1stやLAメタルにはそんなに影響は受けてなくて。中学生、高校生の頃聴いていたのは、LAメタル以前のイギリスやアメリカのハードロックであったり、ジャパメタであったりですよね。LOUDNESSに代表されるような。あと小学生の頃であれば普通にテレビの歌番組で流れてくる歌謡曲やBay City RollersやKiss。Kissなんて別に音楽に詳しいヤツじゃなくても全員聴いてましたし。

──それらの楽曲の影響もGRANRODEOに反映されている、と。

e-ZUKA ええ。だから僕らがロデオボーイ、ロデオガールって呼んでる子たちのお父さん世代がファンになってくれたりしてるんですよ。家族でのドライブ中に「おい、お前何聴いてるんだ?」なんて言いながら、娘から借りた僕らのCDを車でかけてみた結果「あれっ!? お父さん、これ好きかも」ってなって(笑)。

KISHOW わりとそういう話をよく聞きますよね。

e-ZUKA そうやっていろんな世代の人が聴いてくれている事実が箔を付けてくれている、僕らに価値を与えてくれている気はします。あとはやっぱり声がいいから続いてこれたんでしょうね。何かっていうとKISHOWはホメられますから。オレのギターなんてめったにホメられないのに(笑)。

──いやいやいや! 新譜がリリースされるたびにギター専門誌の取材を受けてるじゃないですか(笑)。

e-ZUKA でもウチの母ちゃんですら言ってますからね。「KISHOWさんの声がいいわあ」って(笑)。

KISHOW オレはどっちかっていうと自分の声って嫌いなんですけどね。大嫌いではないんだけど、できればスガシカオさんみたいになりたかった。

e-ZUKA あのしゃがれててセクシーな(笑)。

──ただスガさんみたいな声で歌ってたらGRANRODEOって……。

KISHOW 10年もたなかったでしょうね(笑)。でも「アニメのタイアップ曲でデビューしましょう」って始まって、その後もタイアップ曲をたくさん歌わせてもらっているけど「アニソン、アニソンしたりはしないぜ」っていう思いはあったかな? それが「スガさんみたいなボーカルだったらなあ」って思う理由の1つでもありしますし、e-ZUKAさんがガチのハードロックギターを弾くこともそういうことだろうし。あとオレが詞の内容をついヒネりたくなるのもそういう思いがあるからですし。しかも「オレたちはメタルだ」「Kissのようなポップなハードロックだ」っていう意識もなくて。ただただお姉ちゃんにキャーキャー言われたくてやってきたのも、ファンの射程が広くなった理由、そして10年続けられた理由になったのかな?っていう気はしますね。

KISHOWをフィーチャーしたライブ曲がほしかった

──そしてベスト用に書き下ろされた新曲「バラライ」と「今より先を」なんですけど、それこそ「今より先を」というタイトル通り、どちらも未来を見据えて歩を進めることの喜びや大切さを歌った曲ですよね。

e-ZUKA 「バラライ」については、来月の10周年記念ライブ「G10 ROCK☆SHOW」でKISHOWのボーカルを特にフィーチャーできる曲があってもいいんじゃない?って“お上”からの提案がありまして(笑)。メインボーカルだからフィーチャーも何もないといえばない。常にステージのド真ん中に立ってるんだけど、ライブではギターソロやベースソロ、ドラムソロもあるわけだから。そうじゃなくてKISHOWの声にのみフォーカスを当てた曲がほしいっていう話になって。で、最初ジャズっぽい曲がいいかも、って言われたんですよ。

──いや、アリーナ、スタジアムクラスのライブでみんなで歌ったり騒いだりするのが似合う、スケール感のあるブラスロックですよね?

e-ZUKA うん。“お上”と我々の間に見解の相違、ジャズ感の相違が発生しまして(笑)。“お上”はホーンが入っている曲っていう意味で「ジャズ」って言ってたらしいんですね。なのに僕は本当にジャジーでウェットな曲を作っていき、いったんボツになるっていう事件はあったんですけど、それでもこの曲は1日でできたんですよ。「KISHOWがこういう曲を歌っている姿を見たいな」「KISHOWはこういう曲好きなんじゃないかな?」って思いながら書いてたら、あっという間にできあがってました。

ベストアルバム「DECADE OF GR」 / 2015年9月30日発売 / Lantis / [CD2枚組+DVD] 4860円 / LACA-9414~5
ベストアルバム「DECADE OF GR」
DISC 1
  1. バラライ
  2. Go For It! "style EDGE"
  3. Infinite Love
  4. 慟哭ノ雨
  5. Once & Forever
  6. delight song
  7. Snow Pallet
  8. Darlin'
  9. アウトサイダー
  10. tRANCE
  11. modern strange cowboy
  12. サマーGT09
  13. カナリヤ
  14. 21st CENTURY LOVERS
  15. シャニムニ
DISC 2
  1. SEA OF STARS
  2. ROSE HIP-BULLET
  3. SUPERNOVA
  4. 愛のWarrior
  5. Can Do
  6. メズマライズ
  7. RIMFIRE
  8. CRACK STAR FLASH
  9. 偏愛の輪舞曲
  10. Y・W・F
  11. The Other self
  12. 変幻自在のマジカルスター
  13. Punky Funky Love
  14. メモリーズ
  15. 今より先を
DVD収録内容

Music Clip

  1. バラライ
  2. 僕だけの歌
  3. wish

GRANRODEO LIVE 2013 Y・W・F /(^o^)\ ヤッホー ワンダホー FUJIYAMA!!

  1. Y・W・F(feat. KIJI + WONDERHOO DANCERS)
  2. サマーGT09(feat. FIRE HORNS + WONDERHOO DANCERS)
  3. 恋のHEAT WAVE(feat. FIRE HORNS + WONDERHOO DANCERS)
  4. SEA OF STARS(Acoustic ver.)
  5. Go For It!
  6. Beautiful world(feat. FIRE HORNS + WONDERHOO DANCERS)
GRANRODEO(グランロデオ)

ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月には22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に23作目「メモリーズ」を、9月にはデビュー10周年記念ベストアルバム「DECADE OF GR」を発表した。また10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催する。