音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO
「黒子のバスケ」最終章に添えた“これから”の歌
最近「KISHOWさん、すごいです!」が足りていない
e-ZUKA それで改めてネットで青春パンクというものを調べてみたら、MONGOL800とか175RとかGOING STEADY、Hi-STANDARDっていう名前が引っかかって。そういうバンドを実際に聴いてみたんですけど、メロだけ聴いてみたらものすごくシンプルだし、ポップ。ともすればフォークソング的じゃないかって気付いて。そしたら作るのがすごく楽しくなった。「メモリーズ」で悩みすぎた反動のようなものもあったんだとは思うんですけど、悩むヒマもなく作れてましたね。
──ただ、繰り返しになっちゃうんですけど、小気味のいい8ビートにブライトでわかりやすいメロディが乗っかる曲も新機軸ではあるわけですよね。それを悩むヒマなく作れたのは、やっぱりすごいことというか……。
e-ZUKA 曲の締め切りが「メモリーズ」とほぼ同じ時期だったから、こっちに時間をかけてるヒマがなかったっていうのもあるのかな(笑)。
──一方、KISHOWさんの詞は……。
e-ZUKA 以前もお話した気はするんですけど、今回に限らず、KISHOWの詞はすっごい早いんですよ。
KISHOW そうですね。夕方に曲が届いてその日の夜のうちに一気に書き上げて、レーベルのスタッフに送ることもありますから。
e-ZUKA オレに対するイヤミか!ってくらいのスピードで(笑)。
KISHOW 確かに作詞を始めた頃からそういうペースで渡してる気はしてます。ただ、最初の頃はレーベルの女性スタッフなんかが「KISHOWさん、すごいです!」ってレスポンスをくれてたんですけど、みんな、そのペースに慣れやがりまして(笑)。感動が薄れてきてるのか、なんのリアクションもくれなくなってきてるから、最近はちょっとペースを落としてやろうかとは思ってるんですけど……。
e-ZUKA それでも今回も早かったですね。
ちゃんとしたメロディがあれば大丈夫
──では、今回特に作詞がスムーズだった理由のようなものはない?
KISHOW いや、「ぐらP&ろで夫」の中で使われるのは僕の詞が乗ったバージョンじゃなくて、アニメの監督(新海岳人)が「GRANRODEOの替え歌」という体で歌詞を書いた「ろで夫だけの歌」っていう曲になるって話を聞いていたからっていうのはあるかな。僕、「僕だけの歌」が「メモリーズ」のカップリングになると思ってなかったんですよ。「僕だけの歌」と「ろで夫だけの歌」がパッケージ化されるのかな?って考えてた。そういうキャラソン的な1枚に入る曲だから、いつものGRANRODEOとはちょっと違ってもいい。e-ZUKAさんの曲自体、ホントにストレートな青春パンクだったのもあって「シンプルな応援ソング、青春ソングってこういう感じだよなー」って余裕をもって遊べたから、すぐ書き上げられて。しかも書き上げたとき「オレ、けっこういいこと言ってるなあ!」と思えた……んだと思いますよ(笑)。
──やっぱり伝聞・推測な感じで「思えた」と(笑)。
KISHOW 「メモリーズ」のカップリングだっていうことを意識しなかったから、わかりやすい言葉をスムーズに使えたんでしょうね、当時の僕は(笑)。
──今のKISHOWさんが思うに、当時のKISHOWさんはわかりやすい言葉を使うことに抵抗はなかった? 例えば「時給の安さを嘆くよりも」みたいな直接的なメッセージって、これまでのKISHOWさんのレトリックにはなかったように感じるんですけど……。
KISHOW 確かに僕はわざとわかりづらい言葉を使うクセがあるんだけど、ちゃんとしたメロディがあれば歌詞はバカみたいにシンプルでも成立するっていうことも知ってますから。「僕だけの歌」ほどではないけど、「Can Do」をリリースしたときにも、開き直ったくらいにわかりやすい言葉を使ってもちゃんと聴く人に届いた! イケた!っていう経験をしていて、あとは「ロンリーファイター」なんかもそういう意識で作った詞だったりもしますし。だから「今の自分を讃えてやれよ」っていう、シンプルすぎるくらいシンプルで、かつストレートすぎるくらいストレートなフレーズを届けても大丈夫かな、っていう自信みたいなものはありましたね。
次のページ » これが日常なんだよ
- ニューシングル「メモリーズ」2015年6月3日発売 / Lantis
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34346 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14346 / Amazon.co.jp
- アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14347 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- メモリーズ
- 僕だけの歌
- 日常ホライズン
- メモリーズ(OFF VOCAL)
- 僕だけの歌(OFF VOCAL)
- 日常ホライズン(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録内容
- メモリーズ(Music Clip)
GRANRODEO(グランロデオ)
ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月にテレビアニメ「黒子のバスケ」3期第1クールのオープニングテーマにして22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に最終章にあたる3期第2クールの主題歌となるニューシングル「メモリーズ」を発表。さらに10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催する。