音楽ナタリー PowerPush - GRANRODEO

「黒子のバスケ」最終章に添えた“これから”の歌

GRANRODEOがニューシングル「メモリーズ」を6月3日にリリースする。

本作の表題曲は人気テレビアニメ「黒子のバスケ」の最終章にあたる第3期第2クール「誠凛VS洛山」編のオープニングを飾るナンバー。主人公・黒子テツヤと火神大我が所属する誠凛高校バスケットボール部の最終決戦を盛り上げるにふさわしい、勢いのあるダンスロックとインパクトのある言葉が組み合わさった強力な1曲に仕上がっている。

これまで同アニメに5曲のテーマソングを添えてきた彼らは、どんな考えを抱いてこの楽曲を打ち出したのか。2人に話を聞いた。

取材 / 成松哲 文 / 鵜飼亮次

「ストレートなロックナンバー」について考える

──「黒子のバスケ」第3期第1クールのオープニングテーマ「Punky Funky Love」リリース時、お2人は「『黒子のバスケ』のオープニングももう5曲目。さすがに燃え尽きた。今はもう『燃えカスを燃料にギリ走ってる』みたいな状況だ」と自虐的なことをおっしゃっていて……(参照:GRANRODEO「Punky Funky Love」インタビュー)。

KISHOW(Vo) ああ、言ってましたねえ(笑)。

──だから第2クールのオープニングはどうなるんだろう?と期待半分、不安半分で待っていたんですけど(笑)、ド直球なロックナンバーを作り上げましたね。

e-ZUKA(G) 「テンポの速いロック」という意味では確かにストレートな楽曲なんですけど、僕の中では直球なことをやったっていう意識はないですね。こねくり回した上でできた、テクニカルな楽曲というか。

──確かに「メモリーズ」のような四つ打ちギターロック、ダンスロックってGRANRODEOのディスコグラフィにおいては新機軸ではありますね。

e-ZUKA 今回は「黒子のバスケ」の最終章、誠凛高校と洛山高校の最後の試合を追いかけるクールだから、 戦闘系の曲、言ってしまえばロボットアニメ的な曲をイメージして作り始めたんです。四つ打ちのビートとマイナーのメロディのイメージでっていう。ちょうど僕らの曲で言うと「Once&Forever」や「愛のWarrior」みたいなシリアスな曲になるだろうなということで1曲作ってみたんですけど、スタッフから「すごくe-ZUKAくんぽくていいんだけど、今まで以上にアグレッシブな感じがほしい」と言われまして。それでまた1曲作ってみたんだけど、今度は「もう一皮むけるといいんだけどなあ」「進化を感じたいんだよね」と言われて、そこからはもう……(笑)。

KISHOW ボツになったものだけで4曲あるんですよね、今回は。

e-ZUKA 自分の好きに曲を作って、聴いてくれる子たちに「またこのテイストかよ」「古いな、おい」って言われちゃうのもイヤだったし「変えていかなきゃ」とも思ってたから、まあ悩みましたね。

試行錯誤の末の発見

──そこからどうやって四つ打ちダンスロックという結論に?

e-ZUKA 若いバンドの音をいろいろ聴いてみました。正直な話、聴き始めた頃は「なんだ!? このめまぐるしいロックは?」って思ってたんですけどね(笑)。曲の中に1回しか出てこないメロディがあったりとか、「あれっ!? サビはさっき出てこなかったっけ?」って感じで、サビのあとにまたもう1つ展開を用意してたりとかね。そういうことが疑問だったんだけど、でも「なんでこれが流行るんだろう?」ってずっと聴いてたら「なるほど」って思えてきたんです。もちろんその「なるほど」を「メモリーズ」に全部が全部取り込んだわけではないんだけど、最終的に意識はしました。

──その「なるほど」と思えた理由、つまり今どきの若者に四つ打ちギターロックがウケる理由ってどこにあるんだと思います?

GRANRODEO

e-ZUKA バンドもリスナーも、いろんな音楽を聴いてきているからなんだろうな、とは思いましたね。例えば今の若いバンドの曲って、全体像としてはギターロックなんだけど、メロディの符割がすごく細かくて、たくさん言葉を入れてたりするじゃないですか。ああいうのなんかを見ると「ああ、ラップ以降の世代だからなんだろうなあ」とかね。あとサビの途中とか、信じられないところで転調しますよね。大胆なところに転調を入れる感じとか、突然オケが薄くなったり、逆に突然メロディと楽器がユニゾンになってオケがブ厚くなったりするのとかも、いわゆる「ロック」ばっかり聴いてきた子たちじゃないから生まれたアイデアなんだろうな、っていう気がしましたし。

──そういう発見の末「メモリーズ」という、若いバンド的というか、フェス映えしそうなサウンドができあがった、と。

e-ZUKA 今回は曲自体も曲作りに対する姿勢もとにかくアグレッシブだった気はしてますね。「今までのGRANRODEOとちょっと違うね」って言われる、新しいものになったかな、と。いつもの音より20歳くらい若くなってる気がしてるし、こういう曲があるってことはGRANRODEOのカタログ的にいいことだなあって思ってます。

ニューシングル「メモリーズ」2015年6月3日発売 / Lantis
初回限定盤 [CD+DVD] 1944円 / LACM-34346 / Amazon.co.jp
通常盤 [CD] 1404円 / LACM-14346 / Amazon.co.jp
アニメ盤 [CD] 1404円 / LACM-14347 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. メモリーズ
  2. 僕だけの歌
  3. 日常ホライズン
  4. メモリーズ(OFF VOCAL)
  5. 僕だけの歌(OFF VOCAL)
  6. 日常ホライズン(OFF VOCAL)
初回限定盤DVD収録内容
  • メモリーズ(Music Clip)
GRANRODEO(グランロデオ)

ボーカリストのKISHOW(谷山紀章)とギタリストのe-ZUKA(飯塚昌明)からなるユニット。2005年結成。同年11月、アニメ「IGPX」のオープニングテーマ「Go For It!」でデビュー。声優としても活躍するKISHOWの表現力豊かなハイトーンボーカルと、e-ZUKAによるハードロックマナーに則ったヘヴィでメロディアスな楽曲群で人気を博す。以来コンスタントにリリースを重ねる一方で、2010年には東京・日本武道館で結成5周年記念ライブを実施。その後も神奈川・横浜アリーナ、大阪・大阪城ホール、埼玉・さいたまスーパーアリーナなどホール、アリーナクラスでのワンマンライブを敢行し、「Animelo Summer Live」などの大型フェスではヘッドライナークラスのポジションを確立する。2014年9月には6枚目のアルバム「カルマとラビリンス」をリリース。翌2015年1月にテレビアニメ「黒子のバスケ」3期第1クールのオープニングテーマにして22枚目のシングル「Punky Funky Love」を、6月に最終章にあたる3期第2クールの主題歌となるニューシングル「メモリーズ」を発表。さらに10月には千葉・幕張メッセ 国際展示場1-3ホールにてユニット結成10周年を記念した2DAYSライブイベント「GRANRODEO LIVE 2015 G10 ROCK☆SHOW」を開催する。