ナタリー PowerPush - 後藤まりこ
音楽を続けていきたい
責任感が芽生えてきた
──それにしても後藤さんの口から「続けたい」っていう言葉が出るのは面白いですね。
ん?
──例えば何年か前にはそんなこと……。
ああ、1ミリも思ってなかった。
──いつ終わってもいいと思ってるように見えました。
せやな。うん。なんかでもそれはただのきれいごとやったなと思う。
──もう音楽を辞めるくらいの気持ちでミドリを解散して、そこからまた1人で歌い始めてから2年が経ちました。その間に変化したことはありますか?
最初ソロ始めた頃は「うひょー! 楽しい」ってばっかやったけど、最近こう……ほんまに最近やけど、感じてるのは、責任感……?
──おお!
ね、ヤバくない?(笑)
──ヤバいですね(笑)。
こんなん言うの恥ずかしいけど、でも大人になったんやと思う。自分のやってることが仕事やって最近ちゃんと思えるようになったし、それがいいなって思うねん。
──窮屈じゃない?
まだわかれへん。ほんまに最近やから。
──責任感が芽生えたことで何か変わりましたか?
うーん、早起きするとか夜は寝るとか、かな?(笑)
──早起きはドラマの現場で鍛えられた?
うん。朝はつらかったけど、いい経験になったと思う。
──ドラマ「たべるダケ」の出演は今振り返ってみてどうでした?
よくわからんまま終わってしまった。短い撮影期間やったけど、もうちょっとできたんちゃうんかって、ドラマの映像を観て思うところはいっぱいあるし。やっぱり自分の顔がテレビに映ってるとびっくりするし。
──アガります?
下がるよー(笑)。
──曲が流れるのはアガるのに?
曲はアガるし「うおお!」ってなるけど、映ってるのは恥ずかしい。今でもあれはなんだったんだろうみたいな(笑)。まだ謎なまま。
いろんな人とやった意味を出したかった
──アルバムはいろいろなアーティストが参加して、サウンド面の幅がさらに広がっていますね。
うん。なんかさ、HARCOにアレンジ頼んだ曲は「HARCO~☆」やん。
──はい。すごくHARCOさんの音になってる。
で、(スガ)ダイローとやったやつはダイローやし。SerphさんのもSerphさんやし。それはそうしたかったんよ。ボクだけを出すんじゃなくて、その人とやった意味をちゃんと出したかった。
──AxSxEさんを中心としたバンドのサウンドも突き抜けてますよね。AxSxEさんとの相性のよさが今回さらに深まった感じがします。
たぶん、今はキヨヲシ(坂井キヨヲシ / Key)がおってくれてるから。AxSxEくんに音楽のことで対等な位置で、ちゃんと意見してくれるのってやっぱりキヨヲシやなと思って。それがすごくよかった。
──今回は打ち込みの曲も収録されていて、後藤さんの歌と打ち込みサウンドの融合が新鮮でした。
「す☆ぴか」とか「大人の夏休み」はもともとKovacsの曲やねん。Kovacsのライブを観て、忘れられへんくなって、家帰ってからSoundCloudで聴きながら歌ってみたら「ああ、超歌える!」ってなって。
──インストのトラックの上で勝手に歌ってみた?
そう。そんでKovacsに電話して「これ歌っていい?」って言ったら、「全然いいよ」って(笑)。
ボクの音楽を見てほしい
──2枚目のアルバムが完成して、今の気持ちはどうですか?
こんなの初めてなんやけど、次のCDを早く出したくなってる。レコーディング楽しいねん。
──どうしてそういう心境になったんでしょう。
今までは考えすぎてたんかなと思って。けっこう適当でいいんやっていうか、今回「m@u」とか、サビを作りかけた途中でスタジオ行って、みんなに口で伝えたらその場ですぐできて。すっごいよかった。
──後藤さんはこのアルバムで楽器は?
リコーダーとタンバリン。
──演奏したい欲は今はないですか?
それが出てきた。いっぱい出てきた。
──ギターを弾きたい?
それもあるけど、でもギターだけじゃないかも。
──じゃあサンプラー?
かなあ。それもあると思う。わかれへんねん。でもいっぱいいろんなことやりたい。次のアルバムでなんか見せれると思う。
──楽しみです。後藤さんはドラマや映画に出たり、ライブでの激しいイメージが先行してるところもありますけど、すごく豊かな音楽を作る人だというのをこのアルバムで改めて実感したので。
ありがとう。ボクやっぱり音楽あんまり作らん人やと思われがちなんやろね。事件性っていうんかな。イメージばっかり先行して。それも面白いっちゃ面白いけど、ボクは音楽やってるから。そこ見てほしいなって思ってる。
後藤まりこ 『m@u』
- 後藤まりこ ニューアルバム「m@u」 / 2013年12月4日発売 / 2800円 / DefSTAR Records / DFCL-2036
- 後藤まりこ ニューアルバム「m@u」 ジャケット
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収録曲
- 4がつ6日
- m@u
- す☆ぴか
- すばらしい世界。
- だいろーちゃんとまりこちゃん
- 浮かれちゃって、困っちゃって、やんややんややん
- ラブロマンス
- sound of me
- Hey musicさん!
- 大人の夏休み
- ふれーみんぐりっぷす
- 世田谷区桜新町2丁目
後藤まりこ(ごとうまりこ)
大阪府生まれ。2003年に結成したロックバンド・ミドリでボーカルとギターを担当する。ジャズとパンクを融合した音楽性と、セーラー服姿での激しいパフォーマンスで話題を集めるも2010年12月30日のライブを最後にバンドは突然解散。しばらくの沈黙の後、2011年12月27日に開催した自主企画イベントでソロとして再始動を果たし、2012年7月にソロ1stアルバム「299792458」をリリースする。同年8月からはロックミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」に森山未來とともに出演し、2013年4月公開の映画「ペタル ダンス」で映画初出演。また同月より放送のTVアニメ「惡の華」のオープニングテーマにゲストボーカリストとして参加する。2013年7月にはソロ1stシングル「sound of me」をリリース。この曲は自身が主演するドラマ「たべるダケ」のエンディングテーマに採用された。同年12月に2ndアルバム「m@u」を発表。