GONTITI「『we are here』-40 years have passed and we are here-」 PR

GONTITI|“音楽がもたらす喜び”と歩んだ40年 そして今、2人はここにいる

GONTITIがニューアルバム「『we are here』-40 years have passed and we are here-」を12月19日にリリースした。

「we are here」は今年結成40周年を迎えたGONTITIにとって、約7年ぶりとなるオリジナルアルバム。アレンジャー陣としてこれまでGONTITIサウンドを支えてきた羽毛田丈史、菅谷昌弘、清水一登、近藤達郎に加え、初タッグのDorian、Rayonsを迎えた全13曲入りの作品となっている。さらにゲストアーティストとしてバンドネオン奏者の小松亮太、タブラ奏者のU-zhaan、コーラスにカクバリズム所属のmei eharaらが参加し、GONTITIの作品に新たな魅力を生み出している。

音楽ナタリーでは今回、チチ松村とゴンザレス三上にインタビューを実施。「作りながらどんどん形が変わっていった」という本作の制作について、また結成40周年のキャリアの中で生じた変化やお互いへの思いを語ってもらった。

取材・文 / 松永良平 撮影 / 前田立

やっぱり、アルバムって生物(なまもの)なんです

──結成40周年を飾るアルバムであり、7年ぶりのオリジナル新作となる「『we are here』-40 years have passed and we are here-」発売おめでとうございます。実は「7年ぶり」と聞いて、最初はピンとこなかったんです。毎週ラジオ(NHK-FMで放送中のレギュラー番組「世界の快適音楽セレクション」)でお二人の声を聴いているからというのもありますし、この7年の間にもテレビアニメ「あまんちゅ!」や映画「俺はまだ本気出してないだけ」などサウンドトラックのお仕事もされていたので。とは言え、やはりオリジナルアルバムとなると、サントラとは意識や取り組み方もかなり違ったものになるんでしょうね。

チチ松村 そうですね。サントラは先方から頼まれてやる音楽なんですが、今回は自分たちでオリジナルアルバムを作るということで曲も吟味しましたし、力はすごく入りました。

ゴンザレス三上 ひさしぶりに「自由に作る」ということをしました。やっぱり、自由に作ると別の意味での集中力が必要なんです。そういう点では新鮮でもありましたね。

──「自由に」と言いつつも、40周年の節目に出る作品ですし、お二人にもなんとなくテーマ立てはあったのかなと思うんですが。

ゴンザレス三上

三上 制作に入った最初のうちは、あまりテーマとかはなかったんです。ただ、今までアルバムをいくつも作ってきた中で、ちょっと物足りないというか、自分の中で完成させたかった部分があったので、それをなんとか完結させるような「完結版」を作りたいなとは思ってました。でも、やってるうちにだんだん楽しくなってきて、そこから「若い方のアレンジや演奏とかも入れていきたいな」というふうになっていきましたね。

──確かに、新作はGONTITIの1980年代の作品から連なる集大成的な意味合いも感じつつ、新しいアイデアがいろいろ融合する曲もあり、これは“まとめ”でありながら、すごく“つづき”を感じさせる作品だなと僕も思いました。

三上 その通りなんです。僕らが昔から仕事してきたアレンジャーと、最近ちょっと気に入ってる新しい人たちとが交差したようなところにあるアルバムだと思ってます。だから、そう感じていただけるのはすごくうれしいです。

──いわゆる「GONTITIらしさ」というイメージに対してもいい意味で肯定的で、でもちゃんと今の音楽が気になってる人が作った音楽になっているんですよ。

三上 作業を進めていくうちにそういうふうに変わっていったという感じですけどね。僕らの好きな若い人にお願いして、上がってきたアレンジの力に感銘して、自分たちの作る曲もまた違う形にどんどん変わっていったんです。やっぱり生物(なまもの)で面白いですよね、アルバムって。

懐かしさを感じながらも、鳴っている音は新しい

──GONTITIのアルバム制作って、どこから始まるんですか? お互いに曲のデモや断片的なアイデアを持ち寄るところから?

松村 そうですね。

三上 それを僕とアレンジャーの菅谷(昌弘)さんの2人でデータにして、そこからいろんなアレンジャーに渡していく、という方法です。

──今回で言うと、アルバムのとっかかりというか、最初に形になったのはどの曲だったんですか?

松村 清水一登さんがアレンジされた「Don the Drill」と、近藤達郎さんアレンジの「Yellow Umbrella」です。その2曲は今年の6月ぐらいにやってました。

三上 清水さんや近藤さんに頼んだアレンジでズバリというものが返ってきたので、安心してほかもスッと進められたというのはあります。本当は若い方の比重をもう少し増やしたかったんですけど、今回は実現しなかったところもあって。もし次回があるとしたら、もっと比重を増やしても面白いんじゃないかなと2人で話してましたけどね。

松村 Rayonsさんの「dreamboat」も面白かったですし、Dorianさんの「late in summer」もよかったですね。Dorianさん自身がGONTITIの初期作品に今とてもハマっていて、その視点から改めて僕らの新曲をアレンジされるので、ものすごく面白いんです。僕らは「あ、あの感じ!」って言いながらも、鳴っている音は昔にはないようなもので。そういうことをされるのは自分たちにとってもうれしいし、新鮮です。

三上 そう。フレージングも僕がデモ音源として打ち込んだやつから音色以外はほぼ変わってないんですけど、Dorianさんがそこにちょこっと付け足してくれてるような部分がニクいんですよね。やっぱり愛情を持ってやってくれないとそういうのは出てこないので。感動しました。

──今回の若いミュージシャンのリストアップは、どういうふうにされたんですか?

松村 それは三上さんが見つけてくるんです。

三上 TwitterとかYouTubeで知ることが多いですね。

松村 何かのきっかけで知った曲に興味を惹かれて「これ誰なんだろう?」と調べて、「この人、ひょっとして頼んだら面白いんと違うかな?」みたいな感じで。

三上 そうですね。最近だと折坂悠太くんの音楽が気に入って、彼とTwitterでつながって話してるうちに、名前が出てきたアーティストをどんどんたどっていったりするんですよ。

そのとき会いたい人と会って楽しめる、アルバム制作はある種のお祭り

──2年ほど前にお二人に取材させていただいたとき、三上さんはちょうどYouTubeにハマっていて。そのときは「昔のアーティストの映像でこんなものがあったのかという発見が面白い」とおっしゃっていたんですが、それが今のアーティストまで拡散していったということなんですね。

三上 そうなんです。今はメジャーなラップのトラックを作ってるような人たちの音楽的素養の中にも、僕たちが昔感動したムード音楽とかの要素が入っている。ピアノの音を1つ聴くだけでも「あ、これはマントヴァーニの曲のピアノだ」ってわかる、みたいな。若い世代の中にも、自分の好きだった時代の音楽が蘇ってきているということがすごくうれしいんです。そういう発見があるから、この歳になってもYouTubeは見ていて全然飽きないですね。

──Dorianが昔のGONTITIが好きだったという話も、誰かに新しく発見された過去が今の自分たちにフィードバックされているというケースですよね。そういった過去と現在の混ざり合いで言えば、収録曲の「Showa café」も直訳すれば「昭和の喫茶店」ですが、シンセのエレクトリックノイズみたいな音が入っていて驚きました。

三上 あれは、松村さんのお友達であの機械を実際に作られてる方がいらして。

チチ松村

松村 大阪でアナログシンセを自分で作ってる人がいるんですよ。ミュージシャンの井上智恵さんがやっている喫茶イノという店の2階でアナログシンセを作ってる、マスダテツジさんという人で。その人の作ったシンセを三上さんが買いたいということで話がつながって、彼がちょうど東京に来るからということでスタジオに持ってきてもらって、そのままその日にレコーディングしたんです(笑)。

三上 購入しつつ、演奏しました(笑)。

──そういう現場性も面白いですね。

三上 まあ、アルバムを作るときっていうのは、ある種のお祭りみたいな部分があるじゃないですか。それはものすごく楽しい側面ですよ。そのとき会いたい人と思ってた相手に仕事を通じて会って楽しめる。

松村 Rayonsさんにやってもらった「dreamboat」ではU-zhaanさんに来てもらって。Rayonsさんからいただいたアレンジに、壺を叩いてる音があったんですよ。それを聴いて三上さんが「これ、タブラにしたら面白いんちゃうか?」って言い出して。U-zhaanさんに頼んで、さらに面白くなりましたよね。

──DorianにしてもU-zhaanさんにしても、ある意味GONTITIの子供たちと呼べるような側面もあると思うんです。お二人がやってきたことや活動のスタンスがじわじわと下の世代に効いているというのはありますよ。

三上 そういうことがちょっとだけでもあるのなら、僕らはうれしいですけどね。

──アルバムタイトルの「we are here」は、どういうふうに決まったんですか?

三上 制作の途中で決まったんです。最初は別のタイトルが候補にあったんですが、それが別の方の作品で使われていて(笑)。でもレコーディングをやってるうちに、いろんなものが交差する点があって、GONTITIはそこにいるというイメージが生まれて、これがいいかなとなりましたね。

──言い得て妙ですよね。ひょっこり感というか。曲の途中でアレンジ主体の展開になって、ギターが主役でなくなってしまったりもするんですけど、また気がつくとひょっこりと顔を出している。「ここにあり」としゃしゃり出るんじゃなくて、時代やジャンルが交差する場所で見え隠れすることを楽しめる。そういうスタンスがまさにGONTITIそのものだし、40周年にふさわしいタイトルだなと思ったんです。

三上 そこまで僕らは考えてなかったですけど(笑)。でもそう感じていただけるのはありがたいですよね。

GONTITI「『we are here』-40 years have passed and we are here-」
2018年12月19日発売 / ポニーキャニオン
GONTITI「『we are here』-40 years have passed and we are here-」

[CD] 3300円
PCCA-50305

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収録曲
  1. peperoncino
  2. beso lindo
  3. dreamboat
  4. late in summer
  5. Old Movie Theater
  6. Hustle and Bustle
  7. grassland
  8. Beyond the clouds
  9. Yellow Umbrella
  10. Showa café
  11. Don the Drill
  12. rainy love theme
  13. Tree Rings
ライブ情報
ゴンチチの年忘れinオキナワ2018
  • 2018年12月30日(日) 沖縄県 桜坂劇場 ホールA

※ゲストアーティスト:辻コースケ(Percussion)

Daiwa Sakura Aid Presents
ゴンチチ 新春生音三昧 2019
  • 2019年1月6日(日) 大阪府 いずみホール
  • 2019年1月20日(日) 愛知県 電気文化会館 ザ・コンサートホール
  • 2019年2月3日(日) 東京都 紀尾井ホール

※ゲストアーティスト:桑野聖(Violin) / 堀沢真己(Cello)

ゴンチチ 新春生音三昧 2019
  • 2019年2月9日(日) 北海道 札幌コンサートホールKitara 小ホール
  • 2019年2月17日(日) 宮城県 宮城野区文化センターパトナホール
GONTITI(ゴンチチ)
GONTITI
1978年に結成された、ゴンザレス三上とチチ松村によるインストゥルメンタルアコースティックギターデュオ。1983年にCDデビュー。現在まで制作したアルバムは40枚を超え、10数枚のアルバムは全米、アジアほかでも発売されている。1992年には竹中直人監督・主演の映画「無能の人」のサウンドプロデュースを手掛け、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞。以降も2004年カンヌ国際映画祭で史上最年少・最優秀男優賞を受賞した作品「誰も知らない」や2008年公開の映画「歩いても 歩いても」で音楽を担当している。2008年8月6日には結成30周年記念アルバム「VSOD -very special ordinary days-」、2010年には20年ぶりのクリスマスアルバムをリリースした。チチ松村はエッセイなど執筆活動にも定評があり、これまで14冊の著書を上梓。一方ゴンザレス三上もCDGやグラフィックデザインの分野で独自の活動を繰り広げている。2018年12月19日、約7年ぶりとなるオリジナルアルバム「『we are here』-40 years have passed and we are here-」をリリース。