ナタリー PowerPush - GLORY HILL

新曲&インディーズベストに見る良質なメロディの源

今年5月にワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビューを果たしたGLORY HILL。彼らがメジャー2ndシングル「TREASURE」とインディーズ時代の楽曲を集めたベストアルバム「independent days」をリリースした。約7カ月ぶりとなった今回のインタビューでは、リリースされる2作品のことはもちろん、メジャーデビュー後の心境、バンドのこだわり、今後の野望についても話してもらった。

取材・文 / 高橋美穂

メジャーデビューして能動的に考える要素は多くなった

──メジャーデビューシングル「LOST」以来のインタビューとなりますが、メジャーデビューからしばらく経って、心境の変化は感じていますか?

左からTAKUYA(Vo, G)、KENSAKU(Dr)。(photo by 釘野孝宏)

TAKUYA(Vo, G) 元々、知っていたスタッフの方と一緒にメジャーでやり始めたので、大幅な変化は感じなかったんです。この「TREASURE」も、本当は今夏くらいにリリースの予定で、その前には完成していたんで、活動もこれまでどおりライブがメインだったんですよ。ライブの本数はインディーズ時代よりは少なくなりましたけど、テンション的には変わらずやれています。

──前回のインタビューで、「自分たちでイニシアチブを握って活動を始めたのは、メジャーデビューが決まってから」っておっしゃっていましたけど、そのあたりに関してはどうですか?

TAKUYA 能動的に考える要素は多くなったと思います。メジャーなので、いろんな人に関わってもらっているんですけど、どんだけ自分たちでアイデアを出してバンドを動かしていけるかっていう。

──「チャートに食い込みたい」っていう赤裸々な目標も聞かせていただきましたが、そこに対してもブレずに突き進んでいますか?

KO-01(B, Cho) チャートとかとはまだ遠いところにいると思いますね。メジャーに来たことは、ワーナーだったら(同じく所属アーティストの)コブクロさんとかと、世の中からは一緒の舞台として見られると思うので、そこと勝負ができていないことで、良い意味でも悪い意味でも現実をちゃんと見れるというか。デビューしてまだ1年目ですけど、早く勝負したいなって思います。

──そう考えると、このニューシングル「TREASURE」は勝負作ですか?

KENSAKU(Dr) 常に勝負の気持ちはあるんですけど、変にガチガチにならずに行けたらいいなっていう気持ちもあって。背伸びし過ぎるんじゃなく、自分たちにできることはなんだろう?って考えてきて、今回は良い形になったと思います。プロデューサーのJeff(Miyahara)さんや、ピアノの伊澤(一葉)さんみたいな方と関われるのも、ここ(メジャー)にいる特権だと思いますし、より作品を良くするために、こういう方々とタッグを組めるのはありがたいですね。

──いろんな方たちとタッグを組めるようになったのも、自分たちの意思を確立できたからかもしれないですね。

KENSAKU そうですね。こうしたらどう?ああしたらどう?とは言われるんですけど、その中で一番良い方向に行けるように4人で話し合うことも多くなりました。いろいろ悩みながらのところもありますけど、結果的に良いものができればいいなとは常に思っているので。曲的な幅は出ましたけど、シングル1枚を通して、GLORY HILLはこういうこともできるんだよ、って伝わればいいと思います。

新たなエッセンスを加えてもGLORY HILLがブレるとは思わない

──表題曲に関して訊いていくと、さっきお話に出てきたとおり、前作に続いてJeffさんがプロデューサーを務めて、さらに伊澤さんがピアノを弾き、またタイアップ(NOTTV開局記念ドラマ「シニカレ」主題歌)も付いていて、付随する要素が多いじゃないですか。それは楽しめましたか?

TAKUYA インディーズの頃となんら変わりないんですけど、作品ができあがることが単純にうれしいんですよね。それに、6、7年間のインディーズ時代で曲作りの土台ができているので、そこに新たなエッセンスを加えてもGLORY HILLがブレるとは思わないんです。

KO-01 誰かが作った曲をやったりするわけじゃなく、自分たちで作ったものに対してピアノやタイアップが付いてきてくれているので、よし、ラッキー!的な感じですよ(笑)。

──それも、そうした新しい要素に負けない自分たちの核があるからできることですよね。

KO-01 そうですね。以前だったら、言われるがままになっちゃっていたかもしれないですけど。今は、自分たちが良いと思ったものを出せているから。

──ピアノを入れるというアイデアは、どこから来たんでしょうか

JUNYA(G, Cho) 自分たちの中にピアノを入れる発想は全くなかったんですよ。

KO-01 イントロのフレーズ自体は、元々JUNYAが弾いていたんです。

JUNYA それをスタッフの方が、ピアノにしたらどうかな?って言ってくれて、やったことがないけどやってみたいです!ってなって、そこから進んでいったっていう。

──提案にはすぐにうなずけたんですか?

JUNYA(G, Cho)(photo by 釘野孝宏)

JUNYA そのスタッフの方が、わかりやすい形で提示をしてくれたんです。こうなると思うんですよっていうサンプル曲を聴かせてくれたんで、これならバッチリ合うだろうっていうイメージが沸いたんですよね。

TAKUYA アイデアをもらったときに、良くなるなって思ったんですけど、完成したら想像以上でしたね。

──ライブで再現ができるかとか、4人で演奏しなきゃいけないとか、そういったところに縛られていないんですね。

TAKUYA うん。曲がどんだけ良くなるかっていうところが念頭にあるので、そっからズレなければ、どういうエッセンスを加えてもいいかなって。

CD収録曲
  1. GET UP
  2. BRAVE DRIVE
  3. DAYBREAK
  4. イノセント
  5. ステアウェイ
  6. Cosmic Fly
  7. Funny boys school
  8. Stay Awake
  9. 消えない弱さ
  10. DAYS
  11. REVIVE
  12. GROW UP
  13. Freedom Train
  14. ハジマリノカゼ
  15. TAKE ACTION
  16. Ocean Arrow
  17. ミエナイアシタヘ
  18. Why I'm me
  19. kiss away
  20. Everything
  21. Stardust
GLORY HILL(ぐろーりーひる)

2005年に結成された、TAKUYA(Vo, G)、JUNYA(G, Cho)、KO-01(B, Cho)、KENSAKU(Dr)からなる4人組ロックバンド。2007年6月にリリースしたシングル「Everything e.p.」と、同年8月にリリースしたアルバム「LOST GENERATION」がインディーズチャート上位を獲得し一躍ブレイクを果たす。その後も精力的なライブ活動とリリースを展開し、爽快なメロディックパンクサウンドとパワフルな歌でリスナーを獲得する。結成7年を迎えた2012年にメジャーデビューし、5月に第1弾シングル「LOST」を発表。同年12月には第2弾シングル「TREASURE」とインディーズベストアルバム「independent days」を同時リリースした。