音楽ナタリー PowerPush - HISASHI(GLAY)×澤村小夜子(ねごと)

世代を超えたコラボが切り開く新境地

デビュー20周年真っ最中のGLAYが、5月25日にトリプルAサイドシングル「HEROES / 微熱Ⓐgirlサマー / つづれ織り~so far and yet so close~」を発表した。

TERU(Vo)作詞作曲の「HEROES」、HISASHI(G)作詞作曲の「微熱Ⓐgirlサマー」、そして長年ファンから愛されている「つづれ織り~so far and yet so close~」を収録した本作。中でも「微熱Ⓐgirlサマー」にはドラマーとしてねごとの澤村小夜子、アレンジャーでFPMの田中知之が参加しており、音楽ファンの熱い注目を集めている。

HISASHIのラブコールで実現したというこのコラボ。音楽ナタリーではその舞台裏を探るべく、HISASHIと澤村の対談を企画した。

取材・文 / 中野明子 撮影 / 笹森健一

「何よりもドラムに惹かれた」

──「微熱Ⓐgirlサマー」に小夜子さんが参加されているというニュースをナタリーに掲載したところ、大きな反響がありました(参照:GLAY東京ドーム直前にニューシングル発売、ねごと小夜子も参加)。

澤村小夜子 うれしいです。

HISASHI 実は「MUSIC LIFE」(2014年11月リリースのアルバム)のときも、「いろんなドラマーとコラボする」というコンセプトがあったので、小夜子ちゃんにオファーしようと思ってたんですが機が熟すには早かったので、そのときは見送って。だから去年から一緒にやるチャンスを狙ってたんです。

HISASHI

澤村 ありがとうございます!

HISASHI あと、去年7月のねごとのEX THEATER公演に遊びに行ったときに、バンドがすごい成長したなあと思ってお願いしたというのもあります。もともとねごとの作る曲の雰囲気が好きで、メンバーそれぞれのキャラクターが音に出てるし、何よりもドラムに惹かれたんですよね。

澤村 一昨年、HISASHIさんが「リズム&ドラム・マガジン」のインタビューで、気になってるバンドとしてねごとを挙げてくださったんです。

──そうだったんですね。 

澤村 こんなうれしいことを言ってくださるなら、ライブに来ていただこうとTwitterでお誘いしたんです。そうしたら本当に来てくださって、それから交流が始まって。

HISASHI そうそう。Twitterを介して交流が始まったんだよね。僕の人生の中で大きな出会いが3つあって、ギターとインターネットと車なんですね。中でもインターネットのSNSをかなり有効活用して、オンラインで知り合った人との出会いが仕事につながることも多いんですよ。

「本当に生きてるのかな?」

──HISASHIさんは、どういう形でねごとを知ったんですか?

HISASHI 僕、新しいバンドが好きで、自分から率先して探すんですね。ねごとは、「いいバンドいないかなー」ってまとめサイトを眺めていたときに出会いましたね。ふんわりしてるんだけど、ときどきソリッドな瞬間があって、それが印象的だった。あと繰り返しになっちゃうけど、小夜子ちゃんのドラムに惹かれたの。おっとりしているようで、目に見えないくらいの速さでフィルを叩いてて。すごく動きがしなやかで見とれちゃう。

──GLAYは数年前からレコーディングでいろんなドラマーと組んでいますよね。その1つの集大成が、最新オリジナルアルバムの「MUSIC LIFE」でした。

HISASHI ええ。それまではけっこう保守的で、変化を恐れていた時期もあったんですよ。でも佐久間(正英)さんが生前、「GLAYは絶対高橋まことさんと一緒にやったほうがいい」って言ってくれてて。それが亀田(誠治)さんがプロデュースしてくれた「MUSIC LIFE」でやっと実現したんです。デビュー20周年にしてまた新しいところにいけたというか。だから今回の小夜子ちゃんとのコラボも、新しい試みの続きなんですよね。

澤村小夜子

澤村 光栄です。でも、自分にとってGLAYは物心ついた頃からすでに伝説のバンドで、自分とは関係のない世界にいる人たちだと思ってたし、「本当に生きてるのかな?」ってくらいの存在だったんです。だから今回のオファーをいただいたときは本当に驚きました。「まさか!」っていう感じで、お話いただいてから10日後くらいにレコーディングだったんですけど、5日くらい曲を聴く気になれなくて……。夢なんじゃないかって。

HISASHI そう言ってもらえるとうれしいなあ。GLAYは小夜子ちゃんが生まれた年がデビューした頃とかかな? ちなみに何年生まれ?

澤村 1990年です。

HISASHI じゃあ、ちょうど東京進出を目指し、期待に胸を膨らませていた時期ですね。そのあと訪れる暗黒時代も知らずに……。

GLAY ニューシングル「HEROES / 微熱Ⓐgirlサマー / つづれ織り~so far and yet so close~」 / 2015年5月25日発売 / loversoul music & associates
CD+DVD 1944円 / PCCN-00019
CD+DVD 1944円 / PCCN-00019
CD 1296円 / PCCN-00020
収録曲
  1. HEROES
  2. 微熱Ⓐgirlサマー
  3. つづれ織り~so far and yet so close~〈Live from Miracle Music Hunt 2014-2015〉
  4. Album「MUSIC LIFE」reprise
CD+DVD盤 DVD収録内容
  • HEROES(Music Video)
  • HEROES(メイキング)
  • つづれ織り~so far and yet so close~(Music Video)
  • つづれ織り~so far and yet so close~(メイキング)
  • つづれ織り~so far and yet so close~(Live from Miracle Music Hunt 2014-2015)
  • さくらびと(Live from Miracle Music Hunt 2014-2015)
GLAY(グレイ)
GLAY

函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催し大成功を収める。2000年に入ってからも数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。メジャーデビュー20周年となる2014年は、デビュー日にあたる5月25日にインディーズ時代のアルバム「灰とダイヤモンド」の特別仕様「灰とダイヤモンド Anthology」を発表。同年9月に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城にて単独ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU」を行った。2015年5月にトリプルA面シングル「HEROES / 微熱(A)girlサマー / つづれ織り~so far and yet so close~」をリリースし、同月に10年ぶりとなる東京ドーム公演を2日間にわたって開催する。

ねごと
ねごと

全員平成生まれの蒼山幸子(Vo, Key)、沙田瑞紀(G)、藤咲佑(B)、澤村小夜子(Dr)からなる4人組ロックバンド。高校2年生だった2008年1月に結成し、春に開催された「閃光ライオット2008」に応募。8月に行われた決勝大会に進出し、審査員特別賞を受賞する。2010年9月に1stミニアルバム「Hello! "Z"」でメジャーデビューし、2011年3月発表の1stシングル「カロン」がau「LISMO!」のCMソングとしてオンエアされ、幅広い層から注目を集めた。同年7月、初のフルアルバム「ex Negoto」をリリースする。「SUMMER SONIC」「ROCK IN JAPAN FES.」「RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO」など、多数のフェスに出演する傍ら、「GirlsAward」「HARAJUKU KAWAii!! FES.」といったカルチャー系イベントにも出演し多角的に活躍。2015年3月には3rdアルバム「VISION」を、6月にニューシングル「DESTINY」を発表。