ナタリー PowerPush - Gero
“歌ってみた”界の第一人者が語る「今、メジャーデビューする意味」
悪ふざけが止まらなくなって「つるつる しこしこ」
──4曲目「Mob」の作詞家・作曲家の鬱Pさんと、アレンジャーであり、バックバンドでもある大凶作にはどんなオーダーを?
まず大凶作のメンバーに弾いてくれって頼んでから、鬱Pに「今回は大凶作が弾くし、オレと一緒にボーカルのDEATH姫も歌うんだけど」って頼んで、2人でどのくらいドロップさせるか、チューニングから決めていったって感じですね。
──ボーカリスト自らドロップチューンの指定を?
してみました(笑)。nekoちゃんと鬱Pと「Vanishing Code」のダルビッシュPにはしたかな。「ドロップCで」「ドロップDで」みたいな感じで。「Mob」は今回のアルバムで唯一全部生音なんですけど、ドラム、ベース、ギターはスゲー重いし、ボーカルも、DEATH姫って女の子なんだけど、ごっついデスボイスを出してくれて。男の僕がハイトーンで、女の子のDEATH姫が「ヴォー!」ってうなってる。これもライブで観てもらいたい曲ですよね。
──そして前山田健一さんの大問題作「うどん」(笑)。ド下ネタもいいところですよね。
ねえ(笑)。逆にこの曲に関してだけは打ち合わせをするまで何も考えてなくて。いざ「さあ、どうしましょう」ってなったときに「Geroは何が好きなんですか?」って聞かれて「うどんが好きです」って答えたら、そこから悪ふざけが止まらなくなっちゃったんですよね。「『つるつるしこしこ つるつるしこしこ』とか、いいっスね」「『おいなりさん』はどうですか」みたいな話になって(笑)。
──「ちくわもくわえ」、「濃ゆい おつゆ」を「ぶっかけて」みて(笑)。
「天カス」とか「かまたま」とか、そういうのが止まらなくなって、できちゃったんですよね(笑)。問題作であり自信作ですね。これはこれでGeroの真骨頂。その打ち合わせのときやレコーディングのときに2人して「アホやなあ」って言いながら、僕のバカな部分を全開にしてみました(笑)。ライブではぜひタオルを振り回しながら一緒に「♪どんどん うどん」って歌ってほしい。
作家のド王道パターンとコントラスト
──8曲目のすこっぷさんの「硝子の少女」もビックリしたんですよ。タイトルを見て「繊細な女の子のことを歌った曲なんだろう」と思っていたら、繊細の方向性が違った。頭の歌詞が「嫌いな人が隣にいるの 卑しく笑っているの」でしたから(笑)。
女の子目線の曲が1曲欲しかったので、すこっぷさんには「女の子目線のドロドロした曲」ってお伝えしたら、こういうちょっとシャッフルっぽいオシャレなリズムで、でも世界観は真っ暗っていうバッチリのものを作ってくれて。実はこの曲を最初にレコーディングしたんですけど、すごく楽しかったんですよ。だからこのドロドロした曲のおかげで、その後のレコーディングも楽しめたんだと思います(笑)。そして「Ivory」のbuzzGさんには「ギターがガーンッと前に出てくるバラードを作ってください」と。僕自身、buzzGさんの「name of memory」っていうバラードを歌わせてもらっていて、そのときにも思ったことなんですけど、buzzGさんって激しいロックの人のイメージが強いけど、バラードがめちゃめちゃうまいんですよ。なので歌い上げ系のバラードを書いてもらいました。で「Vanishing Code」はさっき言った通り、ドロップチューニングでデスボイス盛り盛り(笑)。疾走感はあるんだけど、アッパーではない。「自分的最強論」みたいなアッパーなロックとはまた別の表情を見せたかったので。
──そしてTom-H@ckさんの「永遠の朱雪」。
それこそ「けいおん!」のイメージの強い方なんですけど、あえて「和ロックで」っお願いしたら「おっ!」ってなったんですよ。「あんまり作ったことがないなあ」って。だからどんな曲ができあがるんだろう、って思ってたら、ちゃんと和のテイストが入ってるんだけど、途中でフュージョンみたいになったりして、でもちゃんとロックです、っていう。もう天才だと思いましたね。ハモリとかもすごく緻密に考えられてるし。これは聴いてる人に度肝を抜いてもらいたいですね。「うわっ、こんな感じできたんや!」みたいな感じで。次の「心化論」が40mPさんらしい、ムチャクチャ難しいことや派手なことをしているわけではないんだけど、実はすごくキャッチーでポップっていう曲なんで、この11曲目、12曲目はコントラストがはっきりしていて、そこも面白いと思ってます。
「野郎に筋トレしながら聴いてもらいたい」
──ラストナンバーで自作詞曲の「ありがとう」ですけど、まず菊田さんにはどういうオーダーを?
菊田さんにお会いする前から詞の世界観は決めていたので、けっこう細かくイメージを伝えさせてもらいました。HoneyWorksに頼んだときと同じく、まずは「最後の曲です。決まってます」「お願いします!」ってお話をして(笑)、ピアノがあって、アコギも入っていてっていうお願いをしたら、メチャメチャいい曲を作ってくださって。こんな曲に作詞家として参加させてもらえてるのはホントに幸せだなと思いましたね。
──これは誰に対する「ありがとう」なんですか?
3割は母ちゃんです(笑)。で、あとの7割はライブや握手会に来てくれたみんな、そして曲を聴いてくれたみんなに、何かこう、ちゃんと感謝の気持ちを形に残しておきたいな、っていうのが常々あったので。今までは照れくさくて言えなかったんですけど、メジャーデビューすることだし、言うなら今しかないっていうことで「今まで言えなかったけど、ありがとう」っていう詞をストレートに作ってみました。
──今、「握手会に来てくれたみんな」って言っていましたし、アーティストブックの装丁なんかを見ていても思うことなんですけど、ファンの男女比って……。
女の人が中心ですね。
──でも、「one」って男に聴かせたい作品ですよね。ここまで直球勝負のロックアルバムも珍しい。ハイティーンくらいの男の子は絶対にアガるし、グッとくると思いますから。
ホントに聴いてみてほしい。僕自身もともとそういう音楽が好きだから、骨太で男くさいアルバムを作りたくて、実際にそういうアルバムになったから、女の人にも聴いてもらいたいのはもちろんなんですけど、野郎に筋トレしながら聴いてもらいたいんですよね(笑)。
- ニューシングル「BELOVED×SURVIVAL」 / 2013年7月10日発売 / ジェネオン・ユニバーサル
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1680円 / GNCA-0257
- 通常盤 [CD] / 1050円 / GNCA-0258
CD収録曲
- BELOVED×SURVIVAL
- 名もなき星~Silent Stars~
- BELOVED×SURVIVAL(Instrumental)
- 名もなき星~Silent Stars~(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- BELOVED×SURVIVAL(music clip)
- BELOVED×SURVIVAL(メイキング)
- ニューアルバム「one」 / 2013年7月24日発売 / ジェネオン・ユニバーサル
- 初回限定盤A [CD+DVD] / 2625円 / GNCL-1243
- 初回限定盤B [CD2枚組] / 2625円 / GNCL-1244
- 通常盤 [CD] / 2100円 / GNCL-1245
CD収録曲(全仕様共通)
- Opening
- NO WAY OUT
- 自分的最強論
- アンチェインゲイザー
- Mob feat.大凶作
- うどん
- BELOVED×SURVIVAL
- 硝子の少女
- Ivory
- Vanishing Code
- 永遠の朱雪
- 心化論
- ありがとう
初回限定盤A 特典DVD収録内容
5月19日に開催されたファンクラブイベント「第三回のぜ部集会」のライブ映像を収録
- アイ
- you
- HALO
- 千本桜
- Love-Letter
- 名古屋のデブ
- The Bandits(The Six Little Bandits)
初回限定盤B 特典CD収録曲
未発表曲を多数収録した「歌ってみた ver.Gero」CD
- チルドレンレコード
- え?あぁ、そう。
- いーあるふぁんくらぶ
- S・K・Y
- 脳漿炸裂ガール
- soundless voice feat.まらしぃ
Gero(げろ)
兵庫県生まれのボーカリスト。2009年、ニコニコ動画に投稿した「歌ってみた」動画が話題を集め、本格的な活動をスタート。多くの同人CD / DVDへの参加、出演や、ライブ、イベントへの客演も行う。2011年には初のフルアルバム「Gourmet」をリリース。インディーズながらオリコン週間アルバムランキングで7位を獲得し、2012年にはミニアルバム「Cross」も発表する。また2011年、2012年には全国ツアーを2回敢行。東京・SHIBUYA-AXや大阪・なんばHatchなどの大バコもソールドアウトさせる。2013年7月、テレビアニメ「BROTHERS CONFLICT」のオープニングテーマ「BELOVED×SURVIVAL」でメジャーデビューし、同月メジャー1stフルアルバム「one」をリリース。