原因は自分にある。「蝋燭」インタビュー|魅惑の灯火に誘うハーモニー 7人で新たな扉を開いて

原因は自分にある。が最新曲「蝋燭」で新たな表情を見せている。

8月の終わりに配信リリースされた「蝋燭」は、げんじぶの7人が主演を務めるテレビ東京系ドラマ「沼オトコと沼落ちオンナのmidnight call~寝不足の原因は自分にある。~」の主題歌として書き下ろされた楽曲。蝋燭の灯のように心地よく揺らぐ思いを歌ったチルポップナンバーで、吉澤要人のバリトンボイスがリードするボーカルが、これまでの彼らの楽曲にはなかった新たな一面を見せている。

音楽ナタリーでは、メンバーの大倉空人、小泉光咲、長野凌大、武藤潤、杢代和人にインタビュー。主演ドラマや「蝋燭」のこと、さらには「仮面ライダーギーツ」出演に伴う活動制限を終えた杢代が完全復帰したグループの今について話を聞いた。特集の最後には、インタビューに参加できなかった桜木雅哉と吉澤要人へのQ&Aも掲載する。

取材・文 / 三橋あずみ

「お待たせ」は取っておきたい

──まずは和人さんのグループ復帰のお話からできればと思いますが、髪の毛を切ってさっぱりされましたね!

杢代和人 はい。今までの作品の撮影が落ち着いたので、さっぱりしました!

大倉空人 素敵です。

──1年の活動制限を経てげんじぶに戻ってきて、今の心境はいかがですか?

和人 本当にげんじぶって温かいなあという感じですね。「EBiDAN THE LIVE」が復活のステージになったんですけど、いいタイミングで戻ってこれて、また7人で出発できるなと(参照:特別ユニットにダンスサイファー!EBiDANの新たな可能性に満員のファンが沸いた「エビライ」初日)。

武藤潤 「エビライ」で1曲目にやったのが「GOD 釈迦にHip-Hop」で、この曲には和人の「お待たせ」というセリフがあるんです。僕的に「やっと和人の『お待たせ』が聴ける!」と思って待っていたんですけど、彼、そのセリフを「愛してるぜ」と言い変えてて……和人はこれだよな!と、いい意味で期待を裏切られたんですよ。

和人 あれは「エビライ」だったから。げんじぶの単独ライブのときに「お待たせ」は取っておきたいなという思いも込めてね。

空人 ああ、そうだったんだ!

和人 別に、俺のこと待ってない人もいるかなあって……(笑)。

一同 あはははは!

和人 それだったらもっとインパクトがある、注目してもらえるひと言のほうがいいかなと思って、そっちに切り替えたの。

空人 和人がいるだけで、げんじぶがひとまわりもふたまわりも大きくなっていくのを、一緒にライブしていると感じます。僕はそれがうれしくて、「エビライ」が終わったあとも「ああ、7人での活動が再開したんだな」という余韻がすごかった。

──凌大さんはいかがですか?

長野凌大 和人が帰ってきて、撮影なんかも7人でやることが増えてきたんですけど、やっぱうるさいなあって……。

和人 って思うでしょ? それ、俺のいいところだから。

一同 あはははは!

凌大 よくも悪くも、うるさいなあって(笑)。

和人 “よくもよくも”、でしょ? 「悪い」いらないから。

凌大 この感じひさしぶりだなあと思ってます。声が絶えないんですよ。半分くらい和人が1人でしゃべってるんですけど。

和人 ええ、マシンガントークでやらせていただいてます。

凌大 「こういうの懐かしいー」って思うことが、最近多いですね。

小泉光咲 和人が帰ってきて、僕は……。

和人 ホントに思ってること言ってね?

光咲 フォーメーションが7人バージョンに戻るので、ちょっと大変な部分がありますね。

和人 おおーい!(笑) せっかく戻ってきたのに大変なことの話するんじゃないよ。

空人 「本音で言って」って和人が言うから!

 あはははは!

光咲 6人で横1列のフォーメーションをきれいにそろえるだけでもけっこう大変なんですよ。それが7人になって「あ、和人ズレてるわ」って……。

和人 おいおいおい。ズレてないわ!(笑)

一同 あはははは!

光咲 まあでも、だんだん7人のげんじぶに慣れていくんじゃないかなって思います。

凌大 7人反対派の意見みたいになってるけど大丈夫?(笑)

原因は自分にある。 左から大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、杢代和人、吉澤要人。

原因は自分にある。 左から大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、杢代和人、吉澤要人。

自分たちがやってきたことは間違ってなかった

──改めて、和人さんにとってこの1年はどんな1年になりましたか?

和人 もう、死に物狂いで撮影していましたね。「仮面ライダー」は歴史のある作品ですし、撮影では過酷なことも多かったので、グループ活動を一旦制限したことでしっかり集中させてもらえたと思います。げんじぶに対しての不安はなかったです。この6人がしっかり守ってくれるんだろうなと思っていたし……正直、感覚的にはそこまで、活動制限した!みたいな感じではなかったんですよね。気持ちが離れることもなかったし、なんというか、原因は自分にある。のメンバーとして、1人で活動しているという感覚でした。朝起きて、がんばって撮影して……という毎日が続いた先で、気付いたら戻ってくることができたような感じです。

──少しだけ離れた場所から見るげんじぶは、和人さんの目にどう映りましたか?

和人 僕らは研究生の頃からの付き合いですけど、みんな本当によくやってるなあって思いました。僕だけじゃなくて、みんなそれぞれに個人の仕事もあってハードスケジュールの中で活動していたので、「体調とか大丈夫なのかな」っていう。でもホント、それくらいです。ライブにはなかなか出られなかったから、無事にツアーを完走してほしいなという気持ちで見ていましたね。

 僕らは僕らで、6人だけど7人いる気持ちでステージに立ってたからね。

空人 この1年間を通して、それぞれが大人になったような気がします。いろんな出来事を乗り越え、いろんなことを思い……和人が帰ってきたとき、気が付けば自分も少し成長していたと、それぞれが感じているんじゃないかなって。

──先ほども少しお話がありましたが、「エビライ」のステージがひさびさの7人でのパフォーマンスとなりました。

空人 僕個人の感想なんですが、「エビライ」では大勢のお客さんの前に立つことの緊張じゃなく、7人でステージに立つということにすごく緊張しちゃったなって思います。11月5日にある初のアリーナワンマンに向けて、「エビライ」でしっかりと勢いを付けていきたいという思いもあったから、前日のゲネプロ後も練習していました。本当に、7人で一体となっていいものを見せたかったし、グループとしての団結をすごく強く感じていたからこそ、緊張感が大きいライブだったなと思います。

和人 どんなにたくさん活動してきても、やっぱりライブは緊張するなと思いました。ステージ上で復帰宣言をすることはサプライズだったこともありましたし。でも僕たち7人がそろったことをしっかり自分の口で伝えたかったから、あの場で言えてよかったと思います。僕たちのことを知らない方にも、思いがしっかり伝わるようなフレーズを考えて臨んだんです。

──和人さんが復帰宣言をしたときの客席からの歓声の大きさ、本当にすごかったですよね。

凌大 本当に「よかったー」と思いました。イヤモニ越しでも歓声が聞こえてきて、自分たちがやってきたことは間違ってなかったんだなって感じました。“6人と1人”で離れて活動する選択をやっと認めてあげられたのが、あの「エビライ」の日だったと思います。

光咲 そうだね。

凌大 年に1度の「エビライ」って、自分の気持ち、自分たちの気持ちを確認する場になっているのかもなって、最近思ったんです。緊張具合やステージに立ったときの心境が毎年毎年変わるので、成長を実感するというか。今年の「エビライ」は初めてげんじぶとして出演した2019年以来の7人での参加だったんですが、4年前とは景色がまた違って見えたことがすごく印象的でした。

あの中に長野凌大がいるってことがうれしくて

──「エビライ」を振り返ると、げんじぶの皆さんはいろんな場所で活躍していましたね。

和人 今年から全体の構成が大きく変わって、今までにない空気感の「エビライ」でした。EBiDAN全員の力が必要だったし、先輩方もすごく気合いが入っていて。1つ思い出話をしていいですか?

──もちろん。

和人 全体曲の「New day! New wave! 2023」のリハーサルをしていたときのことなんですけど、僕は当日に振り起こしをして、そのまま全体リハに向かったんです。最初はグループで固まっていたんですけど、先生に「もしまだ曖昧な人がいたら前に来て」と言われたので……ここは行っておこうと、いっちばん前に出ていったんです。後輩も見てるので、カッコつけながら準備運動して……。

空人 おい、本音出とる(笑)。

和人 よし、やってやるぞと思って振り返ったら、げんじぶ、僕以外みんな一番奥にいたんですよ!

空人 だって、単純に僕らは踊れるから(笑)。

和人 あとには引けないし、なんか「New day! New wave!」一番気合い入ってるみたいになっちゃって。そうしたら、戻るなり雅哉がニヤニヤしながら「カッコよかったっす!」って(笑)。

空人 確かにあの背中はヒーローだったよ。いいことよ。

和人 てか、凌大も感想言ったらどう? 凌大がんばったじゃん!

空人 ダンスサイファーすごかったよね。

凌大 いやあ……本当に学ばせていただきました。まず、ダンスサイファーのメンバーに自分を選んでいただいたことに驚いてしまって。フリースタイルをやったことがない中、周りはみんな経験者だったんです。グループの一員として新しいことに挑戦するという経験はこれまでにもあったけど、げんじぶのメンバーじゃない皆さんと今までにないことをやるというのが初めてだったから、自分自身を試される場というか……。リハもめちゃくちゃ緊張したんですけど、新たに発見することも多かったです。

空人 だって、俺らもめちゃくちゃアガったよね、ダンスサイファー。

 マジでアガった。

和人 バック転とか決めちゃって、カッコいい……。

凌大 いや、それユーキ(超特急)さんだから!(笑)

和人 あのダンスの精鋭の中に長野凌大がいることがうれしくて。ちなみにダンスサイファーの舞台裏の視聴率、100%でしたから。EBiDANメンバーみんなで集まって観て盛り上がってました。

光咲 LienelとかICExの子たちはそのあとすぐの出番だったのに、ギリギリまで観てたよね。

凌大 そのダンスサイファーでユーキさんと初めてちゃんとお話したんです。シャッフルユニットでもユーキさん役をやらせてもらったんですけど……本当に、パフォーマンスやダンスに懸ける思いを近くでひしひしと感じて。シャッフルで踊った「Kiss Me Baby」(超特急)はユーキさんができる限りマンツーマンでたくさん教えてくださったんです。そういう姿から自分たちの曲へのプライドや後輩への愛情を身に染みて感じたし、本当に刺激をたくさんもらいました。

和人 素敵。

凌大 ライブを終えて自分の映像を観たときにも「自分ってこんな顔できたんだ、こんな踊り方できたんだ」と思うことがたくさんありました。また1年後にもっと……またユーキさんに見ていただいたときに、「成長してるな」と思ってもらえるように、個人としてのレベルも上げていきたいなと思える「エビライ」になりましたね。